4泊5日の東京滞在も、瞬く間に過ぎてしまった。軽く記録を残しておこうと思っていたが、すでに夫が福岡に到着してしまい、のんびりとしているいとまもない。
昨日の夕刻、東京から福岡へ戻って来た。そして今朝、夫を迎えに福岡空港へ。8時10分着のシンガポール経由便。無事に夫を出迎え、自宅へ。
シャワーを浴びてもらい、仮眠を取っている隙を狙って、コンピュータに向かっている次第。
今回の日本滞在は3週間余り。日本を離れて以来、16年のうち、父が他界したときを除いては、これほど長い滞在は初めてである。
ゆっくり時間があるような気がしていたが、旅先での日々は流れるのが早い。
今回の旅は「詰め込みすぎず、食べ過ぎず」を強く心がけていたので、比較的ゆとりはあるのだが、それでも振り返れば濃密だ。
ところで、上の写真。東京タワーと富士山。シンボリックな二つの見事な姿を目にできた、昨日はラッキーな一日だった。
福岡と東京を行き来するフライトでは、必ず富士山が見える窓際の席を取るのだが、今回ほど間近にくっきりと見えた富士はなかった。
ダイナミックな景観に、感激した。
福岡での仕事、東京での仕事を無事に終え、ほっとしているところだ。
いずれの地でも、講演は好評を得て、また来年以降への種まきも完了した。
左の写真は、福岡にて。
ここでもまた、新たな仕事をさせてもらうことになった。こちらに関連の記事が掲載されているので、ご覧いただければと思う。
以下、東京での数日間に撮影した写真をピックアップして、残しておこうと思う。
福岡から羽田へのフライトは「史上最悪!」と思えるほどに揺れたフライトだった。
羽田に着陸する前の数十分間。寒波の影響だというその揺れ、ローラーコースターのように上下左右に揺れ、三半規管の弱いわたしは、すっかり弱ってしまった。
が、空港で友人たちに迎えられるころにはほとんど回復し、空港の中国料理店で共にランチを楽しんだのだった。
ランチのあとは、ホテルへ。今回は、福岡の友人に勧められていた芝公園近くの「セレスティンホテル」に予約を入れていた。
今までは、滅多に帰国するわけではないので、便利で快適なホテルを、ということで品川のストリングスホテルを利用することが多かったのだが……一人で何日も泊まるには高い。
東京に滞在すると、夜はタクシーを使ってしまうことも多いので、無駄遣いをしている気にさせられてしまう。諸々考え合わせて選んだこの「セレスティンホテル」。総合的にみて、非常によかった。
部屋は狭いが、機能的。一人で泊まるには十分だ。もっとも、ツインは、部屋も広めのようである。
このホテルの利点は、ロビーのほかにラウンジとパティオがあり、宿泊客が自由にくつろげること。客室数がさほど多くないので込み合うこともなく、使い勝手のいいホテルである。
しかも、宿泊費が非常にリーズナブル。
ロケーションもわたしの行動範囲に適しており、銀座、赤坂、六本木界隈へも赴きやすい。空港へのアクセスもよく、今後はここを使おうと決めたのだった。
ただし朝食は、普段、インドの高級ホテルのそれに慣れてしまっている(!)ので、お値段の割に非常に物足りなかった。ストリングスホテルに比しても、当然ながらクオリティが低い。
ホテルのダイニングは一度利用しただけに終わった。が、朝からそんなに気合いをいれて食事をすることもないので、ノープロブレムではある。
■セレスティンホテル(←CLICK!)
さてさて、初日の夜は、月島へGO! かつてバンガロールに住んでいたF田一家との夕食だ。ローカルフード探検隊のU-KO隊員の家族である。
彼らは帰任して1年になるが、その間にも何度かバンガロールで会っているので、さほど久しぶりという気はしない。
みながもんじゃ初体験で焼き方を知らず、中国人の店員さんに尋ねるも、今ひとつ的を射ず、微妙に間違った感じで楽しく食したのだった。
夫妻に変化はないが、お嬢さんのMさんがすっかりお姉さんになっていて驚く。
全身がもんじゃ臭にまみれてしまい、自分で自分が臭いなと思いつつの帰路。雨はやみ、霧に煙る東京タワーを仰ぎつつ、ホテルへと歩く。
こうやって、夜の道をゆっくりと歩けるのが東京。バンガロールではまず、ないことゆえに。小さなことが、新鮮で、心地よい。
翌日のランチタイムは、なんと11時半からの待ち合わせ。ランチが遅いインドでは考えられない早さにつき、朝食は軽くヨーグルトとコーヒーですませて銀座へ。
友人が予約しておいてくれた、お勧めのシーフード料理店。ここの料理が格別! であった。が、大変込み合う店につき、ランチコースを食すのに与えられた時間は1時間半。
白ワインで乾杯し、コンソメのジュレを皮切りに、前菜、主菜、デザート、コーヒーとを味わいつつも、二人とは、2年ぶり&4年ぶりの再会につき、話も尽きず、なんとも濃厚な時間。
思えば日本では、インド生活を楽しんでいた人たちと再会するケースが多い。
彼女たちは、わたしがインドに移住するよりも早い時期から赴任しており、わたしのインド生活初期の友人たちだ。
わずか数年のことなのに、当時のバンガロールは今とではライフスタイルのあれこれが異なり、会話を通して過去が偲ばれ、懐かしい。
■GINZA KAZAN(←CLICK!)
午後は六本木へ。東京ミッドタウンで所用をすませたあと、夕食の前に、六本木ヒルズの向かいにあるスタジオへ。ウェブ動画用のムービーを制作する会社を訪問した。
スタジオ見学では、未知の世界を垣間見せてもらうことができ、非常に楽しかった。次回の帰国時には、ここで自分のレクチャーやプレゼンの動画を撮影してもらおうと考えている。
あれこれと詳細を記したいところだが、ひとまずはホームページのリンクを参照されたい。
■CROSSCO (←CLICK!)
夜は、20年来の友人、さかえさんと豚しゃぶディナー。彼女は、わたしがフリーランスのライターとして独立した27歳のときに出会った。
彼女が発行していたWE'REという日中英韓の4カ国語情報誌の編集を、わたしが手伝うことになったのが出会いの契機だった。
彼女の亡姉は、芥川賞受賞作家の李良枝さん。
在日コリアンの彼女のライフは波乱に満ちていて、しかし、いつも元気でたくましい。飲みつつ食べつつ、大笑いしたり涙ぐんだり、大忙し。個室でよかった! の状況だ。
1、2年に一度会うだけの、それ以外は音信不通の間柄だが、会うたびに空白の時間を瞬く間に埋めて、隔たりを感じさせない人との会合は、本当にありがたい。
今回、時間の都合で、会いたくても会えない人がたくさんいた。しかしこればかりは、無理をして調整する訳にもいかず、短い滞在期間に願望をすべてかなえるのは不可能だ。
そう思うと、人との出会い、関わりというものは、本当に「ご縁」だと、改めて思う。
たとえインターネットで相手の近況が手に取るようにわかっても、フェイスブックでつながっていても、実際に会える人というのは、そうそういるものではない。
「いつでも会える」
というのも真理だが、
「もう、会えないかもしれない」
のほうが、実は真理のような気がする。
4日目の朝は、ホテルから電話でRKBラジオの収録。本当はいつものようにスタジオを訪問しての録音を、とのことだったのだが、予定が合わず、電話でのやりとりだ。
8時半からの生放送とあって、夕べは早く寝なければと思っていたのだが、ついつい夜更かしをしてしまい……。
シャワーを浴び、のど飴をなめつつ、準備。『中西一清のスタミナラジオ』にて、バンガロールで最近発売開始された二世帯住宅の話題を皮切りに、ジョイントファミリーの実態についてをレポートした。
いつもは同じ電話でも「録音」なので、あとから編集してもらえる安心感があるが、生放送だと微妙に緊張してしまう。
なのに、中西さんは、打ち合わせにはない質問を、まるで抜き打ちテストのように投げかけるので、焦る。が、なんとか話を盛り上げつつ、終了。
昼近くから、この日も六本木へ。仕事を一本すませたあと、国立新美術館を訪れた。5周年を迎えたこの美術館、訪れるのは初めてのこと。
黒川紀章設計のビルディングは、壮大な吹き抜けの波打つような器。
常設展のないミュージアムということで、現在開催されているリヒテンシュタイン展へ。リヒテンシュタインへは、かつてスイスを取材した折、訪れたことがある。
ルーベンスやブリューゲル、レンブラント、ヴァン・ダイクらの作品を鑑賞。
個人的には、ベルギーやオランダ、フランスなどの欧州諸国のミュージアムや、米国のメトロポリタン、スミソニアンなど、各地で、同じアーティストのダイナミックなコレクションを目にして来たこともあり、衝撃的な印象を受けるにはいたらなかった。
などと書くと偉そうではあるが、しかしそれでも、名画に触れ合うひとときは、心が非日常に飛び、いいものだ。
ルーベンスといえば、アントワープ。アントワープ王立美術館で見たダイナミックな絵画群は、本当に忘れがたい。ベルギーは小国ながら、本当に宝石のような国だ。
ベルギーに限らず、「フランドル」という地がまた、魅力に満ちているのである。
絵画という一点においても、語るに尽きない。などと綴るうちにも、フランドル旅情。この辺にしておこう。
■国立新美術館 (←CLICK!)
今回の東京滞在では、東京に対して、自分がとても心穏やかに接せられたような気がする。
大学を卒業して上京して以来、8年間を過ごしたこの街。
仕事仕事の毎日で、恋愛その他もうまくいかず、楽しいことより辛いことの方が何倍も多く、だからこの街までも、好きになれなかった。
30歳でニューヨークへ渡ってからも、ここへ戻るたびに苦い思いを回想し、小さく胸が締め付けられたものだ。
しかし今回、その過去が、遥か遠いものになっていたことを、実感した。
ホテルへの帰路、ライトアップされて麗しい東京タワーを眺めているうち、初めてここを訪れた日から重ねた歳月の重さを実感した。
そして今更ながら、社会人としてのわたしを育ててくれたこの街に、感謝の思いがわいてきたのだった。
東京での最後のミッションは、クライアントでの講演。その前に、軽いランチをと、クレープリーへ入る。そもそもクレープとは、パリではなく、ブルターニュ地方の伝統料理、そば粉のクレープが発祥だ。
そのクレープを味わえる店があったので入ってみたところ、料理もとてもおいしそう!
だが、あまり食べ過ぎてはよくないので、軽めに自家製アップルジャムを包んだだけの、シンプルな甘いクレープを頼んだのだった。
素材のよさが感じられる、美味なる味わいだった。
紅茶は懐かしの「マルコポーロ」。
マリアージュフレールは、わたしがフリーランスのライターとして独立してすぐに取材した店のひとつ。ちょうど20年前のこと。青山に1990年ごろにオープンしていた店舗を取材した。
そのとき初めて口にしたマルコポーロの、「初めての味」に感激したものだ。優雅な香りの「エロス」もまた、味わい深いお茶だった。
ひとつひとつが、懐かしく、遠い。
■ブレッツカフェ・クレープリー (←CLICK!)
そして、東京でのミッションも完了! インドの食に関する90分のレクチャーは、やはり語り足りない思いが残りつつも、濃いレポートをお届けできたように思う。
そのあとは、クライアントの方々に招かれて、すてきなイタリアンへ。目黒の住宅街の一隅にあるその店。店に入るなり、「イタリアの香り」が漂っている。
料理とコーヒーの香りが、どうにも「イタリア」なのだ。つまりは、そこが日本であることを忘れてしまうような。
お料理がまた、どれもこれもおいしい! リゾットや煮込みの塩分が、日本人にはやや強すぎ? と思われるかもしれないが、これはかなり、本場の味わいに近いと思う。
塩味が表面に浮かび上がっている感じで、喉が渇くような塩味でないところがポイント。ワインを飲みつつの味わいがたまらない。
デザートもまた格別であった。本当においしかった。
■TRATTORIA DELLA LANTERNA MAGICA (←CLICK!)
東京最終日の朝は、雲一つない快晴に恵まれた。ホテルをチェックアウトする前に、近所を散策。芝公園、増上寺と東京タワー……。
少し風が強いけれど、思ったほど寒くもなく、本当にいい気候に恵まれた。
朝食は、芝公園のLe Pain Quotidien(ル・パン・コティディアン)へ。ベルギー発のこのベーカリー。マンハッタンにはたくさんの店舗があり、わたしたち夫婦にとっては、なじみの「朝食の店」である。
オーガニックの良質な食材を使っていることもあり、安心して食べられるのもポイント。
ホテルから歩いて10分ほどかかるが、ホテルで食事をするよりは、ずっといい。次回の滞在時は、ここを利用すべし、と思いつつ、心地のよい朝である。
■Le Pain Quotidien (←CLICK!)
さてさて、夫も仮眠から目をさまし、これから博多駅へお出かけだ。ジャパンレイルパスを引き換えに行くついでに、街を散策してこよう。
通訳兼コーディネータ、諸々の任務を携えた旅の開始だ。