片隅の風景 インド

旅人

0414

それが「旅人の木」という名前だというだけで、

なのだろうか。

旅人の木は、いつ見ても、

旅情をかきたてるような様子で、

ひらひらと、風に吹かれている。

愛おしく、眺めている。

2006/03/05 | 個別ページ

朝日

05

朝、ヨガを終えて、1杯の水を飲む。

「おはよう」と言いながら、キッチンに入る。

いつもとは、異なる光。

バルコニーの向こうの、

壁に落ちる朝日の具合が、夏。

白い光の帯が、

無防備な朝の心を、滑らかに射抜く。

2006/03/03 | 個別ページ

歴史

0402

40年前。
年若い両親は、貧しい貯えの中から、
小さな、しかし精一杯の雛人形を、
初節句を迎えるわたしのために、買った。

それから3年後、妹が生まれた時には、
お内裏様とお雛様だけの、
しかし大きくて上品な、雛人形を買った。

子供心に、ガラスケース入りの小さな雛人形を、
地味なものだと思っていた。

一方、妹の雛人形は、今思えば大人っぽい趣味で、
子供の好奇心をそそるものではなかった。

だから幼稚園の友達の家の、
赤い毛氈が敷き詰められた
「豪華七段飾り」な雛人形を見て、
うらやましかった。

けれど、こうして小さかったからこそ、
緩衝剤に包まれて、
小さな段ボール箱に詰められて、
東京、
ニューヨーク、
ワシントンDC、
そしてインドまでも、
連れて来ることができた。

あちこちに、傷みがあるのもまた、歳月。
今となっては愛おしき、小さな人形ら。

2006/03/02 | 個別ページ

証拠

0201

マンハッタン。

五番街のクリスマス。 

ワシントンDC。

カテドラルのビショップスガーデン。

我々がここにいる理由を、

静かに伝えている。

2006/03/01 | 個別ページ

主役

K2001_2

わたしの小さな「庭」。

夏の訪れとともに、蝶々や蜂がやってくる。

昨日のつぼみがもう、今朝は開いている。

瞬く間に主役のようすで、高らかに咲く。

2006/02/20 | 個別ページ

Missing

K1903_2

ひとみのおくのきらめきから、さぐる言葉。

たりないものをおもうときの、むねの軋み。

たりないものをおぎなおうと、足掻いても。

ともかくは握っているものを、慈しむこと。

ほら、きょうのそらも、こんなに青いぜ。

2006/02/19 | 個別ページ

枯れ葉

K11

その乾いた、小さな一枚。

はらりと舞い落ちて、ぽつんと在る。

蘇る記憶の底に眠る光景。

遠い日の、アッパーウエストサイドの、

タウンハウスの階段。

遠いあの町は、いま、深い雪の中。

 

2006/02/13 | 個別ページ

旅情

K0609

細い窓から、冷たい床に、

差し込み落ちる日差しは旅情。

イタリアの、アッシジの、修道院。

スペインの、フィゲラスの、安宿。

中国の、蘇州の、定食屋。

オーストリアの、ヴィエナの、カフェ。

ポルトガルの、リスボンの、菓子屋。

インドの、バンガロールの、スパ。

2006/02/06 | 個別ページ

月下香

K05

甘い香りを放ちながら在る。

初めての出会いは、2005年の7月24日。

あの夜の、なんと静かで、遠いこと。

あの夜は、何万マイルの果てに在り。

2006/02/05 | 個別ページ

町へ。

K2509

町へ出よ。砂塵舞い上がる埃の交差点。
町へ出よ。裸足の少年、少女、物乞い。
町へ出よ。牛に触れ、祈りながら行く。
町へ出よ。染みの壁、立ち小便の痕跡。

町へ出よ。古い油の匂いスナック露店。
町へ出よ。裸電球の下の色鮮やか果物。
町へ出よ。神々を称える唸り、声、鐘。
町へ出よ。二輪、三輪の傍らを掠める。

町へ出よ。天地清濁、併せ見よ。

この国の、泥と蓮。

その不確かな定義に触りながら行く。

2006/01/25 | 個別ページ

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