ニュージャージーから、ハドソン川に架かるジョージワシントンブリッジ、その向こうに広がるマンハッタンを望む風景。
ではない。パッと見、きれいだが、近寄ると汚いムンバイに戻って来た。涼しいバンガロールとは裏腹に、気温は摂氏30度を超え、相変わらず蒸し暑い。
9/11。September 11th. 2001年の9月11日。
その年の7月にインドで結婚をし、まさに「新婚さん」だったわたしたちの暮らしを大きく揺さぶった日。わたしの住むニューヨークと、夫の住むワシントンDCが、テロのターゲットとなった。
結婚してもなお、ニューヨークを離れられなかったわたしだったが、夫との暮らしを最優先に決めた。10月に開く予定だったニューヨークでの結婚披露宴はキャンセルした。亡父が、初めて米国を訪れるはずだった機会は、この時、絶たれた。
本当に、本当に、語り尽くせないさまざまな出来事があった。あれから8年。月日の長さは、時間の長短では、はかれない。長いとか短いとか、定義づけてみることさえ無意味のようだ。あの日は記憶の中で、突出している。
さて、現在。
いつもは、バンガロールを4時過ぎに発ち、ムンバイに6時ごろ到着するジェット・エアウェイズ (Jet Airways) の便で戻ってくる。今回も、予約を入れておいた。
しかし、ジェット・エアウェイズ。今週の月曜あたりから、パイロット軍団が集団ストライキを行っていて、連日、国内線・国際線ともにキャンセル続出なのである。あり得ぬ。会社、つぶれるんじゃないかと思う。
詳細を綴るも面倒なので、もう少し知りたい方はこちらのサイトなどを参考に。
インドのエアラインの中では、個人的にジェット・エアウェイズが最も気に入っていた。フライトは安定しているし、サーヴィスも悪くない。キングフィッシャー(Kingfisher Airlines) ほどチャラチャラしていないし、「洗練された正統派」というイメージだった。
しかし、去年のちょうど今頃は、大量解雇問題が発生して大騒ぎとなったりと、決して安定した雰囲気ではなかった。
ともあれ、今日のフライトもキャンセルとなる可能性が高かったため、昨夜のうちに別の便を予約するべく、あれこれとチェックした。すると、キングフィッシャーその他、スタンダードなエアラインは、ここぞとばかり、料金が高い!
普段は片道5,000ルピー前後、高くても7,000ルピー程度なのに、軒並み1万ルピーを大きく超えているではないか。特に、利用したいと望む夕方の便は、すべて15,000ルピー以上、つまり3万円を超えている。
一方、割安の料金でフライトを提供するバジェット・エアラインであるところのインディゴー(IndiGo)は、予定よりも数時間早く出発せねばならない昼間の便とはいえ、4,000ルピーとかなり安い。
機内食などのサーヴィスは有料となるが、大した問題ではない。というわけで、インディゴーを予約したのだった。
空港に到着して、ジェット・エアウェイズの払い戻しをやったり、インディゴーのチェックインで重量超過料金700ルピーを徴収されたり(20キロを超えると1キロ当たり100ルピーが忠実に請求された)、若干の面倒があったものの、比較的速やかにチェックイン。
ボーディングは30分以上前に始まり、驚いたことに出発予定時刻の1時丁度に離陸したのだった。しかも、到着は2時50分だったはずなのに、2時10分にはランディング。30分以上も早い到着!である。
機体は新しく、フライトも快適で、ここ数日寝不足だったわたしはひたすら寝ている間に到着したという感じ。
ジェット・エアウェイズが飛んでいないため、空港&空がすいていたのかも知れないが、それにしても、時間通りで、いや、時間より早くて驚く。
ただ、乗客のマナーについて問題があれこれとあったが、書き始めると長くなるので今日は割愛。
ところで早い到着、で思い出した。
あれはサンフランシスコからワシントンDCに向かう便だったか。エアラインは忘れた。確か7時間前後のフライトのはずだったのだが、なぜか1時間近くも早く到着するとの旨、アナウンスされた。
特に遅れていたわけでもないのに、訝しく思ったわたしは、
「どうして1時間近くも早く到着するのですか?」
と、フライトアテンダントに尋ねた。と、彼女は笑顔でこう答えたのだった。
「今日はパイロットのお嬢さんの誕生日らしくて、早く家に帰りたいらしいのよ」
む、娘の誕生日だから、パイロットが飛行機かっとばして、早めに帰宅?
ダイナミックなアメリカ世界につくづく驚嘆したものである。っていうか、そういうの、アリですか!?
他国の在住経験なく、日本からインドに赴任している人たちの多くは、インドの非常識を嘆く。しかし、どんな国であれ、異国での暮らしは、母国のそれに比して、多かれ少なかれ「非常識?」なことが多いのだということを、書き添えておきたい。
さて、本日。空港に向かう途中、THE WINDSORに立ち寄った。ホテル内で、OWCが支援する慈善団体のエキシビションが開催されていたのだ。
年に一度のこのイヴェント。バンガロール拠点の慈善団体を知るよい機会である。2年前に訪れたきりで、今回が2度目だが、以前よりも閑散としていたのが気になった。
ともあれ、急ぎ全ブースを巡り、資料をもらい、話を聞いて、イメージを掴んで来た。今後、チャリティ・ティーパーティを開催した際、集められた寄付金や寄付の品々を託す団体を選ぶための、目安になった。
すでに訪れたことのある慈善団体も5カ所以上あり、顔なじみの人々と挨拶を交わし、この2年のうちにも、地道ながらも活動をしてきたのだ、ということが実感できた。
さて、今回の訪問で印象に残ったのは、バンガロール唯一とされるがん患者のためのホスピス。ぜひ一度訪問してほしいとスタッフの女性たちに頼まれた。
精神的に、かなりの重さを感じるが、しかし同時に、実情を知りたい。豊かな緑に包まれた、その穏やかな環境にあるというホスピスを、近い将来、訪問してみようと思う。
■慈悲喜捨の心で以て。慈善活動を知る日。←2年前の同イヴェントの記録。