↑本文と写真は関係ありません。ちなみに写真は近所のジャイナ教寺院
本日の話題は、爽やかではないが、ぜひ読んでいただきたい。
インドに来てまもないころ、つまり4年ほど前から、足の裏に発疹が出るようになった。
いくつもの小さな水泡ができ、軽いかゆみを伴う。数日その症状が続いた後、水泡がなくなり乾燥し、表面がつるつるになる。一カ所が治ると、また別の場所にその症状がうつる。
右の足の裏に限って起こる症状である。指先、かかと、つちふまず、さまざまな場所に、現れては消えるを繰り返す。足の裏だけあり、人目につかないのが救いだったが、もちろん気になる。
数軒の皮膚科を訪れたが、決め手となる治療を受けられなかった。とはいえ、生活に支障が出るような症状でもなく、アルコールを摂取するとかゆみが増す程度だったので、適当に付き合ってきた。
しかし、数カ月前から、症状が激しくなってきた。かかとの皮膚が、どんなに手入れをしても「激しく荒れる」のだ。インターネットであれこれと調べたところ、自分の症状と近い皮膚炎を見つけた。
掌蹠膿疱症
虫歯の際に使用される詰め物、あるいはクラウンの金属アレルギーが原因となることもあるという。
わたしは幼少のみぎりより、虫歯が少なくない。きちんと磨いているのだが、これは体質だろう。というのも、ろくに歯を磨いていなかった亡父は、1本も虫歯がなかったからだ。
それはさておき、福岡、下関、東京、ニューヨーク、ワシントンD.C.、バンガロール、ムンバイと、これまで住んだあらゆる都市で、十名を超える歯科医のお世話になってきた身の上。
米国の歯科医から、銀歯を多用する日本での治療(保険適用)を「呆れられた」ことは少なくない。笑うと口の端からキラン!と光る銀歯を見せていた時期もあるわたしである。
ちなみに歯については、キレイブログに一度記事を書いた。このときは、呑気に「見た目」のことを書いていたが、アレルギーを誘発するとなれば、それどころではない。
参考までにリンクをはっておく。噛めればいいというものではない。 (←Click!)
さて、もしも皮膚疾患の理由が歯のクラウンが原因となると、日本での治療があやしい。あやしいが、我が口中にはいわゆる「銀歯」が多すぎて、どれが原因なのか、わけがわからない。
さて、昨年。ムンバイの歯科医にて。右奥の下の歯2本を、治療した。過去に行っていた神経治療が不完全だったことと、もう1本の過去のクラウンがだめになったなど、諸々の理由で、隣接する2本をまとめてインプラントにしたのだ。
ひょっとすると、この2本を治せば、足裏の皮膚がよくなるかもしれないと思っていた。しかし、症状は変わらなかった。
ムンバイを離れる前、歯科医が言った。インプラントの上の歯のクラウンが、痛いんでいるから、バンガロールに戻ったら、治療した方がいいと。
そのクラウンは、記憶にはないが、かなりの「年代物」であるには違いない。多分大学1年の時、下関で治療した歯だ。つまり25年はたっている。
さて十日ほど前、ようやくバンガロールで「よさげ」な歯科医を見つけ、訪問した。件の銀歯を変えたいと言ったところ、銀歯が摩耗し、一部に穴があいているとの指摘を受けた。
歳月の流れを感じる。
などと悠長なことを思っている場合ではない。さっそく取り外してもらい、2種類在るという選択肢から、「最先端」のジルコニウム・セラミックのクラウンを入れてもらうことにした。
3Mが開発したもので、Lavaと呼ばれるプロダクツだ。これはムンバイの歯科医で使用したインプラントのクラウンと同じものである。
古いクラウンを取り除き、型を取り、クラウンの着け心地を確認し、今日は最終的にクラウンを固定する日である。それはそうと、ここ数日、わたしの右足の裏のかかとは、かなり滑らかだ。荒れの痕跡も、発疹の気配も見られない。
つまり、ほとんど「ノーマル」な状態となった。まさかとは思っていたが、やはりあの皮膚炎は、金属アレルギーが原因だったようである。
治療を終えて後、ドクターに皮膚疾患のことを説明した。と、ドクターは言った。
「ミホ、君のクラウンは、ニッケル・クロム合金だったよ。インドでも米国でも、ニッケルの使用は禁止されているんだよ。有毒性物質だからね。
実はうちに、ドイツ人駐在員の患者が来ているんだけど、彼女は昔詰めた金属のクラウンを、全部取り替える勢いだよ。ドイツじゃ、皮膚アレルギーどころか、アルツハイマーや癌の原因にもなると言われていて、敏感になっている人が多いらしいよ」
とのことである。
アルツハイマー? 発がん性?
先ほど歯科医から戻るや否や、インターネットであれこれと検索した。古い銀歯だから、ということで、仕方がないとさえ思おうとしていたのだが、なんと日本では今でも、保険適用の金属として使用されているというではないか。
保険が利くということは、もっとも利用者が多いはずで、危険性を承知で放置している厚生省っていったい……。
いくつかのサイトから、適当に抜粋してみる。
- ニッケルクロム合金が保険適用となっていますが、ニッケルの生体為害作用が問題視され最近では使用が控えられている傾向が見受けられます。
- 保険では「金銀パラジウム合金」 と「ニッケルクロム合金」の2種類が、クラウンに使用できる保険適応の金属として指定されています。
- 保健金属の一つであるニッケル・クロム合金は、発がん性物質です。
- 歯の詰め物やかぶせ物の金属があなたの体に合っていないと、金属アレルギーが出ることがあります。アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、頭痛、肩こりなどが病院に通ってもなかなか治らない方は、歯の金属アレルギーを疑ってみてください。
異様に読みにくい文章だが、このようなサイトも発見した。昭和63年3月24日の記録である。
■鋳造用ニッケルクロム合金導入についての国会質疑(←Click!)
まじかよ。というような、内容である。
今から20年以上も前に、こんな話が出ておきながら、日本では今でも、ニッケル・クロム合金が保険適用の金属だというのだ。
ちなみにこの国会質疑によれば、ニッケル・クロム合金が日本で承認されたのは昭和45年。昭和58年3月に保険に導入。わたしが18歳の時。大学に入学した年。問題のクラウンは、下関で入れたものだとの確信を新たにした。
それにしても、会話のやりとりに、愕然とさせられる。
-鋳造、研磨、調整にあたり、粉塵による人体への影響が有るので十分注意すべきである。
- こんな悪い材料。こんな物性が固くて、高径の調整ができない、粉じんに注意しなさい、こんな危ないものを人間の健康にかかわる厚生省の保険局が承認したのですか。
- 冠用としての使用は当然中止されるべきである。
なんということだろう。粉塵どころか、穴があくほどまで劣化した金属が、我が体内に取り込まれていたとは! 今更遅いが、解毒してくれ! というものである。
わたしは、確証の得られないネガティヴな情報に左右されるのはよくないとの思いから、このような情報を得ても、極力紹介することは控えている。
しかし、この件に関しては、自分自身が明らかに、軽症ながらも身体にダメージを受けたこともあり、書かずにはいられない思いである。
歯科医によっては、ニッケル・クロム合金の使用を控えている人もあるだろう。それにしたって、だ。
わたしの口中にはまだ、銀歯が何本かある。すべて15年以上物、である。ニッケル・クロム合金が含まれている可能性が非常に高い。
ニッケル・クロム合金が、皮膚アレルギーだけでなく、本当にそれ以上に深刻な疾患の原因となっているとしたならば、とっとと取り除きたいところだ。
しかし、特に問題の発生していない箇所に手を加えるのはまた、弊害がありそうで、気が進まない。
ところで、ニッケル・クロム合金の延長で、あれこれとサイトを見ていたら、「アマルガム」という詰め物についても発見した。
これは水銀を含んでいるとか。読めば読むほど、くらくらとしてくるので、関心のある方は、各自検索されたい。
上記の件、かなりの衝撃だったので、急ぎ書き上げた。さて、これからムンバイ行きの飛行機に乗るべく、家を出る。夫は一足先にムンバイ入りしている。
夫の出張に便乗して、各地を訪れる妻。という我々のライフスタイルについて、書きたいと思っていたが、ニッケル・クロム合金を前にしては、果てしなく、どうでもいい話であった。
お腹が空いたが、歯科医からクラウンを詰めた後7時間は食事禁止を言い渡されている。午後4時まで何も食べられん。たまらん。
それでは、行ってきます。
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