キッチンへの入り口にかけた暖簾。これは、先だって、ここでも告知したバザール、DASTKARで購入したもののひとつ。
昨年の「イカット(絣)のサリー、マスターピース」のような大物買いを、今年はしなかったが、小さなあれこれを、買っていたのだった。
これは、ラジャスターンの製品で、コットン&コットンのオーガンジーの組み合わせ。よく見かけるワークだが、今回は、この木のモチーフが気に入った。もちろん、手づくりだ。
そもそもはカーテン用の布。白と緑、サイズがいくつかあったので、適当に買った。
店に並んでいる時よりも、家で見た方が「よく見える」のがうれしい。
市場やバザールや、ローカルの商店街での買い物は、往々にして、店先で見るよりも、家でそれなりにディスプレイすると味わい深く見えるものが多いのだ。
その典型的な例が、先日、ミューズ・クリエイションの「チーム布」のメンバーとともに繰り出した、「布の卸売り街探検」であった。
12月に、ミューズ・クリエイションの主催で、チャリティ・バザールを開催する企画がある。その際に販売する商品を製作すべく、素材を探しに出かけたのだ。
チームリーダーの友人が教えてくれたというそのダヤンダ・ナガールというエリア。知らなければ、決してたどり着くことのできない、超ローカルな一帯だ。
不思議な自転車に乗った不思議なお兄さんにも遭遇する、よくわからないエリアでもある。
通り沿いに、さまざまな布屋が軒を連ねている。男性もの、女性もの、カーテンやベッドリネン関係、その他諸々。
やたらオリジナルに忠実なルイ・ヴィトン柄などもあり、それがむしろ、店の印象を安っぽく見せているのだが、しかし!
中には、間違いなく「本物の」アウトレットらしきものも見られ、それが興味深い。参加者数名、山積みされた布を眺め、あれこれ引っ張り出してもらう。
インドの店らしく、陳列のされ方が、非合理的。下の方を取り出すと、上の方の布がどさどさと崩壊する事態に、身の危険さえ覚える店内だ。
それにしても、安い!
なにしろ1メートル40ルピーから70ルピーというお値段なのだ。100円もしないのである。どの布も、それなりに、かなりしっかりしており、決して質が悪いわけではない。
狭い店内でひしめきあいつつ物色していると、なぜか他のお客さんも増え始め、人口密度が高くなったので、買い物を早々にすませて店の外へ。
右上の、しわしわの布の山。これは、布を作る際の、「失敗作」や「試作品」、「端っこの方」などが、あれこれ一緒くたになって大きな袋に入っている状態。
他の人を待つ間、ここで布を掘り起こしてみると……。
印刷の練習をしたらしき面白い布(左上)などが出て来たかと思ったら、マイハニーが好きな、Tommy Bahama風の布が出て来た。
しわくちゃだが、これはいい! 値段を聞けば、
「1キロ350ルピー」
キロ売りかい!
布をキロ単位で買うことになろうとは思わなかったが、なんだか面白い。
さて、以下が今回購入した布。他にもいろいろあったが、大量に購入しても、何かを作らないことにはタンスの肥やし。最初は控えめにと数種類を選んだのだった。
左上。欧州のテキスタイルでよく見るパターン。しっかりとした厚手の布。インドには不似合いだが、久しぶりにこういうテイストが懐かしくなり、衝動的に選ぶ。
右上も厚手の布で、ベッドカヴァーなどに使われるようだ。これはヨガマットケースなどにいいかもしれない。
好みではないのだが、しかし「子ども商品」向けにいいかもと、ハローキティ(もどき)の布。間違いなく「偽キティ」だが、それなりに上品。サンリオには悪いが、購入。巾着袋などにいいかと思われる。
そしてこちらの2種類が、「キロ単位」で買ったもの。ちなみに左上はシマウマ柄で柔らかな木綿がナイスな肌触り。部屋着などを作るのに良さそうだ。
右上、アイロンをかけたあとのTommy Bahama風。カラフルなプリントが若干、版ずれしていることもあり、こうしてアウトレットにされたのだろうが、これは布の質もよく、いい買い物だ。
なにしろ、上のふたつ合わせて500g。ドレスやシャツを作るのに十分な長さがある。
Tommy Bahama風を夫に見せたところ、案の定、お気に召したらしく「それでシャツを作って!」とのことである。これはテイラーに頼むべし。
テイラーでは数百ルピーでシャツも作ってもらえるから、お手軽である。
店で見るよりも一段と、「よい布」に見えたのは、わたしだけではないようだ。
参加したメンバーがみなそれぞれに、「また、買いに行かなきゃ!」と張り切っていた。
インド。本当に、面白いネタが尽きない国である。
みな、それぞれのペースで、それぞれのやりたいことを、黙々と。
一応は「歌」「布」「紙」「食」のチームにわかれているが、このごろは、行き来も自由に、好きなことをやっている。
毎回、菓子を焼くつもりはなかったのだが、しかし、ついつい何かを作りたくなってしまう。
これは、義姉スジャータが先週、遊びに来た際、おみやげにくれたリンゴをもとに作った、またしてもタルト・タタン。好きな味は、何度も作ってしまう。
カシミールのリンゴは、そのまま食べると、もさっと寝ぼけた味なのが、惜しいところ。焼き菓子のリンゴは酸味があったほうがいいのだが、レモンを加えてお茶を濁した。
味にアクセントを添えるためにレーズンも加えて、バターと砂糖で煮込む。それに、多めに作って冷凍しておいたタルト生地を載せて焼く。
食べる時には、生クリームを添えて。シナモンパウダーをふりかけ忘れていたことに、今頃気づくが、ま、それはそれ。
こちらは、iPhoneに残っていた先週の食べ物の写真の一部。左上。この地味なスープはしかし、おいしかった。インドのムーンダル(豆)と丸ごと鶏肉を一緒に煮込んでスープにしたのだ。
鶏肉の旨味が豆と調和して、ヘルシーなおいしさ! インドは豆類が豊富なのも、本当にうれしいところだ。
右上は、玄米に豚挽肉とチンゲンサイ&メティ(フェヌグリークの葉)をを小さく切って炒めたもの。残り物による「焼き飯」なのであるが、これがまた、歯ごたえも香ばしく、いい味だった。
食べ物の話題が続くが、上の写真はMiPhoneにも載せたところのCafe Max。昨日、アーユルヴェーダの帰りに再び訪れたところ、「本日のお勧め」でフランクフルトソーセージがあったのだ。
豪華4本でヴォリュームたっぷり。これがまた、塩分控えめ上品な味。サーモンのグリルも美味!
インドでこういう料理が気軽に食べられるようになるなんて、移住当初にはイメージできなかった。
トマトたっぷりのブルスケッタも新鮮な味わいだし、アルヴィンドがしみじみと飲んでいるマンゴージュースも、シナモンの風味がほんのりときいた、オリジナリティあふれる味付けがよかった。
そして今日、日曜の夕暮れどき。ランチが遅かったので、今日の夜は軽くワインとおつまみですませようと、準備する。
夫の好きなアヴォカドを、夫の好みの「醤油味」に。そしてNature's Basketで購入したプロシュート。
それから、バンガロール拠点のチョコレートの会社Blissが、最近、販売をはじめたベーカリーから、ラヴァシュ(トルコのパリパリなパン)を。
これが予想以上においしくて、うれしい。これは、かなり気に入った。
このごろは、仕事でも「変化するインドの実態」を伝えるものが多く、5年、10年を遡ってのリサーチをする機会が少なくない。
この国の独特の、新旧が混在するライフを、的確に伝えることは難しいと、単に食のシーンだけを見ても、思うのだ。
さてさて。日本への帰国まで1カ月余り。その前に、諸々の仕事を仕上げるべく、今週もがんばるべし。