政府が矢継ぎ早に、規制をかけてくる。昨日の外出禁止、そして午後5時から5分間の拍手とベルによる鼓舞は、これからしばらく続く、さらなる規制に対する「心せよ」の合図であり、結束と協調の号令だったと思う。
国際線の着陸禁止に次いで、州境の封鎖、警察や医療、食料に関する以外のビジネスの、一切の閉鎖、不要不急の外出禁止……。国内線の規制も近々はじまるかもしれない。
我々夫婦は、YPOという米国発のグローバル組織の、バンガロール支部のメンバーで、これまで数々のイヴェントや旅行に参加してきた。YPOとは、Young President Organizationの略で、メンバーは企業や組織のトップエグゼクティヴが中心だ。
我が夫は、ニューヨークに本社を置く投資関係の会社に籍を置いており、在宅勤務となっても特に問題はないが、友人らの多くは、国内外に拠点を置き、多くの従業員を抱える人も見られ、日々発せられる規制への対応に苦慮している。
工場やオフィス閉鎖時の給与の問題、年度末の納税の問題、セキュリティの問題……。
わたしは、あくまでも傍観者的な立場ではあるが、今起こっていることを知っておきたく、彼らのWhatsAppグループに参加している。さまざまな情報が交換され、具体案が提示され、皆が共倒れになるのではなく、なんとか助け合おうとする姿勢が見られて、胸が迫る。
「COVID-19」
この期に及んでは、間違いなく、第二次世界大戦に次ぐ、全世界を巻き込んでの「戦争」だと思う。目には見えない敵を相手に。
個人的に、「COVID-19」が怖いとか怖くないとか、わたしは死ぬとか死なないとか、そういう次元での事態ではなくなってしまった。個人的に言えば、わたしも夫も、そしてこれを目にする人はみんな、この先も安全であろう。
ただ、世界は、守られた場所にいる人だけのものではない。自分さえよければいい、というわけではないのだ、もはや。
近々収束するだろうと楽観視していた1カ月前とは、もうまるで状況が違う。オリンピックとか、何をどうしたって、無理だろう。
今こそ、武器を捨て、軍事費を削減、いや人間を殺すための兵器は全てなきものにして、地球を守るためのものに、お金とエネルギーを費やしてほしいと願わずにはいられない。なんかもう、昭和の戦隊モノのキャッチフレーズみたいなことばかり書いているが。
……と、グローバルに思いを馳せつつも、守るべきは自分の日常生活。
夫の在宅勤務は、この先しばらく続くであろう。ゆえに、わたしのデスクトップも、ラップトップも、ダイニングルームに運んできた。
食事はエントランスホール(玄関前)のテーブルを使うことにして、ここはわたしの書斎である。庭に近いので、すぐに猫らと遊べる。文字入力の作業があるときには椅子に座ってデスクトップを使う。
読んだり、映画を見たりのときには、立って「青竹踏み」をしつつ、ラップトップを使う。限られた空間で、身体を鈍らせないようにするための工夫である。
しかし、油断すると、夫が侵入している。そして猫らが集まってくる。
最後に家を出たのは先週の木曜日。以来、4日間しか経っていないのに、1週間以上は経っている気がする。朝昼晩、朝昼晩、ご飯の準備をしつつ、人間とはどうしてこんなにも、食べねばならんのだろうと思う。
1週間先、1カ月先の予定が全く立てられないとは、人生で初めてのこと。それはみな、同じ状況だろう。
家にいながらにしてできる有意義なことを、徐々に実行に移していこうと思う。そしてそれは、この事態が収束したあとにも、きっと継続できることだろう。
世界各地に住む人たち。みんなそれぞれに、たいへんなことだと思う。
沈み込むのは簡単だが、浮かび上がるのは難しい。沈み込んだら窒息するので、浮かび上がっていられる方法を模索しながら、今、このときを、ともに乗り切りましょう!