ランチのあと、義父ロメイシュとウマが、マルハン家行きつけのジュエリーショップへと連れて行ってくれる。何か好きな物を買っていいと、言われる。
折に触れ、ゴールドのジュエリーを贈ってくれる義両親。インドならではのうれしい習慣である。が、どの程度を買っていいものやら、何となく気を遣うものである。
今回は、「インドの伝統とモダンデザインとの融合」とでも呼びたい、上品でカジュアルなネックレスと、ジャイプール的こてこてインドな指輪とを買っていただいた。
以前も書いたが、わたしはアルヴィンドと出会う前の遥か遠い東京時代から、「ゴールド好き」で、しかも黄色みの強い金色が好きであった。
イタリアンのごってりゴールドジュエリー。タイのこてこて細工のジュエリーなどなど。しかし、日本では非常に高価ゆえ(第一、売っていない)、自分ではなかなか買うに至らず。せいぜいバンコックで買った繊細なブレスレットどまりであった。
従っては、特にバングルなどは「両手にじゃらじゃらと、欲しいものよ」と思っていたものだ。
こうして図らずも、インド人と出会い、自分の好む金色(インドは22金が一般的)のジュエリーを、自分で買うことなく与えてもらえる環境に至り、両手にじゃらじゃらできることは、不思議な縁であると思う。
さて、ジュエリー購入後、実家へと戻り、家族揃ってワインを飲み、おしゃべりをし、その後、夕食。
普段、ウマから「飲酒控えめ」を言い渡されているロメイシュは、しかしわたしが来ると、張り切るのだ。わたしがワインを好きなことを、彼は知っているからだ。
「ミホ、白と赤、どっちがいい?」
と言いながら、ワイン貯蔵のクローゼットを開け、あれこれと選ばせてくれる。旅行の折に買って来たインド産ではないワインがいろいろとあって、わたしも非常にうれしい。
夕べはオーストラリアのおいしいシラスを開けた。今夜はイタリアのキャンティクラシコである。ウマは殆ど飲まない。アルヴィンドは1杯程度。ダディマもちょっと。
「ミホ、もう一杯どう?」
「じゃ、いただきます。パパもどうぞ」
残りはロメイシュとわたしで、飲み尽くすのである。「縁あって父娘」なのである。