●夕暮れ時、バンガロアクラブへ。夫の心に「泳ぎにでも行こうか」というゆとりが生まれた様子で、わたしは今日は、泳がないけれど、母とともに同行する。プールサイドのテーブルで、太陽が沈む時分の空の様子を、鳥が舞い、風が流れる様子を、平和な気持ちで、お茶を飲みながら。
●我が家のご飯は、いつもやさしい。彼がそれを、籠めているのかどうかは知らないけれど、愛情のある、味がする。今日のランチは、チャパティを油で揚げた主食「プーリー」を作ってくれた。ジャガイモとグリーンピーのカレーとよく合う。
●外食のディナーは久しぶり。Park Hotelにある"i-t.ALIA"という、イタリアンレストラン。リザヴェーションの時刻まで、バーでビールを。ここもまた、「別世界」のインド。
●その、雰囲気の素敵なダイニング。家の料理もいいけれど、ときには違う味、違うムードを。前菜には、ブルスケッタ。トマトとモッツァレラチーズの定番と、ズッキーニのグリル、それにアーティチョクのサラダ風がトッピングされた3種類。
いずれも、とてもおいしくて、久々のイタリアンに胃、というよりは、心が沸き立つ。
シュリンプ入りエンジェルヘアのパスタ、キノコのリゾット、それからビーフの料理を。以前も書いたけれど、インドでは、イタリアンも、チャイニーズのように、インディアンのように、大皿にシェアして盛りつけてくれるので、気兼ねなく料理を分け合って食べられる。
邪道、ではあるけれど、当たり前のように、いろいろな味を試せるのがいい。ただ、ソースが混じり合わないように、気をつけてもらって。
母は「そうめん的」なエンジェルヘアのパスタがことのほか、お気に入りのよう。「あゆみも連れてこなきゃね」と、妹を口実に、再び味わいたい様子。
デザートは、ティラミスを3人で分けて食べる。そうして、各々ダブルエスプレッソ。何と心地よい満足感。母ではないけれど、ここはどこ? という気持ち。
あたりの人々は、異邦人ばかり。ふと、マンハッタンのただ中のレストランに居るような錯覚さえも覚える。
わたしの中の、体感地球儀が、正体不明に、ぐにゃぐにゃと。
月末には香港。来月には米国。そして数カ月のうちには、別の町へと。今しばらくは、さすらうみたいに暮らしている。