インドは結婚式シーズンに加え、クリスマス関連行事その他諸々。毎年、あっという間に年の瀬を迎える。今年は日本旅から戻って来たばかりだし、例年通り、年末年始はバンガロールで大人しく過ごす予定だ。
またしても、アーユルヴェーダグラムで、地味且つ超健康的な年の瀬を過ごすことになるのか。となると、これで4度目となる。
毎年「地味すぎるよね」と言いながらも、アーユルヴェーダの超リフレッシュ効果に吸い込まれるように、籠ってしまうのだ。
さて、一昨日、バンガロールで開催されたオーガニック・エキスポ「ビオファ・インディア」を訪れた。ドイツで20年前より始まったオーガニック産業のエキスポだ。
つい先日、日本でも開催されたようで、日本語のサイトがあった。リンクをはっておくが、概要を一部引用させていただく。
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BioFach(ビオファ)はドイツ語で、「オーガニック専門」という意味です。欧米では農作物を大量に、確実に生産することが求められるようになった近代、農業の工業化が図られ、除草や害虫駆除の手間を省くため、農薬や化学物質が長年にわたり多用され、その結果、農作物に有害物質が含まれ、人や環境が甚大な影響を受けるようになりました。こうした問題を根本的に解決する動きが各地ではじまり、今、世界中で大きなうねりになりつつあります。ドイツで20年前に始まったオーガニック展は、ニュルンベルク(ドイツ)から始まり、今や東京(日本)、ボルチモア(アメリカ)、サンパウロ(ブラジル)、上海(中国)、バンガロール(インド)で開催されるようになり、世界最大のオーガニック・ナチュラル関連製品展示会へと発展しました。
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■ビオファジャパン・オーガニックEXPO (←Click!)
どれほど、根源的なことであるか。
折に触れて、ここでもインドの農業事情やオーガニック関連のことを記してきたが、今回の日本旅でも、改めて思った。
この本をわたしは読んではいないが、ここで小出氏が語っている一文に、深い共感を覚える。
「科学技術がやってきたことは地球を収奪することだけだった。この世界をやめさせ、一次産業を大切にした世界に戻らなければいけない」
今回、日本に帰国して感じたことは、いつもと同じことだった。
野菜が、遠い。野菜が、少ない。いい野菜や穀物が、高い。
一方、インスタント的な加工食品が異様に多い。そして安い。
自然で素朴な身体にいいものが、高く、人工的でややこしく、身体によくないものが、安い。
世界はどうして、こういう構造になってしまったのだろう。
今回、極力実家で食事をしたのには、外食ではどうしても野菜不足になるのが理由だった。
そりゃ確かに、年齢とともに、ヘヴィな外食を胃腸が受け付けなくなってしまっている。しかし、それだけではない。日ごろ、「粗食(シンプル食)慣れ」している身体が、諸々の食品添加物を受け付けないのだ。
日本の外食は肉類、魚介類、炭水化物は多いが、「力のある野菜」が非常に少ない。味の弱い野菜が多い。もちろん、インドの外食に比べれば、選択肢も豊富だし、おいしいものがたくさんある。
しかし、「おいしい=身体によい」というわけではない。
もちろん、高いお金を出せば、よい素材を使った店はいくらでもある。ここではあくまでも、「日常的な外食の店」の話である。
ちなみに、ここではインドと日本を比較して云々という話題ではなく、日本に関して思うこと、である。インドの外食がよいということではないので、念のため。
なお、母が使用している「九州産直クラブ」から届けられる有機野菜は、昔懐かしい、力強い野菜の味がする。
外食の野菜とは雲泥の差だ。醤油や味噌などの加工品や、乳製品、肉類などもある。
しかし、産直クラブの食材は、かなり割高であり、誰もが気軽に注文できるものではないと思われる。
インドで、1キロ30円とか50円といった野菜の相場を見慣れている目には、注文書の値段は、目玉が飛び出るほど高く感じるが、それでも、安心して食べられる食材が入手できるだけ、幸せである。
母には、いつまでも健康的でいて欲しいし、宅配してもらえるのは便利だしで、少々割高でも、良質の食材を口にするよう伝えている。
母が作る料理を朝な夕なに口にしながら、「これを食べていれば、元気でいられるに違いない」と実感した。もっとも、母の顔の色つやを見ていれば、「身体に正しいもの」を口にしていることが、一目でわかる。
インドの食事情もここ十年余りで劇的に変化し、「先進国化」している一方、「昔ながらの農法/農業」を守ろうとするさまざまな団体の動きも活発だ。
と、この話題に関しても、書き始めると尽きないのだが、今、込み入ったことを書いている場合ではないので、今日も自身の備忘録を兼ねつつ、写真を多めに載せておく。
2012年8月のTHE ECONOMIC TIMESの記事によると、インドのオーガニック食品及び飲料の市場は年間20%以上の成長率を見せているとのこと。
国内消費だけでなく、輸出も含んでの成長。中間層の購買力が伸びたのに加え、ケミカルフリーの食品に対する意識が高まっていることが、市場成長の理由だとされている。
現在、オーガニックフードが伸びているのは、デリー、コルカタ、ムンバイ、プネ、チェンナイ、バンガロールなど都市部が中心で、ティア2の都市も追随しているとのことである。
飲食物だけでなく、オーガニックコットンやオーガニックバンブーなどによるテキスタイル産業も急伸しているようだ。
我が家の食卓に欠かせないNamdhari's Freshの野菜も展示されていた。ここの野菜はすべてがオーガニックではないが、強い農薬を使用しておらず、安全な食材として定評がある。
普段、オーガニック専門店で目にする身慣れたブランドがいくつもブースを出していた。
チョコレートや紅茶、コーヒーなどの嗜好品、オーガニックコットンなどのブランドも出店している。
会場の一隅にはフードコートがあり、オーガニック食品で作られるスナック類が販売されていた。
ドイツの団体が主催するエキスポだけあり、メイド・イン・ジャーマニーのオーガニック製品も数多く出店されていた。
今回、非常にうれしかったのは、この口紅。日ごろ、ローズウォーターとアーユルヴェーダのモイスチャライザーというミニマムなスキンケアを施している我。
下地は日焼け止めだけで、あとは、刺激の少ないパウダーを塗るだけ。口紅やアイラインはなるたけ自然に近い物を、ニューヨークへ訪れるたびに購入しているのだが、インドでもついに発見した。
このブランド、デリー拠点のインド製だが、ドイツですでに2年前から発売しているとのこと。近々インドでも販売するらしい。
試しに口紅2本と、アーユルヴェーディクなモイスチャライザーを購入。口紅は発色も悪くない。やや艶やかさに欠けるが、天然のオイルや色素が使用されている「自然な香り」がするだけで、なんだか気分がよい。
モイスチャライザーは、昨日、サロン・ド・ミューズに集ったメンバーが試しに塗っていたが、非常に好評だった。
店頭にいたマネージャーらしき人物に、
「こういう口紅を探していたんですよ!」
と言ったら、
「僕は口紅は作る必要はないと思っていたんですが、妻から絶対に作るべきだと勧められたんです」
とのこと。ワンダフルな妻である。こういう商品が手に入るのは、本当にありがたい。
■Soultree (←Click!)
「現代的」なブースが連なる延長線上に、突如「インド世界」が広がる。
農業関係者たちの、ワイルドな出で立ちと、ドイツのブースのモダンさと、農業的儀礼の様子との、アンバランスな感じが、面白い。
面白いというか、ちょっと笑えるのだが、同時に「農業の初心」のようなものを、感じずにはいられない。
この人たちが、わたしたちの食卓を支えてくれている。
ところで、インドでは、遺伝子組み換えコットンが社会問題になった(なっている)ことを、以前、ここでも記した。以下、過去の記事のリンク先を記しておくが、念のため、関連する映画の予告動画も共有したい。
■モンサント社とは(←Click!)
ところで、下の写真は、コンポストだ。我が家でも、生ゴミはすべて、自宅でコンポストにしている。現在は素焼きのポットを使っているが、このプラスチック製の方が、管理が楽そうである。
これも1つ予備で購入する予定だ。
日本に帰国して思ったことのひとつに、「ゴミの多さ」がある。もちろん、インドのように、路上に転がってはいない。しかし、日本の過剰包装による、ゴミの出方のすさまじさに、つくづく、驚いたのだ。
我が家は、生ゴミは自宅で肥料にするほか、極力プラスチックやビニルなどを使わないことを心がけているので、真のゴミは非常に少ない。
ビニルやプラスチック、ボトルの種類にもよるが、リサイクルできるものはすべて、リサイクル業者に出しているからだ。
だからこそ、実家で過ごして、ゴミ捨てに出かける際のゴミの多さに、驚いた。
それだけではない。
濡れた生ゴミと、紙やプラスチックなどがまとめて「燃えるゴミ」扱いにされていることだ。
濡れた物を焼却するのだから、そのエネルギー量たるや、相当ではなかろうか。
同時に、有毒な物質が排出されているであろう。
ネットをサーチすれば、「クリーンな焼却」とか「ゴミ発電」とか、前向きなキーワードも散見されるが、ともあれ、日本が過剰包装大国であり、大量のゴミを生産していることには違いない。
と、話が横道にそれたが、ともあれ、人間。
もっと「動物である自分」に立ち返り、少々、自然に近く暮らす方向へ転換すべきだと、先進国に行くにつけ、思うのだ。