明け方、雨が降った。このアパートメントに移り住んで以来、初めてのことだ。
雨に洗われた緑は瑞々しく、空気は澄み、雲間からのぞく青空は生まれたての新鮮さだ。
ドライヴァーのクマール曰く、この時期に雨が降ると、これからが季節のマンゴーが傷むため、よくないのだとのことだけれど、事情を知らない者にとっては、汚れを洗い流す恵みの雨に思えてならない。
バンガロア(バンガロール)は気候がよく、また緑が多いせいか、母は予想を遥かに超えて、気分よく過ごしている。母の部屋のバルコニーから見える緑は日々、若芽を伸ばし、柔らかな黄緑色が風に揺れている。
ナーサリーで買って来ていた鉢植えの緑も、生き生きと葉を伸ばして周囲の緑と溶け合っている。今朝も、小鳥はさえずり、リスは駆け回り、掃除人は庭を掃く。
今日は主に、近所を巡った。カニンガムロードにある、まずはHatworks Boulvardへ。ここにある素敵なスパを母に見せたら、案の定、「ここでフェイシャルをしてもらいたい」とのリクエスト。他のサロンに比べると、雰囲気が格段にいい分、お値段も先進国基準。
わたしはまだ、ここのトリートメントを試したことはないのだが、技術はいいとの噂を聞いていたので、早速母のために、夕方の予約を入れる。
それから、やはりカニンガムロード沿いにあるシグマモールのスーパーマーケットへ、見学を兼ねての日用品調達。それから、我が家の目と鼻の先にあるリネン店へ行き、母はテーブルクロスを買い、更にはその隣にあるカシミールの土産物店へ。
この土産物店は、以前もここで紹介した、質のいいベッドカバーやカーペットを売っている店である。母はシンプルなパシュミナのストールを1枚欲しいといっていたので、ここに来ようと決めていたのだ。
上の大きな写真が、その店の店主と母である。母が巻いているのは、「超高級」カテゴリーのパシュミナで、ふわふわと綿のように軽い手織りのもの。写真右上は、店主が、指輪大のリングにパシュミナを通してみせているところ。それだけきゅっとコンパクトに小さくなるのだ。
母が購入したのは、これではなく、機械織りのパシュミナだが、それでも混紡ではない100%で、柔らかく軽く光沢も美しいものだった。勿論、海外で買うよりはかなりリーズナブルだし品質もよいしで、いい買い物ができた。
昼食をとるために一旦は家に戻る。外食もいいけれど、やっぱりモハンの手料理の方がいいのでね。ちなみにオレンジ色に染まっているのは母用の部屋。オレンジ色のカーテンを閉じると、西日と相まって、部屋が温かな色に染まるのだ。写真だと雰囲気が今ひとつ伝わらないのだけれど。
それから午後は、バンガロアクラブへ。母にクラブ内の設備を案内する。そうこうしているうちに、フェイシャルの予約の時間。再びHatworksへ車を走らせ、スパへ。
母がトリートメントを受けている間、わたしはカフェテラスで、お茶を飲みながら書き物を。
トリートメントが終わる頃、スパに戻ると、母が至福の表情で出て来た。フェイシャルには、背中や足、手のマッサージもついていたようで、エステティシャンの技術もすばらしく、非常に心地よかったとのこと。
今日もまた、さりげなく盛りだくさんの一日。
ちなみに夫は、本日はまたしても、主にはクリケット観戦であった。