またしても、すっかりご無沙汰しておりました。2週間の旅に出ていたまるおさんがご帰国され、さらに10日くらいたってしまいましたよ!
マルハンさんちは、この5月より、NORAが再び「半野良ライフ」を送るようになってからというもの、今までに増して、大小の事件が絶えません。
事件の大半は、ハンティング・スピリッツ全開のNORA姉さんを巡るものですが、それ以外にも、いろいろあるんです!
もういちいち書くのが面倒なくらいに! どの事件も「似て非なるもの」なんですけど、所詮、似たような話しなので、聞いている方にとっては、多分、目新しくないと思います。
なので、割愛しますよ。
まるおさんが旅に出ている間、みほさんは3匹を連れて、動物病院に行きましたよ! NORAの年に一度のワクチン接種のついでに、ROCKYの心臓の具合を見てもらうのと、JACKもついでに見てもらおうということで、3匹です。
3匹とも「虫下し」のお薬が大嫌いですぐに吐き出すので、それもドクターに飲ませてもらうことにしました。
移動用の籠は2つあります。小さい籠にはNORAを入れ、大きい籠にはROCKYとJACKと入れます。NORAは一人じゃないと、イライラして荒れますからね。
すると大きい方の籠が、ものすごく重いんです。
病院でみんなの体重を測ってもらったら、ROCKY5キロ、JACK4キロ、NORA3.5キロでしたよ! JACKも大きくなったんです。
NORAと一緒にいるときには、いつも「負け」の姿勢なので小さく見えてしまいますが、JACKはNORAよりも、重たいんですよ。
みほさんは、几帳面なタイプなので、病院から送られて来た過去の検査結果などを、各自のノートに貼付して記録に残しています。しかも、カラー印刷までされています。
このノートを見て、病院の助手のお兄さんも、笑ってましたよ。みほさん、心の中で「笑うな!」って言ってましたよ!
みほさんは、猫を飼う前は「猫が半年おきに健康診断? ウケる〜!」とか言ってたくせに、もう、自分たちの健康管理よりも、猫らのことを優先しているくらいです。
毎週、新鮮な魚を注文し、カボチャやニンジン、様々な穀物や豆類など、そのときどきに応じた「ブレンド」で、手料理も作ります。
大きな魚は、骨を手で取り除いて、身をほぐします。一方、イワシなどの小さな魚は、丸ごとブレンダーにかけて粉砕します。魚は海の魚、川魚、そのときどきで新鮮かつリーズナブルなものが選ばれます。
栄養のバランスがとれた、たいへん健康的な食生活なんですよ。
半野良生活に戻って以来、NORAはガツガツと「食べだめ」をします。けれど、お行儀がいいので、こぼしたりはしません。一方、ROCKYとJACKは、いつもお皿の周辺に食べ散らかして、お行儀が悪いです。
お腹がいっぱいになると、ごろんとまどろんだりすることもありますが、このごろはモンスーンシーズンということで、獲物の出没頻度が高いことから、丸一日、狩りに出かけたままということも、よくあります。
ROCKYとJACKは、相変わらず、追いかけっこをしたり、じゃれ合ったり、仲良しです。
大雨の夜、外出できず、おうちにいたNORA。みほさんがスピーカーで音楽を流し始めると、ミャアミャア言いながら近寄ってきました。
みほさんがピアノを弾いている時にもミャアミャア言います。NORAは音楽が好きなのですね。自分なりに、歌っているつもりのようです。
そんなNORAを不審に思ったROCKYは、書棚の上から眺めています。
ある日、ROCKYがお気に入りの場所で寝ていたら、NORAがやってきました。珍しいことです。ROCKY、硬直しています。
NORA、眠たくなったみたいです。かわいいですね。でも、ROCKYはまだ、硬直しています。肩に力が入っている感じです。
しばらくしたら、こんなことになってました! ROCKYの頭はどこなんです?!
JACKが「僕も仲間にいれて〜」とやってきました。NORA、イラっとしてます。
ROCKYは、依然、NORAのお尻に敷かれた感じのポジションです。
ROCKYは身体は大きいけれど、まだ2歳にもなっていないので、気持ちは子どものままなんです。
尤もNORAは、最初から自立心の強い子どもでしたけれど。
NORAは落ち着きなく、近所のテリトリーチェックをしています。
このごろのNORAは、少なくとも2日に一度、獲物を捕獲してきます。大中小、さまざまあります。このごろは、生きた大を持ち帰って来るようになり、みほさんはもう、たまりません。
でも、だんだん慣れて来て、生きた小くらいなら、全然動じなくなりましたよ。
ところで、これはまるおさんがニューヨークから買って来たお土産です。JACKが特にお気に入りなんです。
先日、まるおさんが階下から叫びました。「みほ! みほ! ちょっと来て! このネズミ……!」
まるおさんが玩具だと思って拾おうとしたところ、それは小さなネズミでした。どうやらJACKが、庭で見つけて来たみたいです。JACKは隣家との境目の塀のところで、じ〜っと硬直していることがあるのですが、どうやらそこにネズミの穴があるみたいなんです。ついには、自分で捕獲できたんですね!
みほさんは、「JACK、立派になったね」と褒めてましたよ!
ちなみにROCKYは、小さいころこそ、NORAのお土産で遊んでいたけれど、今は関心がないみたいで、触れようともしません。
NORAが大好きなまるおさんは、NORAと遊ぼうとしますけれど、他の人、他の猫が見ているところでは、NORAは遊びたがりません。隙を見せたくないみたいです。
みほさんが、まるおさんに「英文チェック」をお願いしていたら、赤いペンが気になるJACKが邪魔をします。
JACKは添い寝男子ですので、毎晩、まるおさんかみほさんのそばで寝ています。
みほさんが朝、台所仕事をしていたときに見かけたのを最後に、ROCKYが姿を消したんです。それに気づいたのは、午後1時を過ぎたころでした。
みほさんもまるおさんも、家中を探しました。ROCKY、ROCKYと呼びつつ、餌のお皿の音を鳴らしたりして。いつもなら、おやつのキャットフードの音がすると駆け寄って来るはずのROCKYが、来ないんです。
このごろは、NORAが木によじのぼって逃げているところも目撃していますから、ひょっとすると逃げ方を習得したのかもしれません。
だとしたら、ROCKYはちゃんと帰って来られるのでしょうか?
そういえば、まるおさんが旅行で不在の間、NORAの度重なるお土産と、彼女の荒れ果てた姿に耐えかねたみほさんは、日曜大工をしましたよ!
5メートルものプラスチックのシートを購入して、これを切断して、NORAの脱走ルートである塀をカヴァーしたんです。
みほさんは、日曜大工も得意な方らしいですけれど、なかなかの重労働だったんですよ。
にもかかわらず、数時間後には、NORAはまた、脱走していたんです!!
結論から言いますと、NORAは、椰子の木の下からぐいぐいと、よじと上れるようになってたんです。
だったら、塀からジャンプするなんて紛らわしいことをせず、最初から、下から上れよ! とみほさんは悪態をつきましたが、あとの祭です。
翌朝、NORAは柵越しに、「みほさん、ただいま〜」と挨拶をしていましたよ。いつもの書斎の方の柵から帰宅するのではなく、敢えてみほさんに「小窓ドア」を開けさせようとします。どこまでも、嫌な感じですね!
椰子の木の幹をプラスチックシートで覆えば、NORAも上れなくなりますが、また追加購入して工事をする気にはならず、みほさん、脱力気味です。
「徒労」とは、まさにこのことですね!!
話しが逸れてしまいました! ROCKYが姿を消した事件です。ROCKYがいないと気づいてから、先ほども説明しました通り、みほさんとまるおさんは、家や庭、クローゼットの中など、普段ROCKYが行きそうなところはすべて確認しました。
でも全く反応がありません。なので外を探してみることにしました。
ROCKYはこれまでも2、3回、脱走したことがありました。初めての脱走は昨年の5月。みほさんがデング熱を発症して熱を出していたときのことです。NORAと一緒にお出かけして、ひと騒動がありました。
そのあとは、ハトを追いかけてお隣の敷地に行ってしまいましたが、彼は臆病ですので、塀と塀の隙間でうずくまっていました。
来客にはいちいち怯えるし、よその猫が来た時にもビクビクしているROCKYですから、遠くまで探検に出かけるとは思えません。でも、ひょっとすると、少し大人になって、度胸がついたのかも、ともみほさんは思いました。
だとしても、どう考えても野生の勘が鈍く、方向音痴っぽいROCKYが、ちゃんと帰って来られるのでしょうか。
せっかくの日曜日の午後だというのに、みほさんは、何をするにも手につかず、1〜2時間おきにご近所を捜索に出かけます。まるおさんもです。
ついには日が暮れました。空を仰げば三日月が微笑んでいるというのに、みほさんの心は晴れません。
ROCKYは心臓病がありますし、毎日のお薬も必要です。もしも本当は具合が悪くなって、家を出てしまったとしたら、どうしよう、とも思います。猫は体調が悪かったり、死期が近づいたりすると、家を離れてどこかに潜むという話しを聞いていますので、それも心配です。
頼みの綱はNORA姉さんです。どこかでNORAと合流して、一緒に帰って来てくれればいいのですが……。
そして夜の11時。NORAがいつものように、薄汚れて帰ってきました。でも、一人です。ROCKYはいません。みほさんとまるおさんは顔を見合わせます。
ひょっとすると近くまで帰って来ているかもしれないからと、みほさんは庭に出て、ROCKY! ROCKY! と呼んでみました。
もう、ご近所さんも、大概、迷惑だと思います。なにしろみほさんの声は、大きいですからね。控えめに呼んでも、あたりに響き渡るんですよ!
みほさんがROCKYを探していると、JACKもついてきます。はっきりいって、邪魔なんです。だって、あ、ROCKYと思ったら、JACKだった。というのを、何度か繰り返しているからです。
もう、今夜は諦めるしかないかもと思いながら、もう一度「ROCKY!」と呼んだら、「ミャーオ」という声がかすかに聞こえます。
今の、JACK?
もう一度呼ぶと、また「ミャーオ」と聞こえた気がします。幻聴? 心配のあまり、ついには幻聴まで聞こえるようになったとしたらやばいな、とみほさんは思います。
みほさんは紛らわしいJACKを別の部屋に移して、もう一度呼びました。すると、声はどうやら、台所の奥の方から聞こえます。
ROCKY……いるの?! どこ?!
まさか! と思うと同時にみほさんは、台所の収納の扉を開けました。するとROCKYが、寝ぼけ眼でのっそりと、出て来るではありませんか!!
みほさんはもう、安心するやら、呆れるやら、びっくりするやらで、言葉がありません。まるおさんも、キツネにつままれたような顔をしています。
12時間もの間、飲まず食わず、おトイレにも行かず、鍋の上で寝ていたようです。
思えば朝、みほさんは猫のご飯を作るための圧力鍋をここから取り出し、一旦、台の上に置きました。その瞬間に、ROCKYは入り込んだのでしょう。みほさんはそれに気づかず、扉を閉めたんです。
まさかそんなところに入り込むなんて想像もしませんでしたので、探す時にも開きませんでした。
一日中、みほさんたちがドタバタしていたのにも気づかなかったのか、熟睡していたようで、出て来るなりあくびをしながら伸びをして、さほどお腹がすいている様子も見せません。
みほさんが、ROCKYを抱きかかえても、当たり前ですけれど、悪びれた様子もありません。
日曜の午後の平穏を返せ! とみほさんとまるおさんは思いますが、でもROCKYが特に悪いことをしたわけではないので、やり場のない感情です。
それにしても、無事でよかった。
同じ猫でも、NORAとROCKY、そしてJACK、ここまでも性格が違うというのは、本当に驚きです。
これから先も、こういう事件がまた起こるかもしれないと思うと、みほさんは本当にうんざりしていますが、それでも、毎日、猫らが与えてくれる幸せなひとときは、とても大切なのだそうです。
いっそ10匹くらい飼って、1、2匹いなくなっても気づかないくらいにしたほうがいいんじゃないか、などと乱暴なことを考えるみほさんです。
そんなわけで、無駄に、本当に無駄に振り回されたマルハン夫妻の日曜日でした。
それではみなさん、ごきげんよう!