8年前、初めて訪れたムンバイ。
空港からひたすら南下してたどり着いたはコラバ。
車を降りれば、目前にインド門。
薄汚れた、薄暗い界隈とは裏腹に、
圧倒的に、強く優雅な存在感で出迎えてくれたTaj Mahal Palace。
翌日、街を歩いて歩いて、
いい香りに引き込まれて見つけた、
YAZDANI BAKERY。
以来、幾度となく訪れた、なじみの店。
市場のあとの、甘いチャイを飲みたくて、
足を運んだ。
アルツハイマーだと思っていた店主のおじさん。
よたよたと、わたしのテーブルまでやってきて、
ファイルを開いてみせてくれる。
実はパーキンソン病だとのことを、
彼が見せてくれた新聞の記事で知った。
「一緒に写真を撮ろう」と、スタッフに合図。
スタッフたちは、そんなオーナーに手を焼きつつ、
世話を焼いている。
チャイを飲みつつ、通じない会話。
人生とは、いかに嵐を切り抜けるか、ではない。
雨の中、どうやって踊るか、だ。
「これは誰が書いたの?」
「僕だよ」
本当に、彼の言葉かどうかは定かではないが、ともあれ。
いい言葉だと、ぐっと来ているわたしに、すかさず次のページを見せる。
「これも、僕が書いたんだ」
誰も火山の噴火を教えてくれない。
誰も津波の襲来を教えてくれない。
誰も火事の発生を教えてくれない。
それらは、「妻」のようなもの。
天災は、ただ、起こるのを待つしかない。
大笑いするわたしに、
おじさんも、大笑い。
よたよたと、何を話しているかもよくわからないのに、
このおじさん、お元気だこと。
なぜだが、とても幸せな気持ちだ。
来て、よかった。
↓ちょうど一年前の、ムンバイ視察の記録。同じところを回っているな。
■10時間1本勝負。視察旅行アテンド@ムンバイ (←CLICK!)