昨夜、ムンバイからバンガロールに戻ってきた。4泊5日、ムンバイでの経験。旅の途中に書き留めきれなかったことを、この数日でできるだけ、残そうと思う。思えば日本旅の記録もまだ、少し残っているのだが……。
4日目は、ほぼ、一人で過ごした。ムンバイはバンガロールに比べると暑い。かなり暑い。それでも、南ムンバイのなじみのエリアは、訪ねておきたい。まずは、世界最大の屋外洗濯場、マハラクシュミ駅の近くにあるドビー・ガートへ。ここを訪れる目的は、洗濯場を見るためだけではない。その向こうに広がる情景の変化が興味深いのだ。
ここを初めて訪れたのは2005年。最初の写真には写っていない高層ビルディングが、次々に誕生している。この背景には、経済の振興だけでなく、ムンバイの不動産事情や行政の変化があるのだが、詳細を綴っていると尽きないので、とりあえず、写真を。
昨年あたりから、観光客が眺めやすいようなポイントが整えられていて、「マハラクシュミ・ドビー・ガート 8つの事実」が記されたパネルが施されている。要点がわかりやすいので、その8つの事実にわかりやすく手を加え、日本語にして紹介する。
【マハラクシュミ・ドビー・ガート 8つの事実】
1. ドビー・ガートは1890年に作られたムンバイで有名な屋外洗濯場。ドビーと呼ばれる洗濯人たちが、ムンバイのホテルや病院から届く衣類やリネン類を洗濯している(※高級ホテルや大病院などは、独自のランドリーシステムを持っている)。
2. コンクリート製の野外洗濯場がずらりと並び、それぞれに鞭打ち石が設置されている。ここは世界最大の屋外洗濯場で、観光客に人気の「アトラクション」でもある。
3. 洗濯業者の代表的な組織であるDhobi Kalyan & Audhyogik Vikas Cooperative Societyによると、マハラクシュミ・ドビー・ガートの年間売上高は、およそ約100億ルピー。
4. 2011年「1カ所で最も多くの人が手洗いしている」場所として、ギネスブックに登録された。
5. 毎日18~20時間、7,000人以上の人々が、コンクリートの洗濯板で衣服を打ったり(※洗濯物を石に叩きつける)、こすったり、あるいは漂白する。濯いだ洗濯物をロープに干し、きれいにアイロンをかけ、市内の随所に衣服を届ける。
6. 毎日10万枚以上の衣類が洗われる。裕福なドービの中には、手洗いの作業に見切りをつけ、大型の洗濯機や乾燥機を導入したところもある。
7. ドビーは、ムンバイ最南端地区のコラバから、ムンバイ北端のヴィラールまで、至るところから衣類を集めている。彼らの最大の顧客は、近隣の衣料品販売店、結婚式の装飾、ケータリング、中規模のホテルやクラブなどだ。
8. ドビー・ガートまた、長年にわたってボリウッドのプロデューサーを惹きつけてきた。ドビ・ガートが登場するヒンディー語映画やマラーティー語(ムンバイのあるマハラーシュトラ州の公用語)映画は少なくない。
(写真の新聞は、2008年、西日本新聞『激変するインド』に寄稿した記事。わたしは2007年から2012年までの5年間、毎月、西日本新聞にインドをレポートしていた)
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