先週は、おめでたい週末であった。夫の誕生日の翌日、8月10日の夜、バンガロールを代表するミュージアム、MAPへと赴いた。創業者であるAbhishek の誕生日パーティが開かれたのだ。MAPは2020年12月から、インド初のデジタル美術館を稼働。パンデミックを経て2023年に、一般公開が開始された。このミュージアムの誕生により、バンガロールの魅力が増したと言っても過言ではない。
Abhishekは、インドで最も著名なアート蒐集家のひとり。美術品、写真、テキスタイルなど、彼の幅広いコレクションがMAPの中核を成している。芸術に関する見識豊かな彼は、バンガロール市民らが集う文化的な場所の構築を目指していた。WiproやBiocon、Infosys、TCSといった大企業のCSR(企業の社会貢献)、篤志家からの支援を背景に、フィランソロピーの理念に沿ったプロジェクトで、ミュージアムの具現化に至った。
同ミュージアムには、わたしもこれまで何度か訪れ、記録を残している。その中から以下、2つの記事をピックアップしているので、ぜひ目を通していただければと思う。
なお、Abhishekの妻、Radhikaは、バンガロールを代表するファッション&インテリアのブティックCinnamonのオーナーだ。わたしは、バンガロール移住当初からしばしばCinnamonを訪れ、高品質なインド・デザイナーズのファッションやインテリア小物を購入してきた。世の中が沈み込んでいた2020年12月のパンデミック時代、「静かに」ミューズ・クリエイションのクリスマスバザールを開催した際に、Cinnamonの一室を無償で提供していただくなど、お世話にもなった。
今、その店舗は、MAPのミュージアムショップになっている。Cinnamonは、レストランを併設するとてもすてきなブティックにつき、MAPと並んで、ぜひ訪れてみてほしい。
パーティの会場では、親しい友人らとも顔を合わせ、賑やかなソーシャルタイム。そのあいまに、ミュージアムの展示をゆっくりと眺めるなど、贅沢な時間を過ごした。
この夜は、久しぶりにMRINALINIのダブル・イカット(経緯絣/たてよこがすり)のシルク・サリーを着用。伝統的なテキスタイルながらモダンなデザインで、ミュージアムの雰囲気とも合っている。MRINALINIは、友人のYashoのブランドで、パンデミックの最中、販売の機会を失っていた伝統工芸の職人たちを支援すべく立ち上げられた。
Yashoが選ぶサリーは、高度な技術を持つ職人たちの技とセンスが生きた作品(商品)ばかり。わたしはYashoの好みと似通っているので、ここ数年は、MRINALINIのサリーしか購入していない。買うつもりはなくても、彼女が新作を入荷するたびに、お宅へ伺い(我々の新居と同じコミュニティ)、「見るだけ」と思いつつ、買ってしまうのだ。
さて、ミュージアムに到着後、一足先に会場に入った夫が、振り返りざま、目を輝かせていう。
「ミホ! Yashoがミホと同じサリーを着ているよ!!」
見ればYashoも、黒と銀の輝きが上品な、イカットのサリーを着ている。彼女のサリー姿は、いつ見ても、格別に美しい。
……というか、夫よ。確かに似てはいるけれど、「同じ」じゃないからね。
それはさておき、彼女の小物遣いも、とても洗練されている。額のビンディーもカラー・コーディネートされている。シルヴァーのトライブ(民族/部族)のジュエリーは、ごつい印象になりそうだと思っていたが、彼女が身につけていると、とてもエレガントだ。こういう雰囲気もいいなと……と、わたしも試してみたくなった。
近いうち、MRINALINIとMUSEのコラボレーションで、サリーの展示販売会を実施したいと考えている。多くの人(特に日本人)に、質のよいサリーを選んでもらえれば……との思いだ。参考までに、過去のYashoとの2ショット写真も載せておく。
2022年に京友禅サリーのプロモーターとして展示会をしたときのものと、ジャイプールでのパーティのときのもの。このときわたしが着ているのも、MRINALINIのサリーで、やはり偶然、二人、似たようなデザインだった。
着物もいいけど、サリーもいい。伝統衣装というのは、本当に、美しいものだとつくづく思う。
🎨MAP/ Museum of Art & Photography バンガロールに芸術の拠点が誕生。(2022/12/10)
🎨ACT MUZ企画でミュージアム見学。『ラーマーヤナ』を軸に学ぶ、時空を越えるインド世界の今昔
🎄Memories of Muse Charity Tiny Bazaar 2020/ 小さなチャリティバザールの、小さな思い出@シナモン
🌻バンガロール探訪 Explore Bangalore 001
道中の光景ほか、英国統治時代の面影を残すBangalore Club, Taj West End, Cinnamon
🥻『インドのテキスタイルとサリー講座』で「不易流行」。古来からの歴史、文化、伝統、政治、世相を映す、インドの布世界。(2023/09/30)
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