今日は一日、一眼レフを触らなかったので、夜、部屋からの景色を撮ってみた。
窓辺に置いたワイングラスも、驚くほどきれいに撮れる。
すごいな。この薄暗いところで、光を集める力。
この景色は、わたしのデスクから。
リンカーンセンターを見下ろせる、眺めのいい部屋。
さて、明日はここで仕事。
旅の間、部屋に籠っての仕事はなんだか惜しいけれど、仕方ない。
速やかに書き上げて、夕方までには街へ出よう。
ワインを飲みながら、窓の外を見やり、翻る旗を眺めながら、この街に来たばかりのころを思い返す。
30歳。とてつもなく、若かった。
無茶を無茶とは思わず、他に選択肢はなく、自分の掌見つめ、つかみ取る、転んでもただでは起きない、囚われから放たれ、自由に戸惑い、不安に苛まれ、引き返せない、夕映えの摩天楼、途方もなく一人、寂しくはなく、生き延びるために模索、30歳はとてつもなく若くて、生涯の人と出会い、大柄の自分が小柄にさえなる国、既成概念が打ち砕かれ、尺度は伸縮し、価値観は変容し、自分の軸の構築が重要で、さもなくば崩れ落ち、矜持、自負心、自尊心、はじめに行動ありき、言葉は追随し、静かに実を結びゆく果実、さてわたしは将来、何になるのだろう。