20代半ば。東京の会社で海外旅行誌の編集者をやっていたころ、周囲の同僚から「スケジューリングの女王」と呼ばれていた。
「スケートリンクの女王」ではない。ぱっと見、似ているが。
そもそも子供の頃から日記を書いたり、記録を残すのは好きだったが、社会人になり、印刷媒体の編集をやりはじめるようになって、スケジューリングの腕前が磨かれた。
若者向けセミナーでも熱く語っているところの「スケジューリングの重要性」。
ただ、詰め込むのではない。1週間を、1カ月を、1年を、俯瞰しながら調整する。
いくつものプロジェクトの時間軸を、ビジュアルで確認し、緩急をつけ、調整する。
だから、自分の手で、紙に書き込むことが大切。書きながら、線を引きながら、時間の流れを頭と心と身体に刻み込む。
やるべきこと、やりたいことを、ひとつひとつ書きながら、そのヴォリュームも、頭と心と身体に刻み込む。
予定の立て方の加減によって、自分の時間を有効に使うことができるし、無駄だと思えることを排除できる。
スケジュールにも、人生にも、余白は必要。
どんなに予定が詰まっていても、わたしは自分のことを「忙しい」と表現したことはない。あくまでも文字の上で、ではあるが。
「忙しい」と、口にすることは、稀にあるが、しかし極力避けている。
それは大学時代に大学祭実行委員長を引き受けた時から、一貫している。
わたしのブログ、過去の記録、多分どこを探しても、自分をして「忙しい」と書いたことはない。
「立て込んでいる」とか、「やるべきことがたくさんある」という表現は使うが。
ささやかだが、自分なりのルール。スケジューリングの女王は、自らを多忙に追い込んではだめなのだ。
潤沢な睡眠時間は必須。好きなドラマや映画を見たり、読書をしたり、猫と遊んだり、夜遊びしたりの時間も大切だ。
ちなみに夫の前では、しょっちょう「I’m busy!」とシャウトしている。そこはもう、例外として。
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そして、旅。
明日から半月余り、欧州へ旅をする。旅の経緯はまた、後日綴るとして、この旅はまた、四半世紀ぶりに訪れる「思い入れの多い土地」が複数含まれていることもあり、極めて楽しみだ。
旅の前から、綴りたいことが多々あり、下調べしたいこともあるのだが、ここ数週間のミューズ・クリエイションのイヴェント記録や、本業の納品や、11月の日本旅の手配などで立て込んでおり、今日もまだゆっくりできそうにない。
それでも、ひとつひとつ、スケジュールノートの「To Do List」はチェックマークが増えていき、確かな達成感がある。
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わたしの書斎の書棚には、過去30年に亘るスケジュールノート(ジャーナル)があり、いつ、どこで、何をしていたかが即座にわかる。
インターネット以前の旅の記録は、すべてノートに記されている。
今回の欧州旅は、その古いノートの記録が蘇る。ゆえに、旅の前に、必要なページをデータに落とし込みたいところだ。
中でも、28歳の時、3カ月間、欧州を鉄道で放浪旅をしたときの記録は宝。そのときに、家族宛に送った絵葉書数百枚も、実家に残されてはいるが、宝だ。
今回の旅は、パリ、ストックホルム、南仏(エクサン・プロヴァンス)、プラハ、ドレスデンを訪れる。
なぜ、ドレスデン(旧東ドイツ)なのか。を書き始めたら暴走するので、それは後日、記すとする。考えただけで、目頭が熱くなる。
歳月は流れた。
さて、今日は残りの作業を速やかにすませて、荷造りにかかろう。