平穏な週末は瞬く間に過ぎて、日曜の夜。夫はムンバイへ飛び、わたしはバンガロールに残る。とはいえ、来週水曜からは、チェンナイ&コルカタへ10日ほど出張だ。久々の、そして二度目のチェンナイ。コルカタは初めて訪れる。かなり楽しみだ。
夕べは、義姉スジャータとその夫ラグヴァンが夕食に訪れた。久しぶりに4人での夕食。スジャータが、二人の子供時代の話や、両親や祖父母や、親戚の話をしてくれる。
聞いたことのある話、初めて知る話、人が生きていればそこには必ず、横たわる歴史を、わたしにとっては身近な、しかし実は異国の人々の、近くて遠い、源の話を、とても興味深く聞く。
わたしは、アルヴィンドと出会い、結婚し、この人たちと家族になり、彼らを取り巻く人々と身近になり、彼らの歴史を肌で感じることができ。
一人の男と結婚することで、彼を取り巻くすべてを、引き受けることになる。陰陽あれど、自分一人では決して開くことのなかった扉を次々に開き、新たな世界を探訪できることの愉快。
今週末はまた、外へ出ることなく、主には家と庭で過ごした。家庭、ホーム。わたしたちの、この小さな楽園にて。
庭では、空から落ちて来たボールでキャッチボールをしたり、歩いたり、舞い飛ぶ無数のトンボを見上げたり。
トンビが、巣作りの小枝を集めに来ていた。
星月夜に身を委ね、虫の声に耳を澄ました。
いつのまにやらすくすく育って、トウモロコシらしくなってきた。
あと数週間で「食べごろ」だろうか。
帰ってくるたびに、庭の様子が変わっている。
この家に暮らし始めて1年半。
庭の緑が時とともに、しっかりと根付き、豊かになっていることを、離れてみてこそ、よくわかる。
部屋では、テーブルの上いっぱいに本を広げる。
今週末のひときわのうれしさは、日本のアマゾンで注文していた書籍が届いていたこと。
大量の日本語の書物を前にして、読む前からすでにかなり、満たされた気分。
しかし「小説的」な読み物は一冊だけ。
あとはすべて、ノンフィクション、インド関連の書籍など、仕事に関するものばかり。
もう少し、気を抜いて読める本も買っておけばよかったと思いつつ、唯一の小説、『闇の子供たち』梁石日著(←文字をクリック)をまずは読んだ。
以前、このサイトでも、この作品の映画化について触れた。
読み進めながら、何度となく、息が詰まる。
何度となく本から目を上げ、外の風景を眺めて、ため息をついたことか。
重苦しいテーマの本。しかし、読まずにはいられない。
タイにおける児童買春、児童の人身売買などの実態が、あくまでもフィクションとして描かれているが、しかし実際に行われていることである。
インドでも、親が子供を売り、少女が売春をして金を稼がねばならないという事態は、珍しいことではない。深く知れば知るほどに、その「生き地獄」のような環境のおぞましさ、悲惨さに、言葉がない。
不遇な少女や子供たちを救い、更生させるための手助けをしている国際組織 EveryChild のことが取り上げられている。
それにしても、このイラスト。
陰鬱な空気を伝えたい気持ちはわかるが、これではまるで、ホラーだ。
リングの貞子だ。
TIMES OF INDIA。
もうちょっと、なんとかしてほしい。