家庭料理のことを書き始めるとまた、きりがなくなってしまうのであるが、料理の話題はそれがたとえ「豪快もの」でも好評のようなので、書くこととする。
本日、米国時代からのマルハン家人気メニューを紹介したい。米国もインド同様、日本のような「薄切り肉」はなかなか手に入らない。都市部の日本食料品店や韓国系、中国系のスーパーマーケットでは調達できるが、普通はない。
従って、料理はどうしても、ダイナミックになりがちである。米国では皿が大きく、盛りつけも大胆。そんな生活が長かったことから、我が家のメニューはどうしても、豪快になりがちなのである。
日本的なちまちま小皿系の食器もないし。
といった言い訳はさておき、料理である。本日、メイドが作った料理の「残り物野菜」を使っての食材一掃メニュー。インドの野菜は、タマネギにせよジャガイモにせよ、すぐに芽が出るから何日も放置し続けるわけにはいかないのだ。
なお、主役のスペアリブは、冷凍していたものであり、残り物ではない。
では上から時計回りに素材の説明を。
●タマネギ
インドのタマネギは、小振りで紫色。水分が少なく、旨味が凝縮している。タマネギがおいしいので、北インド料理のカレー作りの際など、ペーストがたいそうおいしく出来上がる。タマネギのおかげだ。加えてトマトのおかげでもある。
タマネギは、薄くスライスして水に晒し、レモンを搾ればインド料理の付け合わせになる。また、オリーヴオイルなどをかけてサラダ風に食べてもいい。じっくりと飴色になるまで炒めれば、甘みが増して、肉料理との相性も抜群。
●オイル
左はグレープシードオイル。右はオリーヴオイル。昨今のインドでは、輸入物のオイルも種類豊富に入手できる。グレープシードは身体にとてもよいので、一応買っている。オリーヴオイルは、特に銘柄にこだわりなく、近所で買えるものを買う。今日はオリーヴオイルを使った。
ちなみに国産のオイルも種類豊富で安価だ。
●塩
デリーの紅茶専門店、ミッタル・ティーハウス (MITTAL TEA HOUSE) で購入したヒマラヤの岩塩。ビンク色の岩塩は硫黄臭がきついが、身体にたいそうよいらしい。食べるだけでなく、バスソルトにしてもよいらしい。
この白い方はナチュラルな味わい。ひょっとするとヒマラヤものではないかもしれない。来週デリーに行くので、購入のついでに確認したい。
●粒こしょう
これもまた、ミッタル・ティーハウスで買ったもの。わざわざデリーに行かなくても、近所で粒こしょうはたいそう売っている。オーガニックの製品も、近所の食料品店で入手できる。しかしわたしは、この店の粒こしょう(黒&緑)が気に入っている。
●ニンジン
日本でも見られる普通にオレンジのニンジンと、すでに旬も終わりのデリーニンジン(赤ニンジン)。冷蔵庫でふにゃふにゃになりかけていた。残り物をミックス。どちらもとても甘みがあるのが特長。
インドで初めてニンジンジュースを飲んだとき、砂糖をいれたのでは? と思うくらいに甘くて驚いた。
●ジャガイモ
インドのジャガイモは、すぐに芽がでる。すぐやわやわになる。夏場はその速度が増す。危険ゾーン直前のジャガイモを、慌てて調理。
●インゲン
中途半端な本数が残っていたので、一緒に料理することにする。米国ものに比べると、硬い。インドの野菜は全体的に、火の通りが遅い。カレー的煮込み料理に適しているともいえる。
●ニンニク
丸ごとニンニクがあれば、上の方だけを切って、オリーヴオイルを垂らし、アルミホイルに包んで蒸し焼きにし、ペースト状になったものを肉や野菜につけて食べる、というのがお気に入りの食べ方だが、中途半端に残っていた。
従って、切って、混ぜることにした。丸ごとガーリックの参考資料は2004年3月25日の片隅の風景を参照のこと。
●ポークチョップ
照り焼きソース。決めてはリンゴ&ショウガのすりおろし。あとはジャガリ(砂糖)少々、醤油、失敗ワイン(おいしくなくて料理用になった国産ワインのこと)などでマリネする。
リンゴの代わりにパイナップルでもよい。以前も書いたが、酵素の働きで肉が柔らかくなり、甘みも増して、一石二鳥なのだ。
で、これらをどうするかと言うと、全部まとめてオーヴンにかけるだけ!
それぞれの具の火の通りが違うから、時間差が必要なのでは? と思われるだろう。
確かにその通りだ。
だからこそ、具の大きさを工夫するのだ。
ジャガイモに火が通っていないのはたいそう不快なので、この大きさをいかにするかが決め手である。
ここではインゲンが一番先に火が通りそうだから、あとから加えたいところだが、まあいいや、ということでまとめて投入。
まずは野菜類を鉄板に。水気をしっかりと切っておくことが肝心。その上に、オリーヴオイルと塩、こしょうを適当に散らす。
そして、両手のひらで混ぜる。毎度、これがポイント。
手がぬるぬるになったとしても、ここで愛情がこもるのである。旨味が増すのである。多分。
そして最後に、マリネされた豚肉を載せる。汁気を切っておいた方がよい。残り汁がもったいないのであれば、翌日、野菜炒めなどに利用すればよい。
焼いている途中、トングを利用して野菜や肉を数回ひっくり返す必要があるが、それ以外はオーヴン任せ。まことに簡単である。
そして出来上がり。案の定、インゲンの存在感が損なわれているが、それ以外は、なかなかにうまく焼き上がった。
やっぱりわたしたちは、食べ過ぎだろうか。でも、野菜は野菜だし、肉は骨が多いから、大した量にはならないはずだ。
あとは、パンをほんの少し食べるくらいだし。と、言い訳をすることもないのだが。
骨付き肉の料理は、アルヴィンドの大好きなメニューでもあり、とても幸せそうである。
軟骨までもバリバリと食べてしまうあたり、「獣かよ!」と突っ込みたくなるが、まあ、よくかんで消化してくれれば、それでよし。
「今日もマーケットがクラッシュした〜!」
と言いながら帰宅しても、食べ終わったころにはご機嫌だ。マーケットのクラッシュは、我が家の問題ではなく、世界の問題。
小さな幸せに身を委ねて、日々を楽しく食べていこう。いや、生きていこう。