海と山に抱かれた山陰地方の小さな女子大。地元の福岡で、高校の国語教師を目指して日本文学科の教職課程に進んだわたしは、入学以来、大学と寮とを往復する日々を送っていた。漱石、三島、芥川……。日本文学を読み漁る一方で、海外への憧憬は募った。 バブル経済に賑わう世間とは隔絶された世界で、午後7時の寮の門限に... Read more →