本日、OWC (Overseas Women's Club)が主催する月に一度のロードトリップに参加して、バンガロールの郊外にあるウイスキー蒸留所へと赴いた。
AMRUT。サンスクリット語のAmrita(アムリタ)、即ちネクターに因んだ名を持つウイスキー。このウイスキーのことは、これまでも幾度か記した。
シングルモルトウイスキーのAMRUT FUSIONが、世界的に有名なのだ。
関心のある方は、過去の記録を読んでいただければと思う。
■バンガロールならではのお土産。AMRUT FUSION (←Click!)
■熱い/イタリアの午、パリの夜/シングルモルト (←Click!)
■[Tokyo] Visiting clients. Talking about India!(←Click!)
2010年の日本旅の折。友人が行きつけの六本木のバーに連れて行ってくれたときのこと。そこにAmrut Fusionがもおいてありましてね。
ついうれしくなって頼んだら……。グラス1杯が……。
嗚呼。とても書けない値段。さほどウイスキーが好きなわけでもないのに、わたしは何をやっていたのだろう。
さて、10時半にスタート、3時間半に亘るツアーだ。まずはAMRUTの歴史や背景を伝えるフィルムを観賞。その後、工場内を見学し、最後にテイスティングである。
製麦→ 仕込み(糖化)→ 発酵→ 蒸留→ 熟成→ 瓶詰め→ 出荷……
という一連の流れを見学。
見聞きしたことをあれこれと書きたいところだが、やるべき仕事が山積しており、そのくせ遊びの用事も多々あり、ゆっくりと綴っている余裕はない。
せめて備忘録に、写真と簡単なメモを残しておこうと思う。
見学にあたり、事前に注意事項がメールで送られて来た。「香水はつけないこと」とあったのに、香水の匂いをプンプンさせている参加者が数名いたのが、微妙に腹立たしく。
嗅覚が人一倍鋭い身としては、普段ならともかく、それは耐え難い事態ではあった。
飲食店での香水の香りも、かなり抵抗があるというのに。
それでよくインドに住んでいられますね。という突っ込みは、この際、なしにしていただきたい。
なにしろ蒸留所の中は、随所で「香り」が異なり、それがまた、独特の空気を生み出しているのだ。
麹の匂い。
イーストのような匂い。
オーク樽の匂い……。
ワイナリーとはまた異なる、独特の香りは、ウイスキーが特段好きではなくても、心地よさを誘う。
特にこの、「ウイスキーが寝ている」貯蔵庫の中。ひんやりとした空気と、樽と、ウイスキーの香り。心身が徐々に鎮められていく思いだ。
ここにカウチを持って来て仮眠すると気持ち良さそうである。
米国やスペイン、ポルトガルから輸入されたという古びた樽がまた、風情を感じさせる。
庶民向けの廉価なウイスキー、ブランデーのボトル詰め、ラヴェル貼りの作業所。機械によるオートメーションと人間の労働力との共存。
一瞬、「ギー(精製バター)」のパッケージを思わせる容器あり、ブラスチックボトルあり、そしてガラスのボトルあり……と、容器にも数種類あり。
働く人々は、かなり真剣な表情。みな、真面目に業務に取り組んでいる。たとえ機械作業がかんでいるとしても、全体的にとっ散らかった感があるのは、インドだもの。
リサイクル使用されるウイスキーの樽は、熟成する力を維持するために、内側を燃やして炭状にするらしい。ということを、今日初めて知った。
新しい樽に、であれば「チャー(炭にする)」、古い樽に、であれば「リチャー(再び炭にする)」と表現される。
そして最後に、ウイスキーのテイスティングをするべく、一室に集合。テーブルには4種類のウイスキーが並べられている。
数あるシングルモルトの中から選ばれた4種類。ほとんどが「輸出用」で、インド国内に出回っているのは今のところ2種類のみ。
創始者の孫であり、マネージングディレクターをつとめるNR Jagdale氏が自ら、ウイスキー・テイスティングの方法を語ってくれる。
それ以外にも、ウイスキーに関するさまざまなうんちくを語ってくれたのだが、いかんせん、予備知識がなさすぎて、理解できない箇所が多く。
ともあれ、ウイスキーはまず、鼻で香りを味わい、舌で味覚を確かめ、最後に余韻を楽しむ……ということが大切だと解説される。それはまた、ワインテイスティングにも通じることであろう。
ちなみに大麦は、北インドのラジャスターンやグジャラート州で収穫されたものを使用しているという。
グラスは左から
-INDIAN SINGLE MALT
-FUSION SINGLE MALT
-PLEATED INDIAN SINGLE MALT
-SINGLE MALT WHISKEY SHERRY
支持された通り、最初数分間、グラスの口を手を掌で覆い、ウイスキーを温める。そしてまずは香りを確かめる。
次に口に含む。もちろん、吐き出すべく容器が用意がされている。ワインであれば、飲みつつのテイスティングも楽しいが、ウイスキーは強すぎるので、そうもいかない。
最後は、首を背後にそらしつつ喉にウイスキーを流し込む。この時点で、むせる人、数名。
こうしてゆっくり味わうと、口中のウイスキーの香りが、4種類それぞれに、明確に異なることがわかって、非常に楽しい。
甘い香りのもの、フルーツのような風味を伴うもの、まるでタバコのような焦げ臭さがあるもの、薬品のような鋭さがあるもの……。
個人的には、2番目、受賞商品のFUSIONが気に入った。濃厚でマイルド、風味に力強さがある。次いで、シェリー酒の樽で貯蔵された4番目がフルーティでおいしかった。しかしインドでは入手できない模様。
ともあれ、新しい味覚世界を楽しむことができ、非常にいい経験であった。
……と、なぜか気がつけば、長々と記録を書いているではないか。さて、仕事仕事!!