金曜の夜、新年最初の外出は、シャングリラ・ホテルへ。年が明けてもクリスマス風味が残っているのは、インドに限らず欧米では一般的なので念のため。1月6日のエピファニー(公現祭)を終えて、ぼちぼち片付け始めるといった感じだ。
さて、久しぶりに同ホテルのダイニングへ赴く。バンガロールに暮らす義姉Sujataとその夫Raghavan、一人息子のNayan、そしてコルカタやワシントンD.Cに暮らす親戚らが集まっての新年会だ。大家族が一般的なインドにあって、夫の家族は驚くほどに小さい。義父は一人っ子、義母は兄と二人だけとあり、夫には従兄弟が一人しかいない。
ところで義姉夫婦も出会いは米国だ。義姉がイェール大学Ph.Dに在籍していたころ、そこで教鞭をとっていたRaghavanと出会った。RaghavanはHIVをはじめとする感染症のワクチン研究が専門で、インドを代表する生物物理学者の一人だ。1992年以降、ここバンガロールにあるインド科学大学院(Indian Institute of Science) で研究、教鞭をとってきた。
わたしが初めてバンガロールを訪れた2003年12月、まだ古びた環境の研究室を見学させてもらった。この簡素な研究室で、大勢の人々を救うワクチンが研究されているのだと知り感銘を受けたものだ。当時の記録から、写真を転載する。21年前。懐かしい。
Raghavanはこれまでも、数々の賞を受賞してきたが、先月もまた、ヘルスケア部門でタタ・トランスフォーメーション賞を受賞した。タタ・グループとニューヨーク科学アカデミーが主催する授賞式と晩餐会に参加すべく、我が夫もムンバイへ赴き祝福の場に立ち会った。
受賞の対象となった研究は、RSV(呼吸器合胞体ウイルス)に対する「費用対効果の高い」ワクチンの開発。RSVは、インドをはじめとする新興国で、年間3,000万人以上が感染、多くの子どもたちが犠牲になっているという。Raghavan率いるチームの研究成果により、ワクチンの1回あたりの価格が95%削減できるという。 世界をよりよく変えるための革新的な研究として、高く評価されているようだ。
真摯に、研究一筋の人生を歩み続けているRaghavan。我々夫婦が結婚前、ニューヨークで同棲していた時代に、米国出張に合わせて義姉夫婦が泊まりに来たことがあった。そのとき、Raghavanがアイスボックスからいくつかのシャーレーを取り出し「これ、冷凍庫に保管しておいてくれる?」と手渡された四半世紀以上前のことを、ついこの間のことのように、思い出す。
🧪2024 TATA Transformation Prize Winner Dr. Raghavan Varadarajan
https://vimeo.com/1039163843
🇯🇵ところで我々夫婦にとっては唯一の「甥」であるNayan。親戚に日本人がいる……ということがうれしいらしい。周囲には「僕には約1%の日本人の血が混ざっている!」と言って、従兄弟らから「それはない!」と突っ込まれていた。かわいい。
「今度、わたしが作る日本料理を食べなさい。そうしたら日本人の割合が、2、3%増えるよ!」と伝えておいた。
ところでこの夜は、金曜ならではのシーフードのブッフェを楽しんだ。おいしかった。義姉家族はこのホテルのダイニングの常連ということもあり、ホテルから祝福のケーキと花束を受け取っていた。
🥻わたしは、濃紺の、薄くて軽い絹布に施された手刺繍が美しいサリーを着用して出かけた。このサリーもまた、友人YashoのブランドMrinaliniで購入したものだ。今回、京友禅サリーのモデルとしても協力してくれたYasho。彼女が選ぶサリーは、本当にわたしの好みと一致するものが多い。
「箪笥の肥やし」は増やしたくないのに、あれこれ欲しくなり悩ましい。ミューズ・クリエイション企画で、サリーのレンタル&着付けでもはじめようかしらん。
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