日本旅から戻って以来、ミューズ・クリエイションの活動を優先していた。先週のクリスマス・バザールが終了して直後から、本業に専念だ。
……といいたいところだが。新メイドのシャンティが早くも脱落。通勤時間がかかりすぎるので、体力が持たんらしい。
というわけで、再び新メイドをサーチ。ご近所さんに3年ほど、パートタイムで勤務しているメイドが、近々来てくれることになった。
ご近所さんによると、掃除も上手で人柄もいいのでお勧めだとのこと。ひとまずは、安心だ。
つなぎの間、ここ数日、自分で家事をしてみたのだが……。
自分でやると、日々の掃除はあっという間に終わる。
プレシラがいかに、スローでお掃除が苦手だったか。再認識すると同時にミステリアスであえる。
思えば彼女は、バケツやモップや雑巾などの掃除道具をあちこちに「散らかしつつ」掃除していた。何度注意しても改善されず、諦めていたが、やはりあれは、問題であった。
そもそも、日々の料理、そして夕食の食器洗いは、わたしが自分でやっているし、アイロンがけは外部のアイロンレディ(といってもおばあさんだが)に頼んでいるしで、彼女の仕事は、純粋に掃除洗濯がメインであった。
にもかかわらず、なぜ毎日、5、6時間もかかっていたのだろう。きっと「塩梅を見る」ということができなかったのだと思う。
毎日、汚れていないところさえ、一から掃除をしようとしていた。
その件についても長居をされたくなかったわたしは、再三、アドヴァイスをしてきたのだが、6年の歳月が流れるうち、面倒になって放置していたのも事実。
ちなみにインドの家屋構造は「掃除機が不適」なので、ハタキをかけ、家具などを軽く拭き掃除し、箒ではいたあとに、モップをかけるという流れだ。
ここ数日、朝のトレッドミルでのウォーキングのかわりに、箒とモップがけをするのだが、これがなかなかにいい全身運動。
腰を落として両手でモップを往復させると、背中の贅肉が引き締まる。むしろトレッドミルよりもいいんじゃないかと思えるほどだ。
掃除をしているあいだ、洗濯機を回して、掃除が終わった頃に干せば完了。あとは、静かな午後を送れて、デスクワークにも集中できる。
静か。非常に静かで、たまらん。
わたしが、特に厳しい目で彼女を評価しているわけではない。日本の母が長期滞在していたときも、母がしみじみと言っていたものだ。
「プレシラは、どうしてあんなに、掃除に時間がかかるの?」と。
それでも、彼女は誠実だし、ムンバイとの二都市生活での留守を守ってくれた。パーティの時などは、やはりメイドがいなければ大変だ。
それに加え、インドはなんだかんだで生活のインフラが不全なため、しばしば誰かが出入りしている。その際にもメイドの存在は不可欠である。
純粋に掃除洗濯だけなら、最早自分でやった方が早いとの思いだが、わたし自身が夫をおいて出張する時などのことも考え、信頼のおける人を確保しておくことは、やはり大切。
何でも自分でやってしまえばよし。というわけにもいかず、ややこしいものだ。
ともあれ、自分で家事をすることは、機能的な生活を送る上で大切なことだということを、今更ながら再確認した。日々に対して、いつもよりいっそう、丁寧になれる気がする。
物に対する注意力が増す。屋内での移動に無駄がでない。家事は、大切。本当は、自分でやるのが一番。ということを痛感した次第。
人生、奥が深いな。
ところで先週、夫は1週間弱、デリーにほど近いグルガオンのリゾートに滞在していた。
Aspen Institute Indiaという組織において、インドの未来を担うべく、各業界のリーダー育成プログラムに参加していたのだった。
当ブログにおけるわが夫の話題といえば、たいてい間抜け系、天然系が多いので、たまには、普通の彼の側面も書いておきたい。
アスペン・インスティテュート、すなわちアスペン研究所とは、1949年、米国コロラド州アスペンで開催された「ゲーテ生誕200年祭」において、提起された理念が原点となり、1950年に発足された。
学者や芸術家、実業家など、さまざまな業界に身を置く人々が、日常の煩雑さから遠い場所で、語り合い、思索する場<セミナー>を提供。
なんのこっちゃ。
とお思いの方もいらっしゃると思うので、関心のある方は、日本にも研究所があるゆえ、そちらのサイトをご覧いただければと思う。
■一般社団法人 日本アスペン研究所 (←Click!)
このアスペン研究所の活動は、国際社会における評価も高く、ドイツ、イタリア、フランス、ルーマニアなどでも実践されているという。
インドでは、今回が4度目の開催だとのこと。
毎回、約20名が選出され、プログラムを共有する。事前の勉強、下調べも必要とされたため、夫は日本旅行中にも与えられた課題を持参し、新幹線や飛行機の機内で熱心に勉強していた。
今回参加した人々は、アルヴィンドを含め、下記のサイトにプロフィールが掲載されている。
■INDIA LEADERSHIP INITIATIVE (←Click!)
ざっとメンバーの略歴を見るに、テロリストの攻撃に遭った際、人質救出のための作戦を練り、成功に導いたというポリスオフィサーの女性や、インド人として初めて、南極、北極、アイルランドをクロスカントリースキーで制覇した冒険家、エネルギー、環境問題のエキスパートに、乳製品会社のCEO、大手メディアのエグゼクティヴなど、非常に多彩な顔ぶれだ。
3名のモデレーターのうち、一人は84歳のカナダ人。彼は49歳の時からマラソンを始め、以来94回もフルマラソンに出場しているという。
なんか、よくわからんが、すごい。
夫はといえば、大学卒業後はNYのマッケンジーでコンサルティングの仕事をしていたが、MBAを出て以来、ずっとヴェンチャーキャピタルやプライヴェートエクイティなど投資関係の仕事をしている。
彼の業界は「お金!」一色の世界が広がっている。
わたしはしばしば、彼の仕事内容と、彼の個性とが、あまりにも噛み合っていないと感じるのだが、しかし彼はそれを楽しんでいるようなので、これがまたミステリアスなところではある。
今回、このプログラムに参加したのは、彼の大学時代のクラスメイト(印ゴールドマンサックスのCEO)の推薦が契機だった。
類似の業界の人間からの、このような推薦がなければ、夫は決して踏み入れることのない世界であったように思う。
このプログラムは、一過性のものではなく、18カ月間に亘って続けられる。今回のセミナーで得た経験を元に、今後、各参加者が、「実践」をせねばならないのだ。
夫は今、教育関係の業界にも投資をしていることから、その方面での社会活動に目を向けようとしているようだ。
そんなこんなで、妻の本業以外のミューズ・クリエイションの活動についても、彼の関心が少しばかり高まって、それはそれでよきことである。
わたし自身、彼の経験を通して、学ばされること多く、ネットワークも広がる。
日ごろの枚挙に暇(いとま)がない夫婦間の問題の数々を解消して余りあるかといえば、そうとは言えんが、ともあれ、面白い人と結婚してよかった、と思う瞬間だ。
ところで、プログラムを受けている最中、グループ活動を行うためのゲームのようなことをやらされたらしい。その際、各々が自分にニックネームをつけることになったとのこと。
「ねえ、僕、自分のニックネーム、なんにしたと思う?」
「知らん」
「ヒントは、日本に関係があります」
「わからん」
「答えは……コニシキ!」
こ、小錦ですか……。
やっぱり、こんなオチになってしまった。すまぬ。夫。
明日は我が家でクリスマス会。今年は料理の半分以上をケータリングにすることにしたのだが、菓子類は作ろうと思っており。
これはその「仕込み」である。各種ドライフルーツをみじん切りにして、コアントローとラム酒で漬け込んでいるの図。もう、このままで旨い!
が、これは、別の菓子に姿を変えるのである。さて、今日はこれからサロン・ド・ミューズ。メンバーの方々に手伝ってもらって、ひたすらリンゴをむく午後だ。