なんと瞬く間の週末だっただろう。土曜は概ね晴れ。日曜は雨がちで、ときどき雲間から青空。
雨が降らないひとときは、庭で朝食を、ランチをとる。モンスーンのこの時期でさえ、蝶は舞い飛び、鳥のさえずりは遠く近くに。
「やっぱり、バンガロールの家が落ち着くなあ。ムンバイには戻りたくなくなってしまうよ」
と、天を仰ぎながらアルヴィンド。先週末は、「ムンバイなりに」かなり楽しんでいたのであるが。「落ち着き」を求めれば、それはバンガロール宅の方がはるかに。
ともあれ、こうして気分転換を図れるウイークエンドハウスがあるだけでも、幸せなことである。
日曜の夕方は、義姉スジャータとラグヴァン、そしてユカコさん、ビル、ジェイクくんをお招き。スジャータたちは少し遅れるとのことで、ユカコさんたちとともに、一足先にカクテルタイム。
まずは、お気に入りインド産ワインのSULAのスパークリングワインを開ける。SULAのワインは、最近日本でも販売されており、結構人気があるらしい。以前も書いたが、2007年のソーヴィニョン・ブランが、前年に比べて相当においしくなっているせいもあるかもしれない。
スパークリングワインのBRUTもお気に入り。いずれも500ルピー以内で手に入る。
移住当初は海外に出るたびに、「おいしいワインを買って帰らねば!」と空港の免税店をうろうろとしたものだが、最近はインドでも、国産だけでなく、輸入ワインも入手しやすくなった。
そんなわけで、近所のスーパーマーケットで買っておいたニュージーランド産の白ワインや、だいぶ前にどこかの空港で買って来ていたイタリアのキャンティクラシコなどを開け、食事の前に、すっかり出来上がった感じで、ご陽気な一同(大人のみ)である。
本日も、持ち寄りの夕餉であるが、わたしも3品ほど準備をする。メインはホワイトシチュー風。ひゅるひゅると風が吹くバンガロールの肌寒さに、北風小僧を思い出し、そこまで寒くはないだろうと自らに突っ込みをいれつつも、北風小僧といえばハウスシチューである。
しかしハウスシチューなどあるわけもなく、いつものように自分で作るのである。小麦粉とバターと牛乳。それがあれば基本のホワイトソースを作ることができる。決め手となる「だし」は、またしても丸ごとチキン解体後の骨からスープをとる。身の部分はもちろん「具」として使う。
たっぷりのタマネギを炒め、ニンジンとグリーンピー、それからマッシュルームにリーク。先日デリーの紅茶専門店ミッタルで入手していた非常に風味のよい黒粒胡椒とグリーンカルダモンをいれて、若干風味付け。敢えてジャガイモをいれず、ややさらりとした食感にした。
……と、パンを買い忘れていたことに気づく。幸い買い置きのパスタ(フェトチーネ)があったので、茹でることにする。このパスタにシチューをかけて「スープスパゲティ風」にすればよい。
ちなみにフェトチーネやタリアテッレなど「きしめん風」のペタンとしたパスタはわたしたちのお気に入り。クリーミーなソースがよく絡んでおいしいのだ。
トマトはオリーヴオイルとホワイトワインヴィネガー、塩こしょう、ほんのちょっとジャガリ(無精製の砂糖)、それにタイ・ベイジル(バジル)の葉を加えて、手で軽く揉み込む感じで味をなじませる。ほかにインゲンも茹でた。
あらかじめ電話で打ち合わせておいたおかげで、今日も食材がだぶることなく「麗しきバランス」の食卓。ジェイク君も早く大きくなって、大人と同じ料理を一緒に楽しめるようになるといいのだけれど、まだまだ時間がかかるかな。
ユカコさんが持っている服は、スジャータとラグヴァンからジェイク君へのギフト。コルカタの伝統的な子供服のようである。上下がセットになっていて、なにやらとってもインド的。今はまだ、服の方がずいぶん大きく見えるけれど、いつのまにかちょうどよくなる日が来るのだろう。
わたしとアルヴィンドも、早めのお誕生日祝いを受け取った。この次、またいつ会えるかわからないので。
アルヴィンドはやはりコルカタのクルタ(上着)を、わたしはサリーをもらった。
暑い夏にふさわしい、メッシュのような織の木綿である。
綿とは思えぬ高級な質感があって、インドの手工芸品の奥深さにまた、感嘆する。
右の写真がそれである。透けている手が、心霊写真のようで少々不気味だと思うのは気のせいか。
ちなみに、こうして見ると、かなり透け透けなサリーだが、実際はペチコートやブラウスの上からぐるぐると巻いて着用するので、見え過ぎるという心配はない。