カニンガムロードにあるHATWORKS BOULEVARDというブティック群。庭のある、古いバンガロー(邸宅)を改装して立てられたもの。
屋外にガーデン用品の店、HYBISCUSがある。久しぶりに訪れたところ、「仏さま」が随所に。インドネシアからの輸入商品らしい。
インテリアにオリエンタリズムを取り込み、仏像のオブジェを飾ったレストランやブティックなどをよく見かける。個人的には、好きではない。
というのも、そこにある仏像は、あくまでも「飾り」であり、宗教的な有り難みのようなものが失せているからだ。それらに対して「合掌したい」という衝動はわかない。
一方、インドの神様はカジュアルだ。安っぽいガネイシャ像もよく見かける。我が家にも、あれこれとある。ヒンドゥー教の神様は、非常にフレキシブルな印象だ。
さて、久しぶりに訪れたHYBISCUSの仏像の多くは、「手を合わせたくなる」ものだった。特にその中の一体が気に入った。
目にした瞬間、庭においたイメージが浮かんだので欲しいと思う。が、夫に相談するべきだろう。相談したところ、一度見てから、というので、二人で赴いたのだった。
夕日を浴びて鎮座する仏像は、やさしげだ。
夫はあっちから、こっちから、眺めては、吟味している。
わたしはもう買うつもりなのだが、夫は別の仏像が気に入った様子。しかしそれは、目の細工が不完全で、わたしは好まなかった。
「本当に、これがいいの?」
「庭に置いてたら傷まない?」
どうしようか〜。と言いながら、店先のハンモック式チェアーでくつろぐ夫。店先でくつろぐな、という話である。
結局のところは、妻の勢いに押される形となった夫。購入に同意したのだった。
とのことなので、まあ3時にはなるだろうな、と思っていたら、1時には配達に来たので、驚かされる。
200キロを軽く超えるらしきこの仏像。3人のスタッフにより運ばれて来た。台車に乗せられ、ゴロゴロと。
「仏さまの、おなり〜」
という感じだ。花びらでもまき散らしたい気分である。
庭の一隅。木陰の、家全体を見守っていただけるポジションに、据えた。
想像していた通り、仏像は、あまりにもしっくりと、我が家におさまった。仏像を据えた直後、蝶が舞い飛んで来た。
今後、この周辺のレイアウト、植物の配置を整理して、清らな心を育む空間を創造したいと思う。
昨日は、「プチ・チャリティ・ランチパーティ」を開催した。いつもは午後2時ごろからのティーパーティだが、子供のお迎えの都合で参加できない方々が少なくないようだ。
従っては、今日は4名の方をお招きし、正午から3時までのランチパーティとしたのだった。ランチはみなさんがご用意してくださったので、わたしはマンゴーのタルトレットを作る。
最近、あちこちでオープンしているKFCやらマクドナルドなどのテイクアウトでもわたしはノープロブレムだったのだが、みなさんおいしそうな手料理をお持ちくださった。
食後は、庭で、タルトとコーヒーを。その後、2時から『インド料理とスパイス講座』を開催。みなさん、インド料理にはご興味、関心があるものの、概要を知る機会がなく、またスパイスも使い方がわからないという。
確かに、わたしも義姉スジャータや、元家政夫のモハンがいなければ、学ぶ機会は少なかった。こういう情報は、なるたけ多くの人たちとシェアしたいと思わされた。
また、インド料理だけでなく、インドの食材で作る日本料理やコンチネンタル料理についても、実はレクチャーが有効のような気がする。
我が家は最低限の日本の食材で、日本の料理を作っているので、そのあたりのことも、もっときちんと伝授できるような資料などを作ろう。
大勢の方々を招いての会もいいが、こうして小人数の方が、話がじっくりできるという点において、落ち着いてよい。
今後は4人以上からのプチなチャリティの集いを、頻繁に行おうかとも思う。
ところで昨日は、IIT'sの合格発表日であった。IIT's、すなわちインド工科大学。詳しくはウィキペディアなどを参考に。
夫は現在、ハイダラバードにある私立受験校への投資にも携わっているため、インド教育事情についてもやたらと詳しい。
ここ半年ほど、熾烈な受験世界の話を聞かされていたが、聞いているだけで、人ごとながら「呼吸が苦しくなる」ほどのストレスを感じるので、なんとなく聞き流していた。
ちなみにIIT'sは現在インド全国に16校ある。全体での合格枠は1万人。対する受験生は48万5000人。競争率は約50倍。
夫が投資したその私立の学校からは、その48万5000人中1位が出たらしい。10位以内に3人が入っていたらしく、その教育方針たるやすごそうである。
ちなみにハイダラバード擁するアンドラ・プラデシュ州にはこの手の受験対策私立学校が少なくないらしく、合格者の25%を占めているとのこと。
ちなみにインドで最も貧しいとされるビハール州には、学費を払えぬ貧困層を対象としたフリースクールがある。確か以前、NHKの『インドの衝撃』という番組で取材されていた。
そのフリースクールの中でも成績上位者30名を募っての、"Super 30"というチーム、いや、グループがあり、より進んだ集中授業が行われている。
今年は、その30人のうち、24名が合格したとのことである。
夫曰く、彼の投資している学校の教育方針たるや壮絶で、一日15時間だか18時間だか、勉強漬けらしい。
「あそこは、まるで工場だよ。インドの教育熱は、よくない方向に益々向かってる」
と言う。なら、そんな学校に投資すなよ。と思うが、それは同時に伸びゆくマーケットであり、投資する意義があるらしい。
プライヴェートでは温厚なマイハニーだが、仕事になると、たいそうシビアである。自分の生き方、考え方に反する仕事は避けたいと思っている妻とは大違いだ。
かくいう彼も、インドでの受験戦争をくぐり抜けて来た一人。彼は最初からIITには興味がなかった。彼にとっては、米国に出る以外、考えられなかったようだ。
「あなたの時代の方が、まだ、ずいぶん楽だったんじゃない?」
「ぼくたちだって、大変だったよ」
「じゃあ、ストレスがたまったでしょ?」
「ううん。僕はいつもトップだったから、ストレスなんかなかったよ」
に、憎らしい……。
たとえトップクラスであろうが、それはそれでストレスが募るということは、義姉スジャータの話を聞いていてもよくわかる。彼女の受験にまつわる話も、そらもう、聞いていて胃が痛くなるほどであったから。
このごろは、主要な試験の結果が出た後に自殺をする学生のニュースが少なくない。そういう事態がこれから先も、進むのだろうか。
それにつけても、わたしの高校時代。まるで阿呆であった。
わたしも、もっと勉強するべきやった。
などという話をすると長くなるので、この辺にしておく。