小さなライヴハウスで坂本龍一のコンサート。
「早いもの勝ち」という前時代的入場条件。
長蛇の列の後尾。惜しくも入れず。
1996年。
やはりこの街で、彼のライヴを訪れた。
一番前の席。数メートル先に世界のサカモト。
幸せだった。
あのころ、矢野顕子のライヴへも行った。
マネジメントしていた女性と面識があったので、
わが著書『街の灯』(まちのひ)を託した。
彼女の曲にインスパイアされて記した章があったのだ。
「さすらい」
もっともその曲は、奥田民生によるものだったのだが、ともあれ。
その後、彼女から手書きのカードが届いたときには、本当に感激した。
筆舌に尽くし難い、人の心の、機微。
ともあれ、ライヴハウスには入れなかったゆえ、音楽はあきらめて、
懐かしのTemple Barで、クラシック・マティーニを。