このごろは、バンガロールの気温も少し和らいで、
緩やかな四季の変化の中の、秋のような。
それでも、日差しの暖かな日中は、半袖で過ごす。
書斎の窓から飛び出して、
階下の屋根の上で寝転ぶ猫は、
日だまりの幸せを全身で受け止めて、
ごろごろ、ごろごろと。
しかし夕刻、夫が帰宅し、旅の準備を始めるや、
落ち着きを失ってしまい……。
「日本米購入用」も含め、2つのスーツケースを準備する夫の周りを、
うろうろ、うろうろと。
NORAはスーツケースと共に夫が消えた直後から、たちまちミャアミャアと鳴き始める。みほさんがいるというのに、眼中になし。
庭に出てみたり、あちこちの部屋を行ったり来たり、ともかく落ち着きがない。
いつもなら、書斎の夫の椅子の上や、わたしの机の傍らで、気持ち良さそうにうたた寝をしているのに。
結局、数時間もの長い間、ずっと寂しそうに鳴き続けていた。こんなことは初めてのことで、本当に驚いた。
夫は毎日、毎晩、家にいるわけでもないのに。久しき不在を察知したのだろうか。
ようやく今朝になって、落ち着きを取り戻したけれど。
やっぱり、動物はいろいろと、わかっているのだなあ。