生卵が食べられない国は、当たり前だがインドだけではない。米国の卵だって、生食は危険である。それを知らずに「卵かけご飯」を食べた日本人がじんましんでひどい目にあった、という話は、よく耳にしていた。
地球上においては、生卵を食べる国の方が、圧倒的に少ない。
「インドでは、生卵が食べられない!」
と不満を漏らす方によく遭遇するので、生で食べる日本人の方がよほど特殊なのだということを、お知らせしておきたく。
さて、デリー拠点の卵メーカー、KEGGSの卵が、バンガロールでも入手できるようになった。
デリーでは数年前から店頭販売されていたようだが、バンガロールで見かけるのは初めてであった。
ヘルシーな飼料を与えられ、放し飼いにされた健康的な鶏が産んだ卵である。
半ダース(6個)で35ルピー。
100円弱。1ドル弱。
米国時代に購入していた1ダース入りのオーガニックの卵がいくらだったのか、最早思い出すことができないが、6個で1ドル弱というのは、安いのだろうか、高いのだろうか。
少なくとも、インドにおいては高い。他の卵に比べると倍以上の値段だが、見た目からして購入の価値はある。
従来は、店頭に並んだ卵を、自分でビニル袋に詰めて買うのが主流だった。
もちろん今でもそのような販売方法がとられているところが大半で、このようにパッケージに入った卵は限られたスーパーマーケットでしか手に入らない。
その従来型卵であるが、卵に鶏の糞だの汚れだのがついている場合が大半で、衛生面の不安がなきにしもあらずであったが、この卵は美しい。
まるで「菓子折りですか?」と言わんばかりのパッケージである。
スーパーマーケットで輸入品を目にする機会は増えたが、国産でも改良が進んだ商品をよく目にする。
インド国産である。
ちなみにボトル水いえば、インドではHIMARAYAがよく知られている。
先頃TATAに買収されて以来、新しいボトルとなり、それは以前に比べてあけやすく、もちろん見た目もよくなった。
インドの、食品市場における変化もまた、これからどんどん、加速するのであろう。
レトルトパックのお惣菜(インド料理)も、このところ種類を増やし、その売り場面積を広げている。
先だって、ムンバイ不在時の夫の食事にどうだろうかと、試しに数種類購入してみたが、どれも味付けがきつすぎた。
我が家の場合は、適度に健康志向であるため、従来通りわたしが作った料理を冷凍することにしたが、このような「便利食」は、今後、核家族を中心に利用が加速すると思われる。
そもそも加工食品や調味料が少なく、野菜や果物、天然素材のスパイスを用いての調理が主流だったインドにあって、富裕層から順番に、むしろヘルシーではない食事が浸透していくような気がする。
安くて簡単、便利、口当たりがよい。
そんな謳い文句に惑わされて、インドの食もまた、他の先進諸国同様、化学調味料や保存料といった食品添加物に席巻されるのだろうか。
食に関してもまた、インド関してばかりでなく、食品添加物でいっぱいの日本の食生活に関しても、書きたいことは募る。が、これまた尽きないテーマである。今日のところはこの辺にしておこう。