本日は、終日部屋で仕事をしている。ムンバイに来ているとはいえ、「遊びに」というわけではないのだ。と自分にいい聞かせながら、である。
今回は、ホテルではなく「マラバーヒル・クラブ」というソーシャル・クラブに滞在している。インド都市部には、英国統治時代からの社交クラブ、スポーツクラブがあれこれと存在する。また、それぞれのコミュニティ別のクラブや地域のクラブなど、さほど敷居が高くないクラブも存在する。
ムンバイでいえば、ジムカーナ・クラブ、ウィリンドン・クラブ、ラジオ・クラブ、ヨット・クラブなどがある。
本来はメンバーしか利用できないが、クラブ間に相互協定のようなものがあり、わたしたちはバンガロール・クラブの家族メンバーであることから、上記クラブに出入りすることができる。
このマラバーヒル・クラブに関しては、夫がデリーのパンチシール・クラブの家族メンバーであることから、関連クラブであるこのクラブの宿泊施設を利用することができた。
ソーシャル・クラブの詳細については、これまでも幾度か記したので割愛するが、今回、ホテルではなくクラブを選んだのにはいくつか理由がある。
高級ホテルの場合、1泊あたり軽く2万円を超えるホテルがほとんどだが、ここは1万円程度で宿泊できるのだ。
直接のメンバーであればその半額。
バンガロールクラブの宿泊施設も安いが、しかし部屋のクオリティが「ユースホステル的」で決して快適とはいえない。
しかしこのマラバーヒル・クラブは部屋も広々ときれいだし、ベッドも快適。バルコニー付きで外の風も入ってくる。
デスクももちろんあって、インターネットもつながる。しかも無料。
夫の仕事の関係で、ホテルに長期滞在することが少なくなかった身としては、ホテルの魅力も十分にわかっている。たとえば南ムンバイの場合、オベロイやタージなど、確かに麗しくすばらしい。
しかし、部屋の窓が開けられないのが辛い。1週間を超える滞在となり、丸一日を部屋で過ごす日があると、閉塞感を覚えずにはいられないのだ。
一方、このクラブはマラバーヒルという一応閑静なエリアにあり、風の通りがよく、居心地がよい。このマラバーヒル。古くからの高級住宅地で、パルシー(ゾロアスター教徒)の居住エリアでもある。
パルシーは、TATAをはじめ、財界人が多い富裕なコミュニティだ。血縁を重んじることから近親婚が多く、何百年後かには消滅するのではないか、という噂もある。ムンバイのパルシーについて詳しく知りたい方はこちら(インドのゾロアスター教)を参照のこと。
さて、左の写真は、本日クラブ内のレストランで食したランチだ。
日本のカレーの、しかも翌朝、鍋底に残っている冷めたもの。
を彷彿とさせるこのカレー。
いや料理。
パルシー・コミュニティの料理で、ダンサク (Dhansak)と呼ばれるもの。
今回2度目の挑戦である。
一度目は、南ムンバイの"Cafe Universal" という店で食べた。そのときの「不思議味覚体験」以来、食べる機会がなかったのだ。
あの味を、わたしは好きなのかどうなのか、確認したく、今日はチキン・ダンサクを注文した。このカレー状のものは、濃厚ダル(豆の煮込み)のようなもの。ナスなども入っているらしい。
それにマトンやチキンが入るのだが、一口目がどうしても「まぬけ」と感じるのだ。口に入れた途端「おいし〜い!」と感じる料理の対極にあるような、「えっ?」と一瞬戸惑う、まぬけ味。にも関わらず、次の瞬間には辛みが襲ってくる、マイルドを装って実は攻撃的な面も持つ。
このまぬけな理由はなんだろうと思うに、インド外食で多用されがちな「塩」が少ないせいかもしれないと思った。
普段は塩分控えめなわたしが、敢えて塩をかけてみたところ、意外に味がひきしまって口に合う気がする。それにしても、前回同様、おいしんだかなんだかわからないまま、ほとんど平らげたということは、きっとおいしかったということだろう。
ちなみにここに限らず、ソーシャルクラブ内のレストランというのは、ほとんどが格安だ。そもそもレストランで利益を得ようとしていないということもあるのだろうが、安い。
高級ホテルのようにフルーツたっぷりの朝食ブッフェを楽しめないのはつまらないが、それはそれ。贅沢を言うなという話である。外の店でフルーツなどを買い込んでおき、ルームサーヴィスにトーストだけを頼んだところ……8ルピーだった。
トースト2枚、16円。
ルームサーヴィスで、16円!
と、思わず笑ってしまうほどの安さである。こうなると、チップはいくら払うのが妥当か、わけがわからなくなる。
つまり原価とは、それほどまでに安いのであるインドとは。このランチにしても、サラダと、しぼりたてのスウィートライム・ジュースを注文して140ルピー。280円だ。
10年以上前のインド価格が健在。といったところであろう。
さて、レストランといえば、富裕層のご夫人らや、老齢のメンバーらで、それなりに賑わっている。夕刻になると、子どもたちがプールで泳ぎはじめる。プールサイドでは、ナニー(乳母)たちが、子どもらを見守っている。
ちなみにテニスコート、ジムなども完備している。ゴルフコースのあるウィリンドン・クラブのような開放感はなく、比較的こぢんまりとしているが、感じのよいクラブだ。
来週火曜日まで、ここを「第二のわが家」に滞在である。明日も終日、部屋で仕事の予定。気分転換に館内探検でもしてみよう。
インド発、元気なキレイを目指す日々(←Click)
■ムンバイに来ています。