今日は、再びの快晴。よかった。なにしろ残すところ数日のニューヨーク滞在。雨に降られては行動範囲が狭くなってしまうというものだ。
午前中は、灯台下暗しで、上がよく見えないエンパイアステイトビルディングへ。移民法弁護士からアドヴァイスを仰ぐべく、アポイントメントをいれておいたのだ。1時間ほど、永住権保持などに関してアドヴァイスを受ける。
苦労して手に入れた永住権。いつかまた、遠い将来、米国に戻って来るかもしれないし、失いたくはない。
弁護士オフィスを出た後は、エミ&ショーン、それに今回初対面のコータ君との会合。
ミッドタウンの日本料理店でランチのあと、ブライアントパークへ。まだ15カ月だというコータ君だが、なんだか大きい。まるで自分の幼児期を見ているようだ。体格のよい、元気な男の子だ。
生まれてすぐのころの写真を見たときには、
「エミさんと瓜二つ!」
と思ったが、実際に会ってみるとショーン要素もかなり入っている。でもやっぱり、オリエンタルが強いかな。ともあれ、ほっぺがピチピチとして、笑顔が弾けていて、本当にかわいらしい。
この次に会うのはいつのことだろう。そのころには、もうおしゃべりもできているのだろうな。
3人と別れたあと、日本食料品店やBOOK OFFで買い物をしてホテルへ。
実は今、ゴマ入り厚焼きせんべいを食べているところ。このようなおかきやせんべい、揚げ餅などが我が好物なのである。食べ始めるととまらなくなるのが玉に瑕だが、至福のひととき。
マンハッタンの、この夕暮れ時の光景が、わたしは本当に好きだった。『街の灯』にも書いていたけれど。
夕映えに、幾度となく励まされたものだ。
「明日も、がんばろう……!」
尤も、がんばるしか選択肢がなかったのだが。
ああいうスリリングな日々の、切羽詰まった思いは、もう味わいたくないものだ。
会社の口座の残高が3桁になったときのあの不安。
クライアントからの小切手がバウンスしたときの怒りと焦燥。
墜落直前、ぎりぎりのところで、すれすれのところで、機首を上げて持ち直した、という経験を数回。
ニューヨークの思い出は、当たり前だが笑えない思い出話も無数にある。仕事に関しても、私事に関しても。そういうことは、あまり記さずにきたけれど、ときには書き残しておいたほうがいいのだろうか、とも、このごろは思える。
夜。アッパーウエストサイドを、二人で歩く。左上の写真はコロンバスサークルと、タイムワーナービルディング。右上の写真の、左後方の高層ビルは、かつてわたしたちの住んでいたアパートメントビルディングだ。
インドでの日々に欠けているもの。それは平穏な心持ちでの町歩き。インドの街歩きと来たら、平穏からはほど遠いもの。
特にアルヴィンドと二人で、のんびりと歩くことなどない。
だからこうして数カ月に一度、インドを離れて異国を歩くのは、とても大切のことのように思う。
アッパーウエストサイド。コロンバスアヴェニューを北上する。なじみの店がどんどんとなくなり、新しい店が増えていて、それは寂しいが仕方のないこと。
かつて日本料理店が会った場所に、MAGNOLIA BAKERYがオープンしていた。ダウンタウンにあった、カップケーキの店だ。そもそも人気のある店だったが、ドラマ "SEX AND THE CITY" に取り上げられたことで、より人気が高くなった店。
と思わないでもない、しかし米国の、典型的なお菓子なのである。
夕食はどこで食べよう?
ピザはどう?
ということで、PATSY'S を訪れるが満席。
もう少し歩こうと、今度はアムステルダムアヴェニューへ出る。
昔、よく訪れたSAVANNへ行ってみる?
と赴くが、メニューも、そしてテラスで食べている人々の料理も、今ひとつおいしそうに見えない。
十年近くもたてば、いろいろなことが変わるのだ。
その隣にあった店、BETTOLAの窯焼きピザがおいしそうに見えたので、そこで食事をすることにした。
軽くサラダと、マルガリータピザ、そしてシーフードのパスタ。
ワインはイタリア、トスカーナ地方のモンテプルチャーノを久しぶりに。
ピザは薄くてパリッと香ばしい。さほど期待をしていなかっただけに、おいしくてうれしい。
こうして夜風を受けながら、ワインを飲みながら、おいしい料理を味わえるのは、本当に幸せなこと。
いよいよ、明日は最終日。明後日の午後1時には空港へ向かうのだ。
今回は、いつにもまして、いい滞在だったように思う。今ひとつ苦手だった衣類の買い物も、上達したような気がする。
明日も晴れますように。