金曜の今夜は久しぶりに、外で食事。このごろは、モハンの手料理に満足して、中途半端な外食を口にするくらいなら、ヘルシー&テイスティーな家庭料理を選んでしまう。
けれど、たまには気分を変えて、外のムードを楽しんでもみたいもの。友人から噂に聞いていたイタリアン、Sunny'sに予約をいれておいた。
公園の散歩を終えて、しかし予約している8時までにはまだ1時間半ほどある。バンガロアクラブへ立ち寄ることにした。
バンガロアクラブに入る前に、ご近所を少々散策。このあたりには、シルクのバッグやクッションなどを売っているちょっと小粋な店や、アートギャラリー、カフェなどがある。埃っぽい通りであるには変わりないのだけれど、こぎれいな犬がいたりして、少しばかり清潔か。
バンガロアクラブでは、ライブラリーでしばらく雑誌などを読む。書籍の他に、新聞や雑誌などもたっぷりあって、なかなかに便利なライブラリーだ。プールに入るにはまだ寒いけれど、夏にはここで本気で泳げそうだ。夫は「夏になったら毎日来るぞ」と張り切っている。
女子入場禁止のMen's barではなく、Mixed Barで、チキンティッカをおつまみに、白ワインで乾杯。何かしら、優雅である。でも、サーヴィスが変。白のグラスワインを2つ注文したのに、会計の段になって、3つ分の請求が来た。ウエイター曰く、
「1杯分は少ないから、グラスに多めに注いで3杯分をお出ししました」
だれも、なみなみと注いでくれと頼んだ訳でもないのにね。インドって、たまに(しょっちゅう)こんなことが起こる。ここの飲食料金は安いこともあり、文句をいうことでもないのだろうけれど、そのあまりにも他国人には理解できない理屈が受け入れがたく、文句炸裂。
「そんな訳のわからんことをするくらいなら、単価を上げて1杯分の量を増やせばいいじゃない」
と、正当な理屈をウエイターらに告げたところで理解されず。これだから、インドには変な人が多いと言われるのよ、あなた方! アルヴィンドに制されつつも、他の客の視線を感じつつも、言うだけ言って、2杯分のみ支払うと主張、実行。
さて、日が暮れたころ、バンガロアクラブにほど近いSunny'sへ。店内に入ればそこはマンハッタンと変わらぬ「都会的な」ムード。ベーカリーのショーケースに近いテーブルに通される。きれいにディスプレイされたスイーツに目が釘付け。アルヴィンドはにこやかに、ケーキの下見。
わたしたちが注文したのはラムチョップとシーフードのサラダ、それに野菜のグリル。
インドでは、イタリアンだろうがチャイニーズだろうがヴェトナミーズだろうが、インド料理よろしく、ウエイターが大皿に取り分けてくれる。この店はまだ配慮があったが、店によっては別々の料理のソースが渾然一体と皿上で混ざり合うことも多々あり、そんな場合は、「自分でサーヴするから」と、ウエイターを制する必要がある。
さて、手作り風フェトチーネのパスタは、シーフードの風味が染みていておいしい。「アルデンテ」ではないけれど、それなりに歯ごたえもあって、美味である。
ラムチョップもまた、見た目は焦げ付いているけれど、かなりおいしい。肉そのものが滑らか。ニュージランドあたりから輸入しているのかしら、と思いつつ食べる。
デザートを選んでいると、ケーキにデコレーションをしていた長身のインド人男性がいたので、「あなたはペイストリーシェフなの?」と尋ねたら、彼はこの店全体のシェフだとのこと。
物腰の柔らかな熟年の彼。後ほどわたしたちのテーブルに来てくれてご挨拶。ラム肉のおいしさに、出自を問えば、なんとインド国内のラムだとか。入手ルートは聞き出せなかったが(ミートマフィアが仕切っているのか)、彼自身、店を始めたとき、こんなに質のいい国産の肉があることに驚いたという。
魚介類は我が家も御用達のラッセルマーケットだとか。彼はマーケット巡りが好きなのだと言う。真に食に関心のある人ならば、マーケットは堪えられない楽しき場所である。
家での食事もいいけれど、こうしてたまには外で新しい料理を味わってみるのもいいものだ。