盛大なる「引っ越しの儀式」は済んだものの、まだ家具や家財道具の購入などはすんでいない。本当は、ここ数日のうちにすませたかったのだが、夫の出張に同行するため、2泊3日のムンバイ行きである。数カ月前、初搭乗した「キングフィッシャー」のフライトで、夕方、バンガロアを発ち、日暮れて間もないムンバイに到着。
バンガロアではヒンディー語が通じず(地元の言語は全く異なる)、加えて地元人の英語は、デリーやムンバイよりも一段とわかりにくい。夫は「会話が半分も成り立たない!」とご立腹で、何かとご不満炸裂させていたが、ムンバイはヒンディー語が通じるせいもあり、また、バンガロアに比べると「都会」でもあるから、うれしいようだ。空港からホテルへ向かう道すがら、ドライヴァーと滑らかに会話をしながら、ずいぶんとリラックスしている。
今回は、打ち合わせ先が空港周辺、つまりムンバイの北部に集中していることから、ダウンタウンまでは下りず、バンドラという地区にあるTAJ LANDS ENDというホテルに滞在する。このホテルは三方から海を望める、ムンバイの西の最果てにある。ホテルまでの道すがら、高級住宅地をすり抜ける。
インドで最も有名な俳優(すてき)、シャールク・カーンの家もこの近くにあり、ドライヴァーが、「この左手の敷地が彼の家ですよ!」と教えてくれるや、タクシーから身を乗り出さんばかりに眺め入る。高い高い塀の向こうに、ギリシャ神殿風(インド人の富の象徴はギリシャ神殿?)の、白亜の建物が見える。
さて、最近、他のホテルグループから建物を買い取り、リノヴェーションをして開業したばかりのTAJ LANDS ENDは、実に巨大なビルディング。真新しい客室は、硬めのベッドが快適で、バスルームも使い心地がいい。明日はホテルで、久々にどこにも出かけず、ゆっくりと書き物をしたり、スパに行ったりして過ごそうと思う。
夜はチャイニーズレストランで軽く夕食。そろそろ、自分で作る食事が食べたくなって来た。早く、引っ越しをすませて、自分のキッチンに立ちたいものだ。
●バンガロア国内線空港。車を降りるなり、「キングフィッシャー?」と言いながら、赤い作業服のボーイズが駆け寄ってくる。キングフィッシャーの従業員が、セキュリティーチェックやチェックインの手伝いをしてくれるのだ。とても便利なサーヴィス。
●毎度1時間ほどのフライトでも、スナックが出る。小さなサモサ2つにチキンのグリル、それからポテト。ポテトはホット(スパイシー)過ぎたが、他はおいしかった。デザートのグラブジャムンは、更に甘ったるいクリームの上に載せられており、やってられない甘さだったので、半口、味見をして放棄。
●ホテルのチャイニーズで夕食。窓の外では、フォードの新車発表会が行われていた。ボリウッド風へんてこダンスが繰り広げられているかと思えば、チャイコフスキーの「白鳥の湖」風、ブロードウェイミュージカルの「シカゴ」風と、なんやかや趣向を凝らした踊りが次々に展開されている。あまりにも、インド的。