インドにいるときには、
週に1、2回は発信しているミューズ・クリエイション通信。
ニューヨークに来て以来、すっかり途絶えていたのだが、
久しぶりにバンガロールを思いつつ、久しぶりに送信した。
バンガロールはそろそろモンスーンの到来。
マンゴーもおいしい季節だ。
そんなことを思いながら、気持ちをインドに、少しずつ移す。
今朝はヘアサロンへ。
アッパーウエストサイドからミッドタウンイーストまで、
30分ほどの道のりを、歩く。
マンハッタンにいるときには、本当によく歩く。
バンガロールが歩きにくい分、
ここぞとばかりに、歩く。
到着したころからは気温もぐっとあがり、
早歩きの果てに、汗ばんでしまうほど。
目の前を歩く女性の格好よさにほれぼれしつつ、
あんなボディに生まれてみたかったと思う。
ランチのあとは、ミッドタウンを横切り、今度は西へ。
インドでは入手しにくいものを、買い求めるために。
途中で、以前よく訪れていた工芸品店へ。
ミューズ・クリエイションの、「チーム布」のメンバーが見たら、
きっと狂喜するに違いない、それはもう山ほどの手芸用品。
コリアタウンの界隈は、このような卸店が軒を連ねている。
路傍のストリート・パフォーマーを見て、ハッとする。
この「楽器」。そして体つき。
間違いなく、この人、あの人だ!
帰宅後、過去ホームページに掲載した写真を遡ってみたら……やはり!
2000年9月。今から14年前の写真。
夕方は、ホテルに戻り、しばし読書など。
旅行というには長過ぎる半月。
ときにはゆっくりしなければ、心身ともに疲れるというもの。
夕飯もまた、軽めにしたいところ。
夫がサーチしてくれたタイ料理の店を試すことに。
米国の人気店だから大丈夫だろうと思ったが、念のため、確認したところ、
MSG(グルタミン酸ナトリウム、化学調味料)は使われていないとのこと。
米国では「中華料理店症候群」という言葉がある。
わたしも軽症のアレルギー反応があるので、口にしないようにしている。
なにしろ現代のタイ料理の多くは、MSGたっぷりだから、
気をつけねばならないのだ。
昔はがらんとしていたヘルズキッチンのこの界隈。
新しい店がたくさんできていて、雰囲気が一変している。
わたしが住んでいたころ、あったらよかったのに……という店が、
そこここに、何軒も。
料理はさっぱりとした味付け。
麺も野菜もヘルシーにおいしくて、満足。
食事を終えたころには、あたりは夕闇に包まれており。
心地よい夜風に吹かれつつ、ホテルへの道のり。
目の前を、左足が義足で、
両腕肘から下を、包帯でぐるぐる巻きにした男性が、
ぎこちなく歩いていた。
年齢、風貌から察するに、間違いなく傷痍軍人だ。
日本人にとって、最後の戦争は1945年に終わり、
戦場の記憶は遠い。
しかしこの国では、わたしたち日本人が終戦でくぎりをつけたあとも、
延々と、いくつもの戦争を繰り返しており、
今のこの瞬間にも、
血を流し続けている兵士たちがいる。
足を引きずり歩く彼の目に、
きらびやかな街のネオンは、どう映っているのだろう。
映画に見る戦場は、過去ではなく、常に現在進行形。
911直後の、
この国の、アフガニスタン侵攻のすさまじさを思い出して、
しばし、心が凍結した。