夫は丸々2日間、ミーティングその他に奔走し、妻は2日間、買い物や街歩きに出かけ、二人揃って足の裏に豆を作り、今日はおとなしくしようと小雨降る土曜。
遠出を控えて、ホテル界隈を散策し、買い物などをする。
そもそも、買い物をあまりしない夫。ここ10年というもの、バンガロールでは「必要」なものを購入する以外、敢えてショッピングをすることはない。衣類や靴、小物などは、年に一度の、このニューヨーク旅で調達する。
思えばこの10年間のうちにも、わたし自身の服装の嗜好が、それなりに変わった。最初のころはインドデザイナーズの服が楽しくて、大半がインドものだった。
インドデザイナーズ・ファッションの魅力は、素材がシルクや綿、混紡など天然で着心地がいいこと、また伝統的な織りや刺繍、染めなどが施されているところなどにある。それらの服に、インド的なジュエリーをジャラジャラと身に付けていた時期もあった。
しかしながら、5年もたつと、飽きてきた。米国に住んでいたころの、ジーンズにシャツ、といったシンプルな服が性に合っていることを改めて思い出す。パーティ用のドレス(ワンピース)なども、年に一度のこのニューヨーク旅で購入する。
パーティ用の衣類は、化繊でも仕方がないが、普段着は着心地のよいものしか、肌が受け付けなくなった。皮膚が苦しいと感じるのだ。皮膚呼吸する爬虫類並みである。巳年だけに。
うっかり化繊を購入して、インドに戻って着る気がしないという失敗がまた、これまでにも幾度かあった。
とにかく、今更ではあるが、そういう失敗や無駄をしないよう、今年は素材、着心地を吟味してのお買い物、である。
ここ数年、ボーダーが流行っているが、今年もショーウインドーにはボーダーが溢れている。そして気づけば、ついつい……。
かつては「おばさまのブランド」だと思っていたEILEEN FISHER。このブランドの服の着心地のよさに数年前、気づいて以来、このところ毎年、調達している。
気がつけば、自分もおばさま、になっていた。
天然素材の商品が多く、中には「MADE IN USA」を誇らしくアピールしている服もある。中国製ではないのだ、という主張だ。
それはともかく、このブランドの衣類において、わたしのサイズは「S」である。身長166センチ、体重たっぷり、日本では「大きいサイズ」行きのわたしが、S。
20歳で初めて渡米し、あらゆるものごとの価値観や「尺度」が変わった。その一つが、この「サイズ感」である。
わたしは、決して大柄でもデブでもない。普通、もしくは小柄、なのだ。この国においては。この事実を目の当たりにしたときの意識の変化を、今でもはっきりと思い出せる。あの、すがすがしい開放感。
物事を考える際においての「囚われ」を打ち破る契機となった。日本の中だけの標準、基準、平均値に囚われているのでは、世界が見えない。精神の解放は、「服のサイズ」にもあったのだ。
ランチはタイムワーナー・ビルディングのBOUSHONにて。ここのパンは、おいしい。ついつい、バターをたっぷりつけて、食べてしまう。
今日は胃袋を休めるために、ランチは軽めにしておこうと、コブ(COBB)サラダ。ハリウッド発祥の、このコブサラダ。サラダとはいえ、ベーコン、チキン、卵、アボカド、ブルーチーズなどのトッピングがたっぷりで、決して「軽い」とは言い切れないのだが、おいしい。
BOUSHONといえば、インドに移住する前、米国大陸横断ドライヴで立ち寄ったラスベガスを思い出す。ラスベガスのホテルにあった同店で、図らずもキッチンを見学させてもらったのだ。楽しかったなあ。
……と写真を見てみるに、11年前だというのに夫がほとんど今と変わらないところ、改めて驚かされる。
■ブションで朝食。思いがけず、キッチンを見学 (←CLICK!)
夕べは、小雨降る中、ホテルの真向かい、リンカーンセンターのニューヨークシティ・バレエへ。話題の演目のチケットは売り切れていたが、クラシックやモダンバレエが4部構成で楽しめるプログラムのチケットが入手できた。
ヴァラエティ豊かで楽しかったが、個人的には最初の演目、チャイコフスキーのセレナーデ、が一番よかった。バレエは詳しい訳ではないが、美しい踊りを観るのは、本当に幸せなこと。それに好きな音楽が重なると至福である。
そういう意味で、クラシックが一番、心にも染み入る。
〈おまけ02〉マンハッタン。街の随所で、セルフィーする人を見かける。我々も久しぶりにセルフィーでツーショット。……楽しくやってます。