From K Mart To Karnataka. (Photo and caption by Sujata & Raghavan)
IIS(インド科学大学)の教授であるラグヴァンとその妻スジャータ(義姉)は、そのキャンパス内にある「社宅」に住んでいる。
高度経済成長期の日本の公団住宅を思わせる、そのアパートメントこそ簡素だが、キャンパスは豊かな緑に包まれており、いつ訪れても心地よい。
往年のバンガロールは、街全体がこうしてさまざまの木々や植物が満ちあふれ、まるで国立公園のようだったのだという。
彼らの隣に、米国からの教授一家(夫婦と3人の子供)が赴任してきたらしい。スジャータたちと教授一家は、屋上のバルコニーを共有し、洗濯物を干している。
上の写真は、その隣家の洗濯物。今日、スジャータがメールで送ってくれたものだ。ラグヴァンと二人で考えたキャプションも添えて。
●アンサナ・スパ、近々UBシティにオープン
これまで何度も記してきたところの、我々夫婦お気に入りのスパのひとつであるアンサナ・スパ (Angsana Spa) 。郊外にある "Angsana Resort" に続き、ホワイトフィールドに "Angsana Oasis"がオープンしたので、このごろは近場であるこのOasisを利用していた。
と、日曜日、いつものようにフェイシャルとボディマッサージを受けようと二人して赴いたところ、顔なじみのマネージャーの女性が、近々UBシティ内に新店舗がオープンされると教えてくれた。
UBシティにはオークウッドと呼ばれるサーヴィスアパートメントができており、その内部にスパが設けられるらしい。遠出せずとも、クオリティの高いトリートメントが受けられるとあれば、これはラッキーだ。
"Angsana Oasis"の、オープンエアなトリートメントルームで、さわやかな風を受けながらリラックス……のはずが、カラスの鳴き声でちっともリラックスできなかった日本人マダムのレポートを、先日耳にした。
確かにカラスは鳴いている。しかしわたしはそれすらもBGMに、熟睡してしまえるのだが、ときとしてカラスが縄張り争いを始め、とてつもなくうるさいようである。
UBシティ店がオープンの暁には、カラスの襲撃の心配がない個室で、ごゆっくりおくつろぎになってはいかがだろうか。
●お祭りシーズンで賑やかな世界
騒がしいのはカラスばかりではないのよ。このごろは何かとお祭りシーズン。象の神様ガネーシャ祭りはただ中で、町の至る所に「はりぼて」が。夜になると太鼓たたいてどんちゃん騒ぎで、これまた賑やかというかうるさいというかなんと言うか。
狭い路地にも「はりぼて」は点在し、だからあちらこちらで渋滞で。しかしこれは土地の人たちの古くからのお祭りである。文句を言ってはならぬ。永遠に離合すらできないのではないかという状況のもと、しかし辛抱強く、待つのである。
今、久しぶりに「離合」という言葉を思い出して、使ってみたところ、そこはかとなく違和感があったので、調べてみた。と、衝撃の事実が。
「車が狭い道ですれ違う」ことを意味すると思っていた「離合」という言葉は、九州弁だったらしい!(←文字をクリック) っていうか、九州でしか使われないらしい。ちょっと〜、知っとった? 知らんやったろ? わたし知らんやった〜!
そんなことはさておき。
かなりごみごみとした、スラム一歩手前の低所得者層の居住区を通過する。いつもに増して笑顔いっぱいの子供たちが元気よく、櫓を囲んで遊んでいる。みな本当に楽しそう。いや、子供だけでなく、大人も一緒に、楽しそう。
こちらは聖母マリアの肖像。後光がレインボーなところがインド的。
「聖母マリア祭り」も時を同じくして行われており、本日月曜日は、9日間に亘って続いていたお祭りのクライマックスの日らしく、我が家のメイド、プレシラはクリスチャンにつき、休暇を取って礼拝に出かけた。
女性たちはみな、ピーチピンクのサリーをまとって礼拝へ行く。みながお揃いのその姿は、町で見かけると、とてもかわいらしいのだ。
●印米原子力協力協定が、承認された
マンモハン・シン首相の尽力の甲斐あり、原子力協力協定が、原子力供給国グループ(NSG)総会にて承認された。インドは、核拡散防止条約(NPT)に未加盟である。
本来であれば、インドが核兵器を完全に廃棄せねば、原子力協力協定を締結されるべきではないというのが「筋」なのだが、米国が積極的に働きかけて「特例措置」となった。
兵器としての原子力を懸念するより、燃料としての原子力が重視された具合だ。万一のトラブルの際には危険性が高いとはいえ、原子力は「クリーンなエネルギー源」である。
慢性的にエネルギー不足のインドが、石炭や石油などの燃料にたよって高度経済成長をこれから続けていったなら、環境汚染は加速の一途をたどるだろう。あらゆる意味で、原子力によるエネルギーの供給は必須である。
とはいえ、この特例は、北朝鮮をはじめとする他の核兵器保有国からの反発を買うことも予測され、一概に「よきこと」とは言えぬだろう。
ここで軽く触れられるようなテーマではないのだが、ともあれ、この締結はインド史上、たいへん大きな出来事だと思われる。世間のニュースではさほど騒がれていない気がするが、マンモハン・シン首相は、インド史に名を残す偉業を成し遂げているのではなかろうか。
シク教徒の貧しい家に生まれたマンモハン・シン首相は、奨学金で英国のケンブリッジ大学、オックスフォード大学に留学した。 インドに戻り、経済学の教授をつとめたあと、財務次官、インド準備銀行(中央銀行)総裁などを歴任。1991年より財務相を務め、インドの市場解放に貢献した。
1993年、スジャータとラグヴァンが結婚した際、その披露宴に、当時財務相だったマンモハン・シンが出席しており、アルヴィンドも彼と言葉を交わしたことがあるという。
メディアから伺い知れるその通り、もの静かで穏やかで、インドにありがちな饒舌で大風呂敷で賄賂金にまみれた政治家たちとは毛色の異なる、まさに「学者肌」な人物だったとのこと。
その学者肌な彼が、ブッシュ大統領とうまくやっているところがまた、不思議であり、おもしろい。
ともあれ、この協定が最終的に米連邦議会で承認を受けて発効されれば、今後インドの躍進は加速されることだろう。
躍進に振り落とされる人々の多さを思いつつ、しかし勢いをつけてこの国が、この先どのように変貌していくのかを、ただ見守るように、この国で暮らしていく。
●どうなの、ナノ?! 痛い目にあってこその
しょうもない見出しをつけてしまった。
ナノ。それは、TATAモータースが10万ルピー(約27万円)で販売すると年初に発表した低価格小型自動車である。
確か今年の年末から、発売開始だと言っていた気がする。ところが今になって、西ベンガル州に完成間近のナノ製造工場でトラブル発生!
州政府による土地の収用に反発する農民と最大野党が結託して、先月末より建設現場周辺で抗議運動を開始しており、工場は建設中断の事態に追い込まれているのだ。
ここ数日のうちに結論は出る見込みだが、しかし、とてもインド的な話である。まだ工場が出来上がっていないのに、どうやって今年中に車を作るのよね〜。と、ちょっと笑ってしまいそうな事態である。
日本に住んでいる日本人にとっては、このような「予定通りに物事が進まない事態」は、あり得ない事態かもしれないが、日本以外の多くの国では、ありがちなことである。
なにもインドだけではない。もちろん、インドは群を抜いてダイナミックだとは思うが。米国だって、オープニングの遅れなど、日常茶飯事だった。
ホテルやショッピングセンターが半分だけオープンして半分は工事中、というのも、あり得た。インドと似ているのである。
そんなことはさておき、こういう事態が発生すると、「やっぱり、インドは信頼ならん」と懸念する日本の関係者は多いだろう。
その通りだ。
日常シーンからビジネスシーンまで、痛い目にあうこと間違いなし!
その痛みに打ち克ってこその、インド進出の醍醐味であり旨味であろう。
なにしろ一般的日本のメンタリティの対極にあるかのごとき一般的インドのメンタリティ。インド歴まだまだ3年弱のわたしが偉そうに言うことでもないのだが、しかしインド進出は、慎重に、覚悟を以て挑まれたい。
特筆すべきことではないのだが、今日のランチである。
冷凍庫にあった残り物のパンを解凍して、卵、牛乳、ヴァニラエッセンス、砂糖で作った液に浸し、リンゴをバターで炒めたものを添えてオーヴンで焼いた。
甘さ控えめ、フレンチトースト的ブレッドプディングである。簡単なのに、とてもおいしい。
ほかほかとスフレのようでもあり。慌ただしい月曜日の、小休止のようにランチタイム。
昨年に引き続き、3度目のRKBラジオです。
今回もまた、朝の「スタミナラジオ」という番組で、インドの生活をレポートします。
今週のメインテーマというコーナーで、7時40分ころから、約8分間放送されるとのこと。
電波ジャックして1時間くらいしゃべり続けたいところですが、そうもいきません。
RKB視聴可能な福岡とその周辺の方々、お聞きいただければと思います。