今まで、何度も何度も書き始めては、思いとどまってそのままにしてきたが、最近またその傾向が強くなり、ついには腹立たしさが増して来た。ブログの存続さえも思案する事態となってきたので、その前にはっきりと申し上げておこうと思うに至った。
折にふれ、ここでも書いて来たが、「個人的に情報提供を依頼する質問のメール」は、送らないでいただきたい。こちらが時間を要して調べたり、あるいは返事を必ず書かねばならないようなメールを送るのは、やめていただきたいのだ。
これはニューヨーク時代にホームページを作り、メールマガジンを書き始めた頃からのことで、ずっと面倒に思って来たことのひとつだ。日本人はマナーがよい、と思っている人は多いだろうが、メールに関するマナーの悪い人は非常に多い。
どうやったら会社を作れるのですか?
渡米の際に、いくらお金を持って行きましたか?
家賃はおいくらですか?
H1Bビザを取るには、どうしたらいいのですか?
アッパーウエストサイドのお勧めのレストランは?
今度マンハッタンに行くのですが、どんなミュージカルがおすすめですか?
##の住所と電話番号を教えてください。
@@@のおすすめ料理とその料金を教えてください。
インド人の彼氏と婚約しました。結婚について教えてください。
e.t.c.....e.t.c.....
その質問の種類は千差万別。時に弁護士、時に会計士、時にツアーコンダクター、時に結婚コンサルタント、時にツアーコーディネータ……と、専門の人に然るべき料金を払って聞きなさい、とでも言いたくなるような微細に亘っての質問事項が届くこともある。1,2,3,4,5....と、質問事項が連なっていることもある。
一方で、答えようのない、漠然とした質問を送ってくる人もいる。
まだインターネットに不慣れだった最初こそ、「袖摺り合うも他生の縁」などと思い、いちいち返答をしてきた。でもあるとき、気がついたのだ。情報提供を依頼する人ほど、基本的なマナーがなっていないと。
[依頼のメール]→[わたしからの返事]→[お礼のメール]。
これが普通の流れだと、わたしは思う。しかし、最後の「お礼のメール」がない場合が、大半なのである。それはもう、驚くほどに、そうなのである。これは、かなり不愉快なことだ。
たとえそれが5分であれ、10分であれ、時間を割き、なんらかの行動を起こしたことに対して、お礼を言わないとは、どういうことなのか? わたしには、理解できない。
わたしは、そのようなインターネット世界のカジュアルな情報交換には興味がないし、その渦に巻き込まれたくもない。
もちろん、中にはご自身で調べ尽くした上で、どうしても情報が得られず、切羽詰まって連絡をくださる方もいる。
そのようなメールは読めばわかるので、丁寧にお応えし、できるかぎりのお手伝いはしてきた。わたしだって、他の人に教わったり、支えられたりしながら、生きているのだ。決して傲慢なばかりではない。
そしてそのような方からは、きちんとお礼のメールが届く。その後も折にふれて、近況報告などをくださる。
それがご縁で、いいおつきあいをさせてもらっている方もいる。メールをいただいてよかった、という出会いも、少なくない。
しかし、そんな方は「ごく稀」なのである。1パーセント未満である。
これまでは、そういう「誠意のある方」からのメールすらも遮断してしまうことを恐れて、はっきりとかような心情を公表するに至らなかった。しかし、わたしも歳を重ね、少しずついろいろなことが割り切れるようになってきた。
わたしはブログに顔も出しているし、文体にも臨場感を出しているが故、親近感を持っていただく方も多いようだ。それはわたし自身の責任であるから、誤解を与えても仕方がないだろう。だからこそ、誤解されないためにも、こうしてはっきりと書いておきたいと思うのだ。
基本的に、わたしはライターであり、文筆を生業としてきた。一般に他の仕事を持っている人が、趣味で文章を書いているのとは、少々事情が違う。そんな時代は終わったと言われるかもしれないが、情報は無料ではないと思っている。たとえそれが、既知の情報であったとしても、それを書き記すにあたっては、労力が発生する。
ブログやホームページに、節操なく文章を書き流し続けることに対して、自分なりの逡巡を、それなりに繰り返して来た。これを続けるべきか否か、時に自ら、問うて来た。
ここに書く時間があったら、仕事を得るための営業をしたらどうなのか。書物の執筆に専心してはどうか。しかし、自分なりに思うところがあって、今日まで続けて来ている。
ニューヨークの、ワシントンDCの、カリフォルニアの、そしてインドの暮らしの断片を、多くの人に知っていただけたら、という思いと、そして何より、それがたとえ「仕事」ではなくても、文章を書き続けたい、という情念のような思いとで、今、日々を綴っている。
その辺を、どうかご理解いただきたい。
加えて言えば、インド人のボーイフレンド、もしくは伴侶を持つ日本人女性は、多分、相当に多い。なにしろ世界の人口の十分の一は、インド人男性、なのだ。インド人との結婚にあたって、あれこれと質問をされても、本当に困るのだ。そのあたりのことも、念頭においていただけると、ありがたい。
話が長くなったが最後に。
店の住所や料金といった質問などはこの際、論外として、会社設立や就労ヴィザや結婚や、人生における大切な物事に関しては、たやすく情報を得るよりも、自分で時間を割いて、努力して、情報を集める方が価値があると、わたしは思う。
自分の懐を痛めて弁護士を雇ったり、だまされてみたり、間違ってみたり、足を棒にして歩いたり、失敗してみたり、もういやになってみたり、でも諦めるのをよしたり、そういう試行錯誤をしながら、努力する時期が、人生に一度や二度や三度あっても、悪くないのではなかろうか。
簡単に、要点だけを聞いたところで、そのときはうまくことが運べたとしても、ありがたみはないのではなかろうか。
その対象にもよるが、おおよそ自分自身で苦心して求めた得た情報の方が、遥かに自分自身の糧となる。自信にもつながると思うのだ。
今までも、何度も書いているが、インド移住以来、毎日かなりの文字数を記し、このブログにも相当の情報を残している。読者の方の便宜を図るため、タイトルリストも作り、過去の記事が検索しやすいよう、わたしなりに工夫もしている。インドに関して言えば、この膨大なる蓄積からどうぞ探し出してほしい。
ついでに言えば、わたし自身、まだまだインド初心者であり、知らないことがあまりに多く、学びの過程にある。見知らぬ人への、ヴォランティアでの情報提供に、長い時間を割く余裕は、今のところない。
●個人的に情報提供を依頼する質問のメールは、お断りしている。
●ご感想やご意見、ご指摘、アドヴァイスのメールは、いつもありがたく拝見している。
以上、二つのことが言いたいがために、今日は長々と書いてしまった。大多数の、楽しく読んでくださっている読者の方には申し訳ないが、一部の方々の趨勢を食い止めたく、憂鬱なことを今日は記した。
不快に思われる方があったとしても、それは仕方のないことだ。ご理解いただければ幸いだ。