By good fortune, we are invited the private dance performance which was hosted by Maharaja Gaj Singh. We are deeply grateful for meeting with the contemporary dancer Astad Deboo. Umaid Bhawan Palace was the perfect venue for their contemporary dance!
音楽祭を終えて、最終日は、のんびりと買い物などして過ごす予定だったが、思いがけないお招きを受け、ウメイド・バワン・パレスへ再び。
2か月前の来訪時には、1泊したこのホテル。圧倒的な存在感と、そこはかとなく漂う重い歴史に、思うところ多い滞在だった。
今回は、つい1カ月ほど前に開業したというRADISSON HOTELに滞在。できたばかりのホテルは、たとえ新築できれいでも、なにか不備がありそうな予感があったが、なにしろバックパッカー向けの安宿、もしくは超高級なラグジュリアスホテルのどちらかが主流のこの地。
今回はそこそこ快適であればよいだろうとRADISSON HOTELに決めたのだった。このホテルを選んだおかげで、実は舞い込んできた幸運。
このホテルは、音楽祭のスポンサーでもあることから、出演したパフォーマーが、何組も滞在していた。
その一人であるインドのコンテンポラリーダンスの第一人者、アスタッド・デブー氏に、「行きのフライトで一緒でしたね」と、朝食の席で声をかけられたのが契機となり、彼がロイヤルファミリーの前で披露するプライヴェート・ダンスパフォーマンスの招待を受けたのだった。
2日間に亘って朝から晩までどっぷりと、音楽の世界に浸ったWorld Sacred Spirit Festival 2018。3泊で帰らず、4泊にしておいたのが幸いした。
現在70歳のデブー氏は、大阪万博の際にインドのパヴィリオンでダンスを披露したという。その後も1年間、日本に暮らしたという親日派で、日本語もかなりお話しになる。山本寛斎のファッションショーの演出に携わったほか、日本でも数々の仕事をしていたという。
2カ月前、ラジャスタン旅でジャイプル、ジャイサルメール、そしてジョードプルを訪れた。中でもわたしは、このジョードプルを深く気に入った。故に、旅から戻るやいなや、夫がこの音楽祭に行こうと言ったときには、迷わず同意したのだった。
フォートで行われたプログラムは、もちろんすばらしかったが、ウメイド・バワン・パレスで披露されたパフォーマンスは、同じものでありながら、間近の迫力、ぐるぐると回るスーフィー動きも相まって、格別の赴きだ。デブー氏率いる北東インドはマニプールのドラマーたちのパフォーマンスも印象的。今回の旅を締めくくる、すばらしいひとときだった。
デブー氏が、わたしたちを招いてくれた理由は、多分、いや間違いなく、わたしが日本人だったからだ。
インドでは、日本人であることが、好意的に受け止められることが多いということは、その理由も含めて、これまでも幾度となく記して来たが、今回はその典型であった。降って湧いたようなご縁もまた、切に、ありがたいことである。
デブー氏率いる北東インドはマニプールのドラマーたち。「鍛え抜かれた逞しい体……」からは程遠い、あまりにも普通体型の、お兄さん&おじさん集団なのであるが、機敏な動きが印象的。
チェックアウトとチェックインの狭間、すなわちゲストが最も少ない時間である正午の開始だったこともあり、ホールに居合わせたのは、ロイヤルファミリーと、数組のゲストと、わたしたちだけであった。
旅の記録にも記したが、2カ月前、このホテルに滞在したとき、ジョードプルのマハラジャとその家族を巡る苦難の歴史について紐解いた。半世紀もの長きに亘り、孫を見られたマハラジャはいなかった。ちょうど先日70歳を迎えたばかりの現マハラジャは、約500年を経て初めて、二人の孫を見られた長寿の人物だ。
パフォーマンスが終わったあと、マハラジャ自らわたしたちの方に歩み寄り、握手をしてくださる。
昨年の、ジャイプルで開催されたYPOのイヴェントのときには、プログラムの一環として、ジャイプルのロイヤルファミリーとの晩餐会があった。400人を超えるメンバーがパレスのテーブルを埋め尽くしたが、このときはまた、我々夫婦は幸運にも、皇太后(マハラニ)の真向かいの席に座する栄誉に浴した。
図らずも、ありがたきことだった。
インドに好きで来たけれど、インドが好きで来たわけではない。
などと言い続けてはや十余年。波乱に満ちて、あれこれあれど、インドには、来るべくして来たのだなと、しみじみと思うタール砂漠の入り口で。
パフォーマンスを楽しんだあとは、彼方にフォート(砦)を望む眺めのよいテラスでランチ。2カ月前に滞在したときには知る由もなかったが、このホテルはレストランだけの利用の場合、ミニマムチャージが一人5000ルピーと設定されていた。二人で1万ルピー、16,500円ほど。
ずいぶんと高い。しかし同時に納得もする。宿泊客以外が気軽に入れると、観光バスが乗り付けて、大騒ぎとなってしまい、静寂が破られてしまう例を、これまで他の優雅なホテルでも目の当たりにしてきた。
場の空気を守るためには、一概に高すぎるとは言えない値段なのかもしれない。
12月に滞在したばかりだし、そこまで払って、ここでランチを食べることもないと思っていたのだが、わたしたちのことを覚えてくれていたレストランのマネージャーが、今日はパフォーマンスのゲストでもあるからと、特別に計らってくれ、ミニマムチャージなしで、もてなしてくれたのだった。
彼とは帰りのフライトも同じ便。バンガロールへ来訪の折には、拙宅で「日本料理」を振舞うことを約束する。
搭乗を待つ間、今回フォートで撮影したという写真を次々に送ってくれた。
さすが、プロのフォトグラファーによる写真は、すばらしい。ありのままのジョードプルの風情が、格別の舞台だ。
いくつもの国を旅してきたような気分にさせられた、今回の音楽旅行。インドの広さを肌身に感じながら、未踏の地の多さにため息がでる思いだ。
世界は広い。
しかしその前に、インドは広い。