3月が去ろうとしている。ここ2日は、日本人の駐在員夫人の方々との交流が多かった。実はここでも幾度か紹介したタージ・ゲートウェイホテルにある南インド西沿岸部の料理を出すKARAVALLIのランチ、それもシーフード・ターリー(定食)がどうしても食べたくなり、まだ食べたことのないという友人知人とともに訪れたのだった。
久しぶりに、あれこれとヴァラエティ豊かなシーフードが味わえると思いきや! 1週間前にメニューが刷新されたというではないか!
わたしはあの、どこかしら癖になる濃厚な、わが家の家庭料理ではあり得ない強い風味の、高カロリーの、食べ尽くしたら夕飯抜きな状態になるような、しかしスパイシーで美味なシーフードタリーが、ときに必要だったのに。
母が遊びに来たときも、クライアントが訪れたときも、必ず立ち寄って、食べてもらっていたのに。今日だって、「おいしいのよ〜!」と彼女たちを誘ったのに、どうしてくれよう!
ランチメニューは、ターリーではなく、ティフィンになっていた。ティフィンとは、インド式弁当箱のことである。確かに見た目は「楽しげ」だ。しかし、そんなもの、一瞬のことだ。解体してテーブルに並べたら、なんのことはない、容器である。
しかも、5段重ねで一見、豪華だが、一つはライス、一つはロティ、つまりおかずは3種類しかない。野菜を除いたら、シーフードは2種類だけ。しかも魚だけ! つまらん。つまらんにもほどがある!! が、つまらんがっても同席している人に申し訳ないので、それなりに楽しむ。
しかしこれでは、プリン・アラモードを食べたかったのに、プリンだけを与えられたようなものである。
幕の内弁当を食べたかったのに、ご飯と味噌汁と焼き魚だけを与えられたようなものである。
しかしまあ、おいしかったので、我慢した。といいたいところであるが、ここで黙って引き下がることができようか。いや、できまい。
ウエイターのボスのようなおじさんが、
「新しいランチはいかがですか?」
と問うたので、
「前のほうが断然良かったです! 今日はいつものターリーを楽しみに、こうして友人をつれてきたのです! がっかりです!」
と、きっぱり、伝えた。
と、おじさんも「やっぱりな」という表情で、「マネージャーに伝えておきます」とのこと。どう考えてもコスト削減としか思えないこの変化。受け入れ難い。
彼曰く、前のメニューだと、料理を残す人が多くて無駄が多かったとのこと。少なくとも4年間も同じメニューを出しておきながら、今更それは理由にならんだろう。
なら最初は少なめについでおいて、おかわり自由にすればいいのでは? などと余計なアドヴァイスまでする。
ちなみに下の写真が従来のシーフードターリーである。魚数種類に加え、エビやイカなど、種類も豊富である。今は幻である。
そういえば、以前は同じ料金で「白ワイン」までついていたのだ。それがなくなったとわかったのが今年の1月。しかし「ワイン、つかなくなったのですか?」とさも残念そうに言ったら、そのときは、サーヴィスでつけてくれたのだけれど。
「マネージャーに話しておきます。また来てください」
と言うので、
「前のランチでなければもう、二度と来ません。お願い、戻して。」
と頼んでおいた。
KARAVALLI。今後の動きに注目である。
さて、本日。毎週木曜日のOWCコーヒーモーニングのあと、やはり日本人駐在員ご夫人らに誘われて、「足の手入れ」へ行った。人気店らしく、いつも約1カ月後の予約しかとれないとのこと。わたしは今回、初めての来訪だ。
昔ながらのホテルの一画にある、オープンエアの待合室と小さな施術室があるだけの、言ってしまえば掘建て小屋のような建物。
爪のお手入れをはじめ、角質化した皮膚の除去や、魚の目やタコなど、足全般の手入れをしてくれるらしい。
話を聞いたところ、彼ら一族がこの仕事をしていて、バンガロールには、この技術を持つものは自分たちしかいないとのこと。
なんでも彼のおじさん(多分遠縁のおじいさんだと思う)が、1940年代にチェコスロバキア(現チェコ)に渡って技術を習得したとのこと。
彼曰く、チェコ拠点のBATAという靴メーカーがインドに進出した当時、BATAで働く社員のうち、各州代表で一人ずつチェコスロバキアに派遣され、この技術を習得させられたのだという。
当時は非常に珍しく、妙な仕事として受け止められていたとのことで、ともあれ、BATAはこのフットケアのサーヴィスをやめてしまい、技術を持った人がビジネスとして家族に技術を伝授しながら今日まで引き継いできたとのこと。
「チロポジストっていうんです」
と、彼。と、思い出した。
以前ムンバイのタージマハル・パレスのビューティーサロンで、抜群に爪の手入れがうまいおじさんがいたことを。
それにしても、チロポジストって、聞き覚えがあるような……。チロポジスト……?
そうだ、それはカイロポジストChiropodistのことであろう。
タージマハル・パレスのおじさんもまた、彼のおじいさんから技術を受け継いだと言っていたが、ひょっとして彼もチェコスロバキアへ行ったのではなかろうか。
インドにはこの技術を教える学校のようなものがないとのことなので、ひょっとするとそうかもしれない。
2年前にもここで記した(←CLICK)が、話に共通点が見えた。それにしても、今から70年前の技術が、地道に受け継がれているとは面白い。
さて、わたしの足はといえば、30分ほどで滑らかすべすべに仕上げてもらい、爪もきれいに整えられた。彼の親戚がわが家の近所で施術しているというので、今度はそちらに予約を入れてみようかとも思う。
インド発、元気なキレイを目指す日々(第二の坂田ブログ)(←Click)