土曜日。今日も快晴! ホテルの前に横付けされているリムジン。黒のリムジンを見ると、いつも「ウナギ犬」を思い出してしまう自分が少し哀しい。
1997年。ニューヨークに暮らして1年後、母と妹夫婦をニューヨークに招いた。ニューヨークの雰囲気を満喫してもらおうと、白くて長いリムジンカーを予約、空港からマンハッタンへ入ったものだ。
当時は日系出版社の現地採用で、ゆとりのない経済状態だったにも関わらず、昔から気前がいいというか、演出が好きというか……。
それからのちも、幾度か米国に家族を招いた。オペラにミュージカルにバレエ、クラシックコンサート。さまざまなエンターテインメントに、食事、街歩き……。
唯一残念なのは、父を招けなかったこと。2001年7月、インドで結婚式を挙げたわたしたちは、同じ年の10月、マンハッタンで披露宴を行うべく、夫の親戚がアッパーイーストサイドの邸宅を開放してくれる予定だった。
ハドソン川クルーズに、オペラ、ミュージカルのチケットを手配し、野球好きの父のために、ベースボール発祥の地、クーパースタウンへ旅をする予定もいれていた。
しかしながら、あの9月11日。すべての予定をキャンセルせざるを得なかった。
思い返せば本当に、いろいろあった。どれもこれも、今は遠い思い出。