バンガロールの東部郊外、ホワイトフィールドにあるアーユルヴェーダの療養施設「アーユルヴェーダグラム」に来ている。
2009年の終わりに初めて1週間滞在して以来、毎年、年末をここで過ごしている。今回で4度目だ。
この施設の詳細については、過去に幾度か記したので、今回は割愛する。1日のプログラムを簡単に紹介するに……。
起床。庭の散歩。朝の簡単なセラピー。
ヨガなどのエクササイズのクラス。朝食。
午前中のセラピー(オイルマッサージなど)
呼吸法のクラス。昼食。
午後のセラピー(オイルバスやシロダラなど)
夕方の散歩。夕食。
といった内容だ。
毎年、時間がたっぷりとあるはずだからと本を数冊持参するのだが、たいして読書は進まず、ぼんやりとしていたり、書き物をしたりしているうちに、時は流れる。
「酒なし、肉なし」のクリスマスや、大晦日を、ここで過ごして来た。
毎年のように、「地味すぎるよね」「来年は、もうやめよう」といいながら、なぜか来てしまう。
ここは決してリゾートではない。極めて簡素な設備であり、ファンシーでもない。すぐ近くには、英国のカミラ夫人も御用達の、SOUKYAというリゾートがある。
そちらの方が、ラグジュリアスではある。魅力的でもある。
しかしながら、我々がこちらを選ぶのは、生命の医学であるところのアーユルヴェーダが、ファンシーをまとっている必要はない、という考え方や、専門医のドクター・マンモハンに対する信頼の高さ、などがある。
1年に一度、彼と再会し、心身のあれこれを語るのもまた、意義深いひとときなのだ。なお、彼は現在休暇中につき、彼とのカウンセリングは後半となる。
別のドクターに取りあえずは会ったのだが、改めてマンモハン医師のよさ、を痛感させられただけであった。
世界各地、特にスイスやドイツ、フランスなどの欧州や、カナダ、米国から、何らかの疾患を治癒するために、人々が集まる。
毎年、いろいろな人たちと言葉を交わし、アーユルヴェーダの威力を思い知らされる1週間でもある。遥か遠い場所から、1カ月、2カ月の予定で訪れる人も少なくない。
隣室の若い男性は、カナダのトロントから訪れたとのことで、今回が2度目。「減量目的」で1カ月滞在だという。
減量のために、わざわざ遥か彼方から1カ月も……と、驚かざるを得ないが、効果が高かったらしい。
ちなみに、過去のアーユルヴェーダグラム滞在については、こちらに掲載している。
■アーユルヴェーダグラム滞在記録:2009年、2010年、2011年 (←CLICK!)
なお、アーユルヴェーダの発祥の地であるケララ州には、無数の診療所や診療施設がある。かつて、その氷山の一角を取材したが、驚かされることが多々あった。
アーユルヴェーダは、奥が深く、世界が広いのだ。
それにしても、振り返るに、日々。
こうして「ウェブログ」という媒体を通じて、ネット上に日々を記録し始めて、久しく。
過去をさかのぼるに、過去は色あせず。
瞬時に今につながり、過去現在未来に対する感覚もまた、変容を遂げた気がする。
人と人とのつながりにしても然り。距離感も超越し、インドのデカン高原と、その場所が、折り曲げればぴたりとくっつくように。
ところでこの写真は数日前のもの。友人主催の私的なパーティにつき、詳細の言及は避けるが、マイハニー、トナカイと化す。
友人へのサプライズのため、「一肌脱いだ」というよりは「一肌着用した」格好だ。
右上の写真。マイハニーの股間に注目する人々。そしてわき起こる笑いの渦!
マイハニー、トナカイの衣装を「後ろと前を逆に着用」したことにより、尻尾が股間に……!
16年前に出会った当初は、確かこんなキャラではなかったはずだった。あまり冗談も言わず、極めて真面目な青年であった。
いったい、いつのまに、こんなことになってしまったのか。
それにしても、女子の観衆が多数の中、「わざと」後ろ前に着用したのか、それとも「うっかり」なのか。我が夫ながら、彼の真意がつかめない。
毎度、ミステリアスなインド人ではある。
さて、あと1時間半ほどしたら、地味なアーユルヴェーダグラムでも、クリスマスの宴が開かれる。料理のほかに、クリスマスケーキが用意されているようだ。
インドのキリスト教の歴史は、とてつもなく古い。
アーユルヴェーダのふるさと、ケララ州にはクリスチャンが多い。さまざまな宗派があるが、中でも「シリアン・クリスチャン」の歴史が古い。
キリストの12使徒の一人である聖トマスが、西暦52年頃にケララに上陸したとの説もある。
西暦52年である。いごよくくる(1549年)にやってきたフランシスコ・ザビエルによって日本にキリスト教がもたらされたのとでは、まるで年季が違うのである。
従っては、日本の人たちが「インドも、最近、クリスマスを祝いだしたよね!」とか言う話を耳にすると、いやいや、それはあくまで商業的な話だと訂正したくなるものである。
インドの菓子店ではこの時期になるとドライフルーツがたくさん入ったクリスマスプディング(クリスマスケーキ)が並ぶ。これはプラムプディング(プラムケーキ)とも呼ばれる。
これもまた、英国をはじめとする欧州の影響が直接、及んでいる形だ。
インドは、東西の中心に位置し、大陸からのさまざまな影響を受けつつ、与えてもいる。
と、話がそれたが、インドのキリスト教の歴史は古く、厚い信仰心を持つ敬虔な信者も多い。
クリスマスはまた、神聖に祈られるべき祝祭日なのである。
メリー・クリスマス!