昨日の午後、バンガロール中心部にある昔ながらの商店街、MG Roadの北に位置するコマーシャルストリートへと向かった。この界隈は、シワジナガール (Shivajinagar) と呼ばれる。
コマーシャル・ストリートから、1927年に英国人によって創設されたラッセルマーケットあたりにかけての一帯は、カントンメント(英国軍の駐屯地)で働いていた使用人のほか、英国人兵士らも住んでいた。
また、ヒンドゥー教徒にはできない、肉屋や皮なめし業といった職種をイスラム教徒やキリスト教徒が引き受けていたこともあり、このエリアには現在でも、キリスト教会、ヒンドゥー寺院、モスクが渾然一体と同居している。
異教徒が一つのエリアに共存している様子は、バンガロールに限らずムンバイなどでも見られる。以前、西日本新聞の記事で取り上げ、この界隈の写真を撮影したので、ご興味のある方、ご覧いただければと思う。
コマーシャルストリートの路地を入れば、テキスタイル、ジュエリー加工、靴(革製のサンダル)などを売る店が見られる。
滅多に立ち入らないエリアに、昨日は足を踏み入れ、手芸用品店らしき店を「発掘」しつつ、歩いたのだった。
手芸用の素材が、玉石混淆入り交じり、無尽蔵にあることは、知っていた。しかし、実際に買うことはほとんどなかった。
今回、下見とはいえ「買う」ことを意識すると、商品により近寄ってしまう。当然ながら、手触りや質感、丈夫さと値段を比較し、使えそうなもの、使いたいものを選ぶ必要がある。
選択肢が多いだけに、それはもう、迷うというものだ。
たいていの店が「お願い、片付けさせて!」と言いたくなるほど、とっ散らかっているのに対し、稀にきれいに整頓された店にたどり着くと、ほっとする。
刺繍の素材が、ガネイシャやハニュマーンなど、ヒンドゥーの神様であるところがインド的。しかし、ミューズ・クリエイションで、「これをやりたい!」と言う人は、いるだろうか。
いたとしても、買う人はいるだろうか。疑問。
まるで夢のような引き出し! 同系色でまとめられた刺繍糸がずらりと並んでいる様子は、まるで色見本を見ているようで、それだけで、幸せな気分になる。
アンカーの刺繍糸が400色、揃っているらしい。
「布」チームでは刺繍をしたいという人をまだ聞いていないのだが、ともあれ、なにかに使うかもしれないし、買っておこうと選ぶ。
なにしろ、安いのだ。1本7ルピー。今の日本円だと10円くらいか。
でも帰宅後、製造国を確かめるために、超小さい文字が記されたタグを見たら、6ルピーだった。ぼ、ぼられたのか?! ちなみにこれら、Made in Indiaである。
その他、嗅覚たよりに、いくつかの店を探検しつつ、すでに知っている店にも立ち寄りつつ、どのようなものが手に入るのかのアイデアをインプットする。
ひとつ残念だったのは、日本の手芸でよく使われるカラフルなフェルトがなかったこと。フェルトがあると簡単に、インパクトのあるモチーフの作品が、手縫いでできるのだが……。
フェルトと言ったら、店の人が、毛がもさもさとした、ぬいぐるみの素材を大量に取り出してくれたのには、辟易した。暑っ!
このようなボーダー類やタッセルなどは、裏道へ入らずとも、マイソールシルクという有名なショップで大量に販売されている。
ムンバイの老舗で我がお気に入りのサリーショップ、KALA NIKETANにも、たまらんほどたくさんの、質のいいものが売られている。
ああ、こういうものを見始めると、またはまってしまうのが、どうにも危険。だが、いくつかのサンプルを作るまでは、しばらく愉しもう。
ちなみにここで紹介している写真は、当たり前だが氷山の一角。この一帯は、「だれがこんなに買うのだろう?」不思議に思うほど、テキスタイル関係の店が多い。
この界隈に限らず、インドのローカルエリアの、テキスタイル関連のヴォリュームはすさまじいのだ。
そして帰宅後、気づく。今日、一番に欲しかったのはボタンだったのに、忘れていたことを。タオル製ぬいぐるみの頭を作ったはいいが、目となるボタンがなくて、それをまず買いたかったのに。
■ぬいぐるみは、目が命。(←Click!)
ところで話が力一杯かわるが、バンガロールのラルバーグ植物園で、毎年恒例のマンゴー祭りが開催されている。24日までやっているようなので、マンゴー好きの方、ぜひ訪れるべし!