これは、ニューヨーク在住時代から思ってきたことの一つである。
たとえば自分が米国で、自社出版のmuse new yorkやらmuse Washington D.C.やらを制作していたころ。
薄い小冊子とはいえ、1万部を印刷。企画、取材、撮影、原稿執筆、図版制作、編集、デザイン、印刷手配、配達までをすべて一人でやっていたころ。
熱いな。
&若かったな。
が、それなりに、逡巡はあった。仕事の利益を、その制作につぎ込み、自分の労力も使いまくっての冊子作り。作るのが好きだから、楽しいから、だけではすまぬ規模。
そんなとき、自分を鼓舞するために、強引に、思っていたのだ。
「海外赴任家族の幸せが、日本の未来を救うのだ。」と。
この冊子を読んだ日本人、駐在員や駐在員家族などが、情報を役に立ててくれることによって、米国での生活が楽しめれば、仕事にも好影響を与え、会社の業績もあがる。ひいては日本の経済にも貢献するのだ。と。
まるで「風が吹いたら桶屋が儲かる」のような話だと思ってはいたが、自分のモチベーションを高めるには、それなりに有効だった。
クライアントからの仕事は、「縁の下の力持ち」的なものが多く、自分の個性を発揮できるところまではいかない場合が多い。
自分ならではのなにかを作りたいという思いも、もちろんあった。というか、それが主たる出版の理由だった。
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今のわたしもまた、同じような心境にある。現在のクライアントからの仕事は、主に日本に暮らす日本人へ向けてのもの。
新聞記事、業界紙、インド関連情報紙への執筆、そしてラジオのレポート、リサーチのコーディネーション……。ある特定の人の目にしか触れず、ここに住んでいる人たちからは遠い。
一方、インターネット上に提供する情報は、多くの人々の目に触れる。
アクセス解析をすれば、読者が最も多い都市はバンガロール、次いで東京、そして世界各地、各都市がばらばらと……といった状況だ。
ホームページを充実させることが、インド生活の現状の一端を伝える効果があることは、理解している。
同時に、チャリティ・ティーパーティなどの場で、インド生活のレクチャーをすることも、意義深いことであると「自負するように」している。
「海外赴任家族の幸せが、日本の未来を救うのだ。」
これは、インドを訪れ、歳月を重ね、現在の日本の状況を鑑みるに、かなり説得力のある言葉になりつつあるような気がしている。
日本は最早、海外に活路を求めることを積極的に考えぬことには、立ち居かなくなるだろう。なんてことは、わたしが改めて言うまでもなく、周知の事実だろう。
「ビジネス面」の海外進出は語られてはいるものの、精神面においての海外生活を説く人、あるいは書物などは非常に限られていると思う。
駐在員やその家族のメンタルヘルスを管理するカウンセリングなどは、実は何よりも大切なことのように思える。
加えて、海外での生活に慣れるためのオリエンテーションのようなもの。このあたりを最初にしっかりとやっておくかおかないかでは、その後の生活が大きく変わる。
家族全員で赴任しても、妻や子供が生活になじめなければ、夫は当然、仕事に集中できない。そもそも職場でもカルチャーショックの連発なのに、家庭も嵐が吹き荒れていたのでは、いい仕事ができるはずがない。
加えて肉体の健康も重要だ。健全な精神は健全な肉体から。そこが揺らいでいたのでは、やはり力を発揮できない。
健康の源は、栄養のバランスがとれた食生活。なるたけその土地その土地の、品質のよい、安全な食べ物を口にするのが好ましい。
前置きが長くなったが、一昨日の金曜日は、13回目のチャリティ・ティーパーティを開いた。
当初はインドの貧しい人々に向けて、なにかをしてあげるために、というスタンスが色濃かったが、今は多分、違う。
この場を設けることで、参加者には、別の意味合いを見いだしてもらいたいとも思っている。
今回は新しい方々を多く招き、基本の講座であるところの『インド料理とスパイス』を催した。同時に、インドの食生活について、多岐に亘って説明をする。
インド生活を積極的に受け入れようとしている方々ならば、きっと得られた情報を自分なりに咀嚼して、インドでの生活に生かしてくれることだろう。
99%、インドで調達したもので、おいしい物が作られるということは、あらゆる生活基盤の「基本」でもあると思うのだ。
そんな次第で、本日は、「我が家の食卓がアルフォンソ・マンゴー祭り」である。マンゴータルトのほか、マンゴームースも作った。毎度おなじみのスコーンも焼いた。
インドになじみのない方が多いので、インドならではのスウィーツ(ミシュティ)も購入した。
コルカタに本店を置くベンガル・スウィーツの老舗「K.C DAS」は、バンガロールにも大小の店舗が10以上ある。
ここで、甘くて濃厚なヨーグルト、ミシュティ・ドイ(写真右上)や、チャムチャム、小粒グラブジャムン(写真左上)などを買い求めた。
みなさん、好奇心旺盛、食欲旺盛で、あれこれと試される。全体に概ね好評で、よかった。
ところでアフタヌーンティー気分を盛り上げてくれる二段重ねの皿。これはFabIndiaのインテリアコーナーで購入した。最近、FabIndiaはお洒落なアイテムが増えている。
さて、参加者のほとんどが、バンガロール移住前からこのブログをご存知だとのことで、この会のことも知っていらした。
楽しみにしてくださっている旨を、率直に伝えていただけるのは、わたしとしても、とてもうれしい。
このごろは、以前に比べて「ブログの情報を参考にしています」という声を届けてくれる人が増えたので、それもまた、うれしいものだ。書き甲斐がある。
地蔵前の一隅にて、茶会を楽しむ参加者。円坂寺の地蔵は、本当におやさしいお顔で、人々を見守ってくださるのである。
本日は、絞りのサリーを着用の我。サリーに興味をもっていらっしゃる方も多数あるので、近々「サリーの買い方、着付け方講習」なんてのも、開いてみようかと思う。
細身で小柄な日本人に好適なサリーというのがあるので、そのあたりのアドヴァイスなどもできる。
太身で大柄な日本人にの方は、基本、どのようなサリーでも着こなしやすい。日本では服を選ぶのに苦労する方こそ、インドのサリーを満喫してほしいものである。
たまたま肉屋で、新鮮な鶏肉を仕入れて来たばかりだったので。
今回、二度目の調理実習だが、鶏肉捌きを見てもらうのは、初めてのこと。
丸ごと鶏肉は、骨のだしがとれて、本当においしい。
今度、動画でも撮ってYouTubeに載せようかしらん。
ちょっと怖いかしらん。
ちなみに写真は、首の部分を切っているところ。
この後、手羽や足の部分を切るのだが、ターンと力一杯切らずとも、包丁を傷めることなく、関節のあたりから静かに刃を入れられるところを見てもらった。
首や胴体の部分は、やわな包丁ではちょっと切りづらいので、料理ばさみなどを用いるのもいいだろう。
ところで、右上写真の、恰幅のよい人影は、我が家のメイドのプレシラである。怪力プレシラ。破壊力満点のプレシラ。
中学時代、クラスの女子の中で、最も握力の強かったわたしでも開けられない瓶の蓋などを、こともなげに開けてくれる。一方、繊細な石鍋をガシガシと洗って、取っ手をへし折ったりする。
左写真。あまりにもしょぼくれた顔で写っているので、小さく調理実習の様子を。
時間がないいるので、じっくり煮込むことなく、チキンカレー作りのデモンストレーションを行う。
ルー(玉ねぎ、トマト、スパイス、ヨーグルトなど)を煮込むまもなく、火が通ったところで鶏肉を入れ、やはり鶏肉に火が通ったところで、急ぎ「味見」をしてもらった。
味が浅かったが、それなりにイメージは掴んでいただけたと思う。
が、参加者の皆様。
あのあと20分ほど煮込んだら、あれよりもず〜っと旨味のある、まろやかなチキンカレーとなります。あの晩は夫が会食だったので、わたしはひたすら、ひとり黙々と食しました。おいしかった。
ぜひ、自宅でもお試しあれ。
話題変わって、こちらは齋木昭隆氏。今年より、インド大使(インド駐箚特命全権大使)に就任され、今回はバンガロールに初訪問とのこと。
IJCCI(Indo Japanese Chamber of Commerce and Industry)からの招きで、レセプションに出席した。