橙色の太陽が、水平線にどっぷりと沈んでいく。
太陽が隠れるや否や、肌に冷たく吹き付ける風。
その風になびく、女たちの髪。女たちのスカーフ。
アラビア海が日常で。
「海はひろいな、おおきいな」
歌ったころが、遥か、水平線の向こうに見える。
「海にお船を浮かばせて、行ってみたいなよその国」
ずいぶんと、遠いところまで、来てしまったものだ。
夕方、ご近所のGOOD LUCK DRIVING SCHOOLへ、運転免許証を受け取りにいった。
喧噪の通りに面した、この崩れ落ちそうな自動車学校。標識の看板が、とりあえずは自動車学校らしさを演出している。
さて、免許証は無事に発行されていた。とてもうれしい。
日本で生まれて、日本で育ったわたしが、日本とは違う国の、住まう許可を与えてもらったり、車を運転する許可を与えてもらったりすることは、本当に、うれしい。
日本、米国、インド。どの国にでも、住むことができ、働くことができる。選択肢があるというのはそれだけで、楽しいものである。
我が歴代の、運転免許証。
日本。
ニューヨーク州。
ワシントンDC。
カリフォルニア州。
そしてインドのマハラシュトラ州。
身軽に、身一つで、
どこへでも出かけるための証。