クリスマス・イヴの夜は、普通に家で夕飯を食べ、普通に過ごした。食後は、先日の日本旅で仕入れて来た日本酒を冷やで飲み、むしろ渋ささえ漂うクリスマス・イヴである。上等である。
最近でこそ、インドは若干の「クリスマスムードを輸入」してはいるものの、あくまでも「若干」であり、注意を払わなければクリスマスシーズンであることに気づかない。
バンガロール宅にはクリスマスツリーを飾り付けて強引に雰囲気作りをしているが、ムンバイ宅には、何もない。加えてムンバイは暑い。半袖姿で天井のファンを回しながらでは、クリスマスムードは盛り上がらないものである。
しかし本日クリスマスは、イヴェントを楽しみたいものだと思い予定を入れていた。
ユカコさんとビル、それにジェイク君を誘っての、クリスマス・ブランチである。場所は南北ムンバイに暮らす両家住まいの中間地点にあたるウォルリ (Worli) にあるフォーシーズンズ・ホテル (Four Seasons Hotel) だ。
このホテルのSAN QI というレストランの日本料理がなかなかにすばらしいことは、以前も記した(←文字をクリック)。しかし本日はPRATOというグランドフロアのダイニングにて、クリスマス・ブランチのブッフェを予約しておいたのだった。
5人で顔を合わせるのは久しぶりのこと。確かバンガロールで9月上旬にパーティをして以来だから、3カ月以上はたっている。この3カ月の間にも、さまざまなことが起こり、ずいぶん遠い過去のことのような気もする。
さて、ロビーフロアに連なるダイニングには、美しくアペタイザー(前菜)が並んでおり、再会の挨拶もそこそこに、いきなり料理に心を奪われる。生ハムやチーズ、スモークサーモン、テリーヌ、キッシュ、オイスターなどなど、どれもこれもおいしそうだ。
まずは、スパークリングワインで乾杯。見るからに暑苦しい感じのサンタクロースも登場し、クリスマス初体験のジェイク君に恐怖心、いや警戒心を与えている。
どう考えても、髭が多過ぎ。
慈善団体の子供たちによるダンスなども披露され、BGMも騒がしく、途中で数回、音量を落としてくれと頼まざるを得ないほどである。それがインドである。たとえそこが高級ホテルであったとしても。
インドにおける、かようなホテルのブッフェといえば、コンチネンタルとインド料理の両方が準備され、なにかとバラエティが豊かな場合が多い。
選択肢が多くていいといえばいいのだが、あれこれとたくさん選んでしまい、おいしいけれど、でも何が何やらわからなくなってしまうことが多い。
しかし本日のブッフェは、かなり絞り込まれていており、かなり実質的なプレゼンテーションであった。ファミリーブランチといいながらも、雰囲気は比較的「大人のブッフェ」である。
主菜のメインは、ターキーのグリル、オーストリッチ(ダチョウ)のパイ包み焼き、そしてポークのハニーローストである。
付け合わせはインゲンとブロッコリーのグリル、それにマッシュドポテト、ラザニア風の野菜煮込みとラタトゥーユ風の野菜料理などがあり、いずれも予想を上回る、かなりのおいしさである。
他にもパスタなどがあったが、そこまでは食べられなかった。
マティーニやビールを飲みつつ、食事のあとはデザートのコーナーへ。クリスマスらしいシュトレンやパネットーネ、クリスマスプディング、それにアイスクリームやムースなどさまざまにあったが、カラフルなマカロンがかなり美味で感動す。
インド製のマカロンを食べるのは初めてだったが、こんなにおいしいとは思わなかった。1月、パリ旅行で買って来たお土産によるディナーのことを思い出す。
少なくとも見た目はあのときのマカロン(←文字をクリック)に勝るとも劣らずだ。
ブランチは12時から4時までとされていたが、我々は12時半より酒宴を開始して、実に5時近くまで飲んで食べてしゃべっていた。
気がつけば、ブッフェのコーナーはきれいに片付けられていて、すでに別世界になっており、テラスに我々ともう1組のゲストを残すのみ。これ以上はないというくらい、この場の雰囲気を味わった。
インドで4度目のクリスマス。今年もまた、すばらしい一日を過ごすことができて、本当によかった。
ユカコさんとジェイク君は近々日本へ一時帰国し、ビルは来年早々、米国へ出張だとのこと。わたしたちは明日よりバンガロールで年末年始を過ごす予定だ。
世間はいろいろとあるけれど、元気で、おいしいものを食べられて、楽しい時間が持てることに感謝しつつ、平和な日々を祈りつつ、メリークリスマス!