何かと奥の深いアーユルヴェーダの世界。その断片を知っていただくために、今日は、アーユルヴェーダから見た「人間の身体の分類」についての概要を紹介します。
アーユルヴェーダは、宇宙の万物を、空間(ether)、空気(air)、火(fire)、水(water)、地(earth)という5大元素から構成されているものとして捉えています。
この5つの要素の中から、2つずつが組み合わされ、大きく3つに分類されものをドーシャ(dosha)と呼びます。以下がその3つです。
ヴァータ (Vata) 空と風
ピッタ (Pitta) 火と水
カパ (Kapha) 水と地
人間の身体の構成も、ドーシャに従って大まかに分類されます。その人がもつドーシャの強弱は、体質だけでなく性格にも関連します。
3つのドーシャが、正しいバランスを保っているときが健康な状態とされ、バランスが大きく崩れたとき、わたしたちは体調を崩したり、精神状態が不安定になったり、病気になったりします。
アーユルヴェーダの基本は、ドーシャのバランスを保つこと。個々人のドーシャを判断した上で、それに従ったライフスタイルを提案したり、治療のための薬草などを調合したり、あるいはマッサージに適したオイルの種類を提示するなどします。
わたしは米国在住時にアーユルヴェーダ関連の本を購入し(上の写真がそれです)、チェックリストで自分のドーシャ診断をしたこともありました。
特に "The Complete Book of Ayurvedic Home Remedies" という本は、日常生活に取り入れやすい実用的なアドヴァイスが満載で、「アーユルヴェーダ版家庭の医学」という感じで活用しています。
とはいえ、自己流ではなくきちんと診断してもらった方がいいと思い、インド移住当初、ドクターの問診と脈診を受けました。
アーユルヴェーダでは、脈診が要(かなめ)となります。
問診のあと、わたしの脈を見ながらドクターは、
「体内の、油分が足りません」
と告げました。脈を診ることで体内の油分の具合がわかるとは驚きです。
ちなみに、油分とは「脂肪分」のことではありません。脂肪分なら潤沢にあります。体内の、特に内臓の周囲を潤わせるべき潤滑油が少ないため、内臓同士が滑らかに動き合えず、従っては内臓の動きが少々鈍いとのこと。
腹部や腰部が重い感じがするのも、それが理由のひとつだとのことで、だから腰の痛みもなかなか完治しないのだと言われました。
それまでは、骨の歪みによる神経の圧迫といった面ばかりを指摘されていたため、その診断は、新鮮でした。
ドクターからは、毎日たっぷりの水を飲むことを勧められました。水には微量の油が含まれていて、それが身体によいとのこと。一方、コーヒーやお茶はカフェインが含まれているため控えるよう言われました。
とはいえ、コーヒーもお茶も好きなので、こればかりは未だ、やめられませんが水はしっかり飲んでいます。
その他、ヨガにおけるお勧めのポーズ、食べるべき、あるいは避けるべき食品、一日の理想的な過ごし方を教わりました。
ちなみにわたしは、ヴァータ傾向が強く、ピッタが弱いと言われました。
「ヴァータの人は旅が好きで、常に動いている」
「同じ場所に1年以上住んでいると退屈してくる」
などというヴァータの傾向を知ると、確かに納得します。わたしは強すぎるヴァータを抑え、弱いピッタを引き上げて、バランスを整える必要があるとのことでした。
具体的には、刺激物やニンニクやショウガなど強い香味野菜を控えめに、ヨーグルトよりも牛乳をとること。睡眠時間は長めに、昼寝も勧められました。
一方、おっとりスローなタイプの夫はカパが強いと言われました。わたしとは逆に、刺激の強いスパイスが必要で、ニンニクやショウガもたっぷりと、睡眠時間は少なめでいいそうです。
「カパが強い人は、睡眠時間が少ないとダメだと思い込んでいる場合が多いのですが、むしろ寝すぎることが悪いのです」
とのアドヴァイスを受け、
「僕は毎日8時間は寝なきゃだめなんだ!」
が口癖の夫、そのものだと納得しました。ちなみに彼は、昼寝をするのもよくないそうです。
このように、夫婦で明らかにドーシャが異なり、摂取すべき食品が異なるということは、それらを意識して生活するかしないかで、健康状態に大きな違いが出てくることを納得しました。
インドでドクターに診てもらわない限り、自分のドーシャを的確に知ることは難しいかもしれませんが、アーユルヴェーダに関する情報はインターネット上や書籍でも得られます。
自分の身体を見つめ直し、自分の直感をも頼りにしながら、自分なりのライフスタイルを築いてはいかがでしょうか。なお、アーユルヴェーダに関する日本語の本は、こちらがお勧めです。参考までに。
■インドの生命科学 アーユルヴェーダ (←CLICK!)
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