バンガロール宅に溜まっていた新聞にざっと目を通した。"TIMES OF INDIA"(インド最大の英字紙)のバンガロール版は、このところ地球環境に関連する記事が目につく。
環境汚染、地球温暖化、樹木伐採、グリーン・エネルギー、エコロジー、省エネルギーなどなど。
ここしばらくのインドは、右肩上がりの好況に沸き、猛スピードで近代化が進んできたが、ここにきて「このままではまずい」という方向に、世論が動いているような気がする。
たとえばわたしがインドに暮らし始めた3年前から、すでに折に触れて樹木伐採を懸念する声は聞かれていたが、当時よりもその声を強く感じる。
先進諸国は、すでに環境問題に対してシビアに取り組んでいるが、先進諸国が成長期だったころと同様、インドは環境破壊を二の次に、近代化を進めてきていたようにみえた。
しかし先日の消費エネルギーの件もそうだが、インドのように大きな人口を抱える国が、環境破壊を鑑みずに突き進んでいった日には、たいへんなことになることは容易く予想できる。
折しも日本人会より、BIEC(バンガロール国際エキシビションセンター)にて、第18回インド国際産業&技術フェアが開催されるとのメールが送られてきた。
昨日から4日間に亘って開場しているとのこと。JETROの管轄のもと、日本はゲスト国として、「エネルギーと環境」部門に参加しているらしいので、訪れてみることにしたのだった。
会場はバンガロール市街西部、郊外に昨年できたばかりのエキシビションセンター。市街から20キロ余りの距離ながら、道路の状況が悪く、渋滞も激しく、1時間近くもかかってしまった。
さて、エキシビションセンターは真新しく美しい。早速日本の国旗が掲げられた会場へ足を運ぶ。受付では、バンガロール在住の日印カップルの奥様たちがサリー姿でお手伝いをなさっていた。
広大な会場の、1階部分の半分近いスペースを、日本企業のパヴィリオンが占めていた。太陽光熱発電システム、浄水装置、廃油からガソリンを作るシステムなどなど、商業用の各種機械が出展されている。
トヨタのハイブリッド車、プリウスも展示されていた。その背後には、トヨタ・キルロスカ・モーターのバンガロール工場がグリーン・エネルギーを利用していることや、CSR(企業の社会的貢献)の一環として、技術者養成の学校をを創設したなどの実情を示したパネルも見られた。
※過去の記事→トヨタ新工場誕生とインド小型車市場とインフラ&環境問題と。
ちなみにバンガロールでは、太陽高熱発電システムが、他都市に比して早い時期から普及しているとの噂を聞いた。個人でもソーラーパネルを取り付けて温水などを確保している家庭も少なくない。
実はわたしも、新居購入時にソーラーパネルを取り付けたく業者に問い合わせたが、水道管が独立している一軒家でなければならないとのことだったので断念した。
インドはまた、風力発電においては、世界第4位、アジアでは1位だとのこと。
これは夫から先ほど聞いたことで、情報の裏を取ってはいないが、確かに風力発電が盛んであることは、上空からの風景を見ていてもわかる。
ムンバイとバンガロールを結ぶ上空でも、延々と連なる風車を目にしたことがある。
それはなにやらかわいらしい光景でもあった。
それにしても、日本の展示物の、きちんとしていること! インドにおいて、ここまで美しく準備ができること自体がすばらしいと感嘆する。きっと準備が大変だったに違いない。
それはそうと、インドの公共の場においてはなかなか見かけないミニスカートのお姉さんたちを見て、はっとさせられた。インドでミニスカートのお姉さんといえば、キングフィッシャーエアラインのエアホステス。
最近は目が慣れたけれど、登場当初はまじまじと見つめてしまったものだ。ともあれ、インドでは、まだまだミニスカートは珍しい存在である。
さて、2階はパートナー国である南アフリカのスペース。ものすごく広いスペースだが、がらんとしている。見るからに、全体的に、やる気がない。準備中なのか、開催中なのか、よくわからない。
しかしながら、南アフリカの工芸品の展示は興味深かった。なんだかよくわからない機械のようなものばかりを見続けてきたので、こういうものを見るとほっとする。
ちなみに1階には、日本以外にも、オーストラリアやポーランド、ドイツ、中国、英国など各国の展示もあった。
しかし午前中の企業向けプレゼンテーションが終わったあとだからか、全体に、だらけていた。
人の姿が見当たらないブースがいくつもある。
英国の企業のブースで見つけたメモ。
「ごめんなさい。明日戻ります。名刺を残してください」
あした、かよ!
やる気のなさ満点である。
街を走れば、どこもかしこも渋滞で、埃っぽく、工事現場はあちらこちらで散見され、樹木はどしどし伐採され、わずか3年のうちにも街の様相は著しく変化し、息つく間もないほどの、バンガロールであり、インド都市部であり。
裸足で、前時代的なやり方で、土木工事に従事する貧しき労働者は相変わらずで、ゴミの山は至る所で、河川の汚染は著しく、道路はガタガタで、「改善すべきところだらけ」のインド。
どんどんと先へ進むことよりも、現状維持で、この現状の不安定や問題点をまずは解決しないことには、基盤ががたがたと崩れ落ちてしまいそうだ。
なんにおいても「難関だらけ」であろうけれど、環境汚染を食い止めるべく、日本の優れた技術が、インドへもどんどん導入されていけばいいのに、と思われた。