今日はガネイシャ祭りにて、祝日。明日はガソリン値上げに関するジェネラル・ストライキで街の機能は停止するだろう。
各宗教、コミュニティの祝祭が目白押しのこの季節。インドに来て7度目だが、毎年、なにがなんだか、というまに年末がやってくる。
今年は来月末から3週間余りに亘り、日本へ一時帰国することもあり、よりいっそう濃密な日々となりそうだ。
新しい庭が完成して以来、わたしたちのライフスタイルが、少し変化した。
目覚めてから、トレッドミルでエクササイズ、加えて夫はヨガも行う。シャワーを浴びたあとの朝食は、100%、外で食べるようになった。
数年に亘って徐々に伸び、庭の半分近くを覆っていた隣家の樹木を伐採し、朝日が気持ちよく降り注ぐようになったのだ。
これまでは、「L字型」の庭の、「_部分」ばかりが活用されていたが、もう一つの「|部分」に部屋とプチ遊歩道を作ったことにより、全体的に有効利用できるようになった。
これは、パルゴーラ(Pergola)、すなわち「ツル棚」。将来的には、ツル科の植物が全体を多い、日陰を作ってくれることになっているのだが、まだ成長していないので、下にアンブレラをさしているところが、やや格好悪い。
花をつけるものを、と外注のガーデナーに頼んだところ、数種類を持って来てくれた。
が、今はこんな状態。
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頭上全体を覆ってくれるまで、いったいどれくらいかかるのかわからんが、気長に待とう。
ブドウなんかが育てられれば、つまみ食いしつつ寛げて楽しいのだが、ブドウは難しいだろうな。
今後は、ガーデニングにも少しばかり力を入れる予定。ハーブや野菜類も育ててみようと思っている。
それにしてもバンガロール、一年中「陽気」な気候が本当にありがたい。一年中いつでも庭で過ごせる気候だからこそ、庭を大切にしなければ、と、今更のように思う。
左上は、胡椒。数年前に植えたのだが、成長が遅く、なかなか伸びない。いつかここで胡椒が収穫できるのだろうか。待ち遠しい。
これは、プチ遊歩道。仏像から伸びているので「お百度踏み」にも最適だ。願いごとがある方、どうぞご利用ください。
ところで下の写真は、工事前の同じ場所。これはこれで、「野趣溢れる」風情であったが、なにしろ赤土がいけない。サンダルの裏が汚れて仕方がなかったので、石を敷くことにした次第。
なお、周辺に木の塀を張り巡らせたのは、セキュリティの問題が主であったが、こうすることで、気分的にプライヴァシーが確保された感じがして、気分が落ち着く。
L地の角に鎮座し、我が家、いや、このアパートメント・ビルディング全体を見守るようにたたずむ仏像。責任重大な感じである。
そして「リラクセーション・ルーム」であるところの、ここ。クッションとマットは、カシミールで購入したチェーンステッチ。
わたしは疲労困憊だったあの午後、夫が「厳選」したものである。クッションはコマーシャル・ストリートのショップで作ってもらい、綿も詰めてもらった。
この部屋には、現在、ロフトに放置されているシングルベッドのマットレスを持って来る予定。だらけるのに最適すぎる空間になるだろう。
朝は仏像眺めつつヨガ。週末の夕暮れ時は、西日を眺めつつ、くつろぐのに最適である。尤も、夕暮れ時は「蚊パラダイス」ゆえ、例のラケット&蚊取り線香は不可欠であるが。
ここは、以前からあったユーティリティ・バルコニーを改築した。上の写真は右半分で、エクササイズコーナー。左半分は洗濯物を干すコーナーで、物置なども新設した。
物置の造りが、やったら丁寧で、むしろ家の中のクローゼットよりも出来映えがよいというのが、微妙。
アパートメント・ビルディング内にもジムはあるが、地下で空気がよくない。
自分の家にあると便利だろうと、今回調達したトレッドミル。
昨今のインドでは、このようなスポーツ器具専門店が軒並み増えている。
アルヴィンドのリサーチによると、台湾製、米国製、スペイン製などが見られるようだ。
あれこれと見比べ、数店舗を確認した結果、ちょうど先月「独立記念日半額セール!」という、ダイナミックな割引をしていたスペイン製のトレッドミルを購入したのだった。
自分で言うが、夫婦揃って買い物上手である。というか、タイミングよく、リーズナブルにいいものを見つけるのが得意である。
このトレッドミル、今のところ、かなりいい。
が、これを使うにも、専用のスタビライザー(電力供給安定装置)などを調達せねばならず、高価な電化製品を使うには、少々神経を使うインドである。
それはそうと、ここは半分、外だから、そんなに気合いをいれんでもいい、というのに、棟梁が「ぜひとも」と、木の壁を磨いて磨いてつやんつやんに仕上げてくれた図。
見た目、上等過ぎ。
ところで、工事の過程を紹介すると言いながら、放置していた。だんだん面倒になってきたが、ポイントだけ、写真を載せておこう。
当初はこんなに気合いの入った造りになることは予測していなかった。
しかし、以前も記したところの、ファミリーフレンドの建築家(ニューヨークで建築を学び仕事をしていたが、わたしたちと同じ時期にインドへ帰還。その後、店舗のデザインなどを手がけている)が一緒に仕事をしている大工衆のクオリティが高く、力を入れてくれたのだった。
最終的な費用は、当初の見積もりの1割増となったが、工期も1カ月半と、当初の見込みの倍近くかかったわけで、許容範囲内の割り増しだ。
全体的に見通せば、期待以上の仕事をしてくれたとしか、いいようがない。
以下、1カ月半に亘る工事の断片を紹介する。この作業風景を見ながら、改めて痛感したことがある。インドに対する見方を、もっと改めるべきだと。
インドに住む、あるいはインドを知る日本人から、ときおり聞く言葉。
「インド(人)、やればできるじゃん」
わたしも、この言葉を少なからず、使って来た。だからこそ、自戒の意味を込めて書く。この言葉を使うのは、やめようと。
確かに、日常の周辺を見ていれば、そう言いたくなる。言いたくなるし、実際、ハチャメチャが多いこの国だ。
しかし、この作業を見ていても、思ったのだ。必要最低限の工具で、昔ながらの道具で、こつこつと、しかし丁寧に、何もかもを「一から」作り上げる。
素材のほとんどが、自然に近いもので、それらを自分たちの手で加工して、作り上げる。
この国の、文化遺産や伝統的な建築物の様々を目にし、それは、すべて、この国の人たちが作って来たのだということを、もっと真摯に受け止めて、理解すべきだと思った。
今のこの国の、諸々の社会問題や課題はまた、別次元であり、わたしはもっと、インドに対して謙虚な姿勢を持たなければ、大切なことを見誤ってしまうかもしれない、と改めて思った。
といいますかね。このごろはもう、思うのだ。
インド進出を考えている日本企業の人々も、いい加減、その「上から目線」的な視点を変えないことには、自分たちの首を絞めるばかりかもしれませんよ、と。
脈絡なく、わけのわからんことを書いているように思われるかもしれんが、それはそれ。自分のための備忘録としても。
まずは、土地を掘り起こす。排水パイプなどが埋め込まれている箇所を避けて、注意深く。と言ってる先から、排水パイプ、破壊。取り付け直しで丸一日つぶれるなど、予想通りの展開あり。
左端。塀の素材。上の部分の三角を作っているところ。板の左右は凹凸に切り込みが入っているので、ぴたっと連結される。右上、分銅で垂直を見ている図。
窓枠も一からここで作る。角材を切り、削り、彫り、形を整える。そのあと紙ヤスリで延々と磨き、ニスのようなものを塗る。
増築部の土台作り。周囲に30センチほどの溝を掘り、そこから地盤作り。
この業者は、コンクリートを作る際、セメントの割合を多めにしていたので、安心度が高かった。インドの場合、砂利が多めで「もさもさ」な、すなわち耐久性の低いコンクリートを作る低級な業者も少なくないからだ。
全て、下から下から、積み上げるように築いてゆく。これは窓枠を固定しながら、レンガを積み上げてゆくの図。
ど〜しても納得がいかなかったのは、天井を作る前に床のタイルをはったところ。
タイルを先にはったら、その後の作業で傷むでしょう? と何度も指摘したのだが、どうもそれがやりかたらしい。ノープロブレムらしい。
まあ、結果的には、表面が汚れただけですんだが、新品のタイルがたちまち汚れている姿を見るのは、痛ましかった。
終わりよければすべてよし。
それが、インド。
それが、真理。
壁面の壁。この壁を、みんなして、せっせせっせと紙ヤスリをかけて磨くのであった。
ツル棚の下やプチ遊歩道はグラナイト(御影石)。インドでは大理石も御影石も廉価な石につき、ふんだんに使える。
この石も、庭先ですべて、切断作業を行うのだった。猛烈なうるささと、砂塵の舞いっぷり。そらもう、大変でした。まあ、石に限らず、木やらレンガやらも切断しますからね。
丁寧に切られた石は、水平を丁寧にチェックされつつ、おさめられてゆく。赤い糸が水平の目安。石を並べた跡は、長い木の棒で表面をなで、接続部にひっかかりがないかどうかの確認もされる。
ともかく、丁寧な仕事っぷりに感動する。感動しつつ「いつ終わるんだ、この工事」とも思っていた。
幅の違う板をを2種類。片方をノミで彫刻し、このような曲線もなめらかな形に仕上げていく。
「そ、そこまでしなくても……!」
と、心中で、叫んでしまうような、地道な作業である。
そして、仕上がりを、磨く。紙ヤスリでひたすら、磨く。壮絶な埃が舞う中、日がな一日、磨く。
これが、磨かれたあとの様子。ユーテリティ・バルコニーの部分は白いペンキを塗ったが、こちらは自然の色合いを残すことにした。
これに緑が絡み付けば、味わい深くなるであろう。
左上、磨く前。右上、磨いて塗装したあと。もう、すべっすべで触ると幸せ〜な感触だ。
窓枠にガラスをはめ込んでいるところ。際どいところにハンマーで釘を打ち付けて固定する。
あああ、ガラスが割れそう……と思ったら、案の定、1枚、割れていた。予想通りの展開だ。
ところで幸運だったのは、瓦ふき。瓦を仕上げたその日に、記録的な大雨が降ったお陰で、雨漏りの確認ができた。インドの瓦はまさに「手焼き」ゆえ、仕上がりがまずいものも混ざっている。
加えて、運搬の途中にひびが入っているものもある。それらは、一見しただけではわからないのだが、雨水がしみ出して、不具合が発見できたのだ。
結局、不完全な瓦を後日取り替えてもらったら、またその日に大雨が降ったので、再確認もすませることができたのだった。
そして、このせんべいのようなタイル。これは、天井に貼るタイルなのでありました。
これはマンガロール産のタイル。南インドの建築で、このタイルが好きだったことから、どうしてもこの天井にしたかったのだ。
結果的に、非常にいい仕上がりになり、個性的な部屋に仕上げられたのがよかった。
というわけで、5年前の「プチ家作り」に引き続き、インドでの大工仕事の現場監督、改めて、いい勉強になった。
この丁寧な作業を経て1カ月半で完成というのは、むしろ、早かったとさえ思う。もっともその渦中では、屋内が埃まみれになり、プレシラもわたしも疲労困憊であったのだが。
工事を通して思うところ、多々あったが、今日のところはこのレポートで終わりたい。