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連休最後の日。 夫は午後から、書斎に籠もっている。 10年前に亡くなった母のメモワールを、 インドに住む姉が自費出版するという。
そのメモワールに載せるための原稿を、夫は今、書いている。 子供時代の、母との思い出を、じわじわと、思い出しながら。
時に、クスリと笑いながら。 時に、深いため息を付きながら。
わたしは、キッチンに立ち、彼の祖国の料理を作る。
さまざまなスパイスの匂いが、部屋中に立ちこめる。
じわじわと、黄金色に染まりゆく鍋の中を見つめながら、 彼の子供時代に思いを馳せる。