昨日は、在バンガロール日本人女性からなる「さくら会」の集いで、インド古典舞踊ワークショップに出席した。
講師は、ちょうど今から一年前、BEC (BANGALORE EXPATS CLUB)のイヴェントで、やはり講師として招かれていたヴィジャヤンティ氏だった。
あのときは、彼女の教え子たちのダンスが主体であり、彼女の説明はあくまでも補足的なものだったのだが、その説明の最中に見せる踊りの仕草や表情の豊かさに心を奪われ、なんとすばらしいダンサーだろうかと感嘆したのだった。
その後、彼女が専門としているところの踊り、アンドラ・プラデシュ州発祥のクチプディ(kuchipudi)を、習いたいとさえ、瞬間的に思ったものである。
古代からインドに伝わる踊りの概要や、その意味するところ、歴史などを、かなり掘り下げてのレクチャーだ。背景を知った上で踊りを見ると、その表現の意図するところが想像でき、同じ見ているでも異なる側面から楽しめる。
思えば昨年末の日本人会総会の折に、オディッシーダンスを披露してくださった日本人ダンサーの小野雅子氏の説明が、インドのダンスを見る上で、非常に役に立った。
■インディア・フェスティヴァルな一夜。2010/06/16 (←Click!)
太陽の光、風のうねり、水の流れ、木の葉の揺らぎ、大地の抱擁……。
自然の有り様を、身体で表現する。それはまた、宗教とも深く結びつきながら、時代時代によって形を変えながら、それぞれの地で、それぞれの世界観で、引き継がれてきた。
外なる世界……大自然を、宇宙を引き受けて舞うと同時に、内なる世界……人間性を表しながら、舞う。
勇壮でたくましく、戦闘的な男性性と、やさしく、しなやかで、包容力のある女性性との調和。
そして、9つの感情の、表現。
LOVE 愛
CONFIDENCE 自信
SURPRISE 驚き
PITY 哀れみ
TERRIBLE 過酷な
FEAR 恐れ
JOY 喜び
ANGER 怒り
PEACE 平和
最早、踊りに限ったことではない。
自らの、心のなかに渦巻く諸々の感情の所在を認め、それをいかに表出していくか。
他者へ表現するか。伝えるか。
陰陽、正負、善悪、ポジティヴとネガティヴ。
善人一辺倒の人間など、ありえない。それはあくまでも、見え方の問題だ。
自分の中の毒を、いかに解毒しながら、浄化しながら、平和な調和を実現しながら、生きてゆくか。
めまぐるしく表情を変えながらの、ヴィジャヤンティの舞いを目の当たりにしながら、自分の心に渦巻く感情の様子に、思いを馳せる。
人を批判するなかれ。自分の内なる世界を見つめよ。
豊かな感情の動きを、否定するなかれ。受け入れよ。見つめよ。
そして平和であるために、どうあるべきか、考えよ。
そんなことを、教わっているような気がするのだった。