2001年の7月に結婚をして、しばらくは遠距離結婚を続けていたが、
9/11のあと、人生の優先順位を見直した。
2002年1月、住み慣れたニューヨークを離れ、ワシントンD.C.に移り住んだ。
自分で決めたこととはいえ、あの街になじめず、悶々と行き詰まっていた日々。
2003年の終わり、ジョージタウン大学付属の英語学校に3カ月通った。
そのときの研究論文に、インドの頭脳流出や新経済を取り上げたことで、
インドに対する関心が高まり、移住に至った。
あの束の間の学生生活はだから、インドに暮らすわたしの源だ。
その3カ月間、共に過ごした友人が、ニューヨークまで会いに来てくれた。
彼女は、当時駐在員のご夫人だったが、
今回もまた、再びワシントンD.C.郊外に駐在されている。
遠距離バスに乗ってわざわざ来てくれたことが、とてもうれしかった。
ランチは、アッパーウエストサイドにあるお気に入りのレストラン
TELEPANに予約を入れておいた。
新鮮で質のよい素材を、シンプルに調理したおいしい料理。
サングリアも、見目麗しく、上品なお味。
3コースのプレフィックスメニュー。
デザートを終えて、コーヒーを飲んで、
もう誰もゲストがいなくなってしまうまで、語り続ける。
食後は、リンカーンセンターのカフェに場所を移して、
さらにまた、語り続ける。
昨日まではあんなに晴れていたのに、
今日は曇天。
それでも、朝の雨がやんでくれただけ、よかった。
普段は、誰ともシェアのできない話題、
主には日本の現状、未来のことなどを。
決して明るい話題ばかりではなかったけれど、
いろいろと腑に落ちて、考えさせられること多く。
この先の、自分たちの生き方についても、また。
とても貴重な、時間だった。
彼女からいただいた、お土産。DCのイラストブックと、しおり。
本が大好きな彼女の心遣いが感じられて、とてもうれしい。
ページをめくれば懐かしい光景が随所に。
こうして見ると、本当にすてきな街だったのに、
わたしはどうして、どんよりしていたのだろう。
まあ、あのころは、いろいろあったからな。
次に会えるのはいつだろう。
前回お会いしたのは、確か6年ほど前の東京だった。
なんだかずっと遠い昔だったような気がするし、
とても最近のことのような気もする。
夜は夫と、リンカーンセンターのフィルムシアターへ映画を見に行く。
この辺りは、いくつもの映画館があり、
本当にエンターテインメントの楽園だ。
住んでいたころは、さほど有り難みも感じなかったが、
今思うと、本当に、すばらしいロケーションだった。
映画はジム・ジャームッシュ作品。昨年日本でも公開されたようだ。
音楽、吸血して生き続ける男と女、夜の街……。
独特の世界が、静かに不安をかき立ててやるせなく、
同時に、心地いい。
彼の映画について書き始めると、長くなるので、触れない。
ただ、ひとつだけ。
1996年5月、マンハッタンに暮らして数週間後、
地下鉄の駅で、彼の姿を見かけたときの感動は忘れられない。
自分がニューヨークに住んでいるんだということを、
強く実感して、本当にうれしかったものだ。