「カンフー・パンダ」という映画が上映されている。わたしはまだ観ていないのだが、義姉スジャータとラグヴァンは気に入って、すでに二度も映画館へ足を運んだらしい。
そのことを、スジャータから聞いたアルヴィンドが言う。
「映画の中で、カンフーの師匠がとてもいい台詞を言うんだって。"The past is history, the future is a mystery, and this moment is a gift.That why this moment is called 'the present'." ねえ、どう思う?」
4年前の冬が蘇る。心塞ぐことが多かったころ。ワシントンDCの自宅で、インドから買って来ていたディーパック・チョプラ (Deepak Chopra) の本を何気なく開いた。ぱっと目に飛び込んで来た一文が、それだった。
わたしは、上の写真とともに、「片隅の風景」に書き留めた。「January 13, 2004 贈り物」がそれだ。
これを読んだ亡父が、感銘を受けたよと、電話をくれたことを思い出す。
"The past is history, the future is a mystery, and this moment is a gift. That why this moment is called 'the present'."
過去は歴史。未来は神秘。この瞬間は贈り物。だから人は、今、現在を「プレゼント」と呼ぶ。
●最後の授業
全米だけでなく、日本でもすでに多くの人が知っているかもしれない。ランディ・パウシュというコンピュータ・サイエンスの教授のことである。
ヴァーチャル・リアリティー研究の第一人者である彼は、カーネギー・メロン大学で教鞭をとっていた。2006年8月に膵臓がんを告知され、余命が3カ月から6カ月だろうと診断された2007年9月に、「最後の授業」を行った。
その様子は、YouTubeを通して瞬く間に世界中に広がり、数百万人が見たとのこと。関連書籍も出版され、日本語訳版もあるようだ。
その彼が、先月7月25日に他界した。わたしは彼の存在を、その他界のニュースで初めて知り、そしてYouTubeを通して彼の「最後の授業」を受けた。
それは、癌の話でも、家族の話でも、宗教の話でもない。
「子供のころの夢を、どうやって実現するか」
というテーマである。
日本語の字幕がついたものもある。日本語版は9つに分かれており、全部で76分もの長さであるが、長いとは感じない。興味のある方は、ご覧ください。